1-⑧
それは、私の真後ろから聞こえてきた声だった。
カツン…
石床を叩く足音がゆっくりと私の横を通り過ぎた。
「神官様、さきほどの鬼門修復完了しました。」
(わぁ…)
感嘆の声を挙げなかった自分をほめたい。
それほど、今私の横を通り抜け、少年の横に立っている男性の容姿は特異だった。
身長はは高く180センチは超えているだろう。
整った顔立ちに優しい笑みを浮かべて、少年になにやら報告をしている。
服装も変わっていて、今部屋の隅で不機嫌そうな顔をして座っている青年と同じようにチャイナ服の形に似たものだった。
腕と脚の先に向かって広がっていく形は、手足の長さを引き立たせ、紺色に大きな花柄が刺しゅうされ、良く似合っている。
そして何より目を奪われたのが1本に束ねた長い髪と瞳だった。
銀色
きらきら光って、とてもきれいだ。
その彼が、私のほうを向く。
「彼女ですね。」
「あぁ、名は未知。ここにつく前に契約を結んでしまっていた。」
そこで、彼は大きく目を見開き、もう1度私をみた。
「…え」
(契約?)
そういえば、さっきもでできた契約という言葉。
いったい何なのだ?
「すまない。話が途中になってしまった。」
そこで、ようやく少年が話を戻しにかかった。
「この者の名は、コンジキ。この世界一の縫い師だ。」
コツン
コンジキと呼ばれた、男性はゆっくりと私の前にきて膝をついて目線を合わせた。
「初めまして、コンジキといいます。以後、お見知りおきを。」
そういってにっこり笑う。
(うひゃーーーーーー)
その笑顔の破壊力は相当で、顔に熱が集中するのが分かった。
おそらく20代前半ではないだろうか、大人な落ち着きも備わっている。
(って、そんなこと考えてる場合じゃない)
「あの、さっきから言ってる、鬼門とか、契約鬼とか吸魔鬼とかなんなんですか?それに、えっと、コンジキ…さんの縫い師っていうのも…」
「あれ、まだ話していないんですか?」
「話そうとしてたところにお前が帰ってきたんだ。」
「そうでしたか。すみません、お邪魔をしてしまったようで。では、どうぞ続きを」
そう言ってコンジキは、少年の横に立った。
(そういえば、この子のこと、神官って呼んでたけど、この子っていったい…)
私の頭の中は疑問符だらけだが、とにかく頭をフル回転させて、少しでも理解できるようにしなければ。
そう思い、私は再び、この世界について、話を聞き始めた。




