脇役の花道4
道に迷った迷子のようだった。
なんたって、今まで野球しかやってこなかった。
ただ、高校で学んだ英語のスキルが有る。
ならば、海外でやっていこうかと、そう思った。
勉強で頑張れば道は開けるかも知れない。
惰性かも知れないがそう思った。
ただ、その先は?
もう若くはない。大卒と言っても新卒枠には入れないだろう。
それなら行く意味あるのか? と思ってしまう。
そんな時、ラインに着信が入った。
とっさに出る。
「お前、やらかしたな」
晋太郎の呆れたような声。
「お前のせいだからな」
気が解れる。
同級生同士の気安い仲だ。
声さえ聞いてしまえば嫉妬も萎えてしまう。
「なんで俺のせいなんだよ」
「後輩が俺とお前を比較して雄一さんは脇役っすねーなんて言ってくるからさ、ついな」
「殴ったのか」
膝まで入れた、とは流石に言えない。
「小突いんたんだよ」
なんだ、その物語の小物みたいな自己弁護。
「敏感な時代なんだから気をつけろよなー」
「まさか説教しに電話かけてきたんじゃねえだろうな」
「ちげーよ。お前に仕事の斡旋をしてやろうと思ってな」
「仕事の斡旋……?」
「今から言う住所に行け。メモの準備は良いか?」
「ちょっと待ってくれ」
パネルフォンの畳んでいる部分を一枚開いてメモ帳をその画面に起動する。
「いいぞ」
メモ帳に入力していく。
「ここはなんだ? 工場か?」
「行けばわかるよ。後は流れでやってくれ。んじゃな」
通信の途絶えたパネルフォンを疑わしげに見る。
闇バイトの斡旋ではあるまいな、と不安を抱いたが、MLBのホームランキングが持ち込んでくる案件に期待がわかないわけではなかった。
さてはて、鬼が出るか蛇が出るか。
つづく




