↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コンビニで貰った特別クーポンを使ったら大変なことになった もーっと人生編  作者: 熊出


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
68/73

英雄の死3

 さて、縮地を使うのも数十年ぶりだ。

 平和になって久しい。

 育ての親の刹那が教えてくれた技だが、まだ使いこなせるだろうか。


「大丈夫だよ、身についた技術は裏切らない」


 抱き上げた春歌が優しく諭すように言う。

 微笑んで頷いて、縮地を使った。


 高々と飛び、屋根から屋根を駆ける。


「うーん、俺、現役でも行けるかも」


「魔力補正込みのパワーだよ。それは卑怯だから嫌なんでしょ?」


「それもそうだ」


 あっという間に県境を越えた。

 辿り着いたのは神奈川の山奥。


 胸が傷んだ。

 すっかり小さくなった親父。


 しかし、魔力量だけは衰えない。むしろ全盛期にあるかもしれない。

 彼はゆっくりと振り返った。

 鋭い眼光だった。


「あんたぁ、手練だね」


 若々しい口調に戸惑う。

 親父はもっと落ち着いた物言いをしていた。


 認知症。

 その言葉が重々しく伸し掛かってくる。

 平静を装って返す。


「ああ。これでもスキルユーザー異変を解決に導いた英雄だ」


「そりゃ心強いや。ここに、神様が眠っているって言ったら、信じるかい?」


 春歌と顔を見合わせる。

 親父は構わずに話を続ける。


「結界だ」


 春歌が目を見張る。


「本当だ。確かに感じる。なんて秘匿性の高い結界……」


「多分、天界大戦の残党だと俺は見ている。一か八か一人で特攻しようと思っていたところだ」


 その表情が、にっと緩む。

 若い頃の親父の面影が蘇る。


「けど、あんたらが来てくれたなら心強い。アリエルはいないけど。一緒に方を付けるぞ」


 涙腺が緩むのを感じながら頷いた。

 この人は、最期まで戦士なのだ。


「ああ。任せろ」


 これが親父との最期の共闘になると、俺は悟っていた。

 親父は神秘のネックレスを取り上げられ、ただの老人になるだろう。


 親父の最期の輝きだ。



つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。