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DTED・乙女戦士(ヴァルゴファイター)  作者: カタリノ
エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!!
50/61

第1話 葛飾北斎が起源なんだとよ触手ものって

連載入ります。

いつもより短めです。


 昼休みの男子トイレの中。

 用を足すカケルの隣で、同じくトールが用を足そうと立つ。


「何でわざわざ隣に立つんだよ」

「俺はいつもこの便器を使うって決めてんだよ」


 そう言ってトールはベルトを緩めた。

 顔を歪めたまま、カケルはブツをしまいチャックを閉めた。カケルはベルトを外さない派である。

 ふとカケルが思い出したかのようにトールに話しかける。


「お前、テスト近いけど大丈夫なんだよな」

「あー、それな」


 トールはジョロロロロロと音を立てた。


「エビル、ここに来て学校ぶっ壊してくんねえかなって思った」

「テスト受ける気ねぇだろ」


 不吉なことを口走るトールをカケルがにらみつける。

 トールは素知らぬ顔して狙いを外さぬように便器を見つめ続ける。

 カケルはため息を吐きながら手を洗う。






『カーーーーーーーケルーーーーーーーーーーーー』


 そこにポンッとおいちゃんが現れる。

 急な出現に慣れ始めたカケルは驚くこともせず、ポケットからハンカチを取り出した。しかし真剣な顔でおいちゃんを見た。


「エビルか?」

『おう。ってトールもちょうどおるやん。んじゃ、めたもる☆ふぉーぜすっか』

「ちょ、おま、待て」


 トールは慌てて残りを出すために必死になる。

 カケルは周囲に気を配る。他人がいる前でおいちゃんが「めたもる☆ふぉーぜ」と言うことはないが、念のためである。


「というより、ここで変身するのか? 校内で変身するのはちょっと」

「ってか、ちょっとタンマ! 俺、まだベルト閉めきれてねぇ!」


 カケルとトールがそれぞれ口にする。

 おいちゃんはうーん、とうなった。


『ってか、あまりテレポートする意味がないっちゅうか』


 おいちゃんの言葉にカケルは疑問符を浮かべる。


「エビルはどこに現れた?」


 カケルの質問においちゃんはしれっと答える。






高校(ここ)の校庭』



 カケルもトールも言葉をなくすのだった。










 安倍川は昼ご飯を終えペットボトルのお茶を飲みながら、スマホのゲームアプリをしている。しかし途中で何度かスマホから顔を上げて教室を見回していた。先ほどカケルがトイレへと向かってから時間が経つが帰ってこないのである。


「混んでるのか、大のほうか。それとも解呪するのに、おいちゃんに連れて行かれたか?」


 考えながらも迎えに行くほどではないと、すぐさまスマホの操作へと戻る。今やっているのは「まゆたま」のガールズゲームである。女の子たちの好感度をあげていきストーリーを読み進めていくゲームである。間違ってもホラーゲーム「痲兪魂」とは違うものだ。


 しばらくすると急にクラス中が騒がしくなる。安倍川が顔を上げるとクラスメイトたちが窓へと集まっていく。何事かと思わず安倍川は立ち上がる。窓にはクラスメイトが並んでしまい校庭の様子はまったく見えない。だが校庭を見て驚愕の声や悲鳴をあげている。安倍川も好奇心に窓へと近づいていく。そして窓に近づけてないクラスメイトの肩を叩いた。


「おい、何があったんだよ」

「ああ、安倍川か。おれもまだはっきり見てねぇんだが、校庭に化け物が出たみてぇ」

「化け物? 最近、町に出るようになったやつ?」

「知らねぇ。そもそも噂では聞いたことあるけど、化け物とか見たことねぇし。おれが知ってる化け物って今のとこおいちゃんだけだ」

「おいちゃんは化け物じゃなくて妖怪って話だろ」


 ここにおいちゃんがいたのなら、妖怪でもなく妖精だと安倍川の言葉を訂正していただろう。しかし今おいちゃんの姿はない。

 安倍川も外の様子を伺いたいが、窓にはクラスメイトたちが並んでいるので入りにくい。西側の窓の端へと移動し、既にいる生徒たちに謝りながらなんとか体を潜り込ませた。やっとたどり着けば窓は全開に開いており、そこから見える校庭の風景に安倍川は瞠目する。



 校庭の中央より奥。窓から多少離れた場所に太い大樹が立っていた。それは数mほどの高さもある。しかしそれは紫の混じった毒々しい色合いで、さらに枝のように周囲に広がる触手がヌメヌメと動いている。よく見れば触手にはボツボツしたものがついていた。さらに何か液体のようなもので濡れていて、ボタボタと地面を濡らしていく。


 安倍川はスマホを耳に当てた。


「・・・・・・兄貴、兄貴、兄貴、兄貴いいいいいいいい」

「うっせえな。大学なんだから電話してくんなよ」


 安倍川の耳に届く兄の苛立ちの混じった声。




「俺の校庭に触手がきた」

「今すぐ電話切れ。写真を、動画を、俺に送れ」


 安倍川の耳に届く兄の真剣な声。

 安倍川はそれに頷くとすぐさま電話を切った。そしてスマホで撮っていく。もちろん連写機能付きでだ。





「安倍川、おーい」


 傍から呼ばれた声に安倍川はスマホから視界を外す。

 隣のクラスの窓から、トールの友人であるイサジとミギの姿があった。


「おっす」


 手を上げるイサジ。安倍川も同じく手を上げた。ここ何日も勉強会で集まる内に、この3人も大分打ち解けるようになってきていた。ただ安倍川としては、馬鹿なミギはともかく、イサジの方にまだ若干の警戒心がある。


「ってか、あれスッゲーよなあ。めっちゃバケモンじゃん」


 ミギは校庭を見て、そしてイサジの方を見た。


「イサジ、今度は怪我すんなよな」

「オッケーオッケー」


 気のない返事をするイサジ。以前、エビルの攻撃で病院送りとなったことがある。心配しているミギの肩を軽く叩いた。







 急に周囲の生徒。主に男子の声が響く。

 3人とも校庭を見れば、そこに2人の女が現れる。


 もちろん、乙女戦士(ヴァルゴファイター)となった2人である。



 安倍川はスマホでそれを撮影すると、すぐさまスマホアプリのメッセージを送った。






〔触手に、美少女戦士が2人突入した〕


 すぐに既読のマークがつき、




〔ありがとう現実〕




 そして速攻返事が来た。

 さらに


〔アズサの高校、行っていい?〕



 そのメッセージに安倍川は思わず口を開く。


「いや、来んなよ」


 そしてその言葉をそのまま兄へと送るのであった。

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