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DTED・乙女戦士(ヴァルゴファイター)  作者: カタリノ
この作品には、下ネタがキーワードに入ってます
47/61

第8話 巨乳同士がくっつく百合って至宝だと思うんだ

更新が空いてしまい申し訳ありません。

『こ、この私が負けるとは』


 消えていく中、エビルが悔しそうな声をあげる。


『たとえドリル(わたし)が死んだとしても、第2、第3の変態(ドリル)が』


 そう言って完全に姿を消した。嫌な捨て台詞である。

 エビルを貫いた結界の入ったボールは、ぐるっとトールの元へと戻っていった。なんてことないようにキャッチしたトールだったが、グローブに収まる音がドグシッと嫌な音をたてた。


「いってええええええええええええ」


 トールは左手首を押さえ、冷や汗を流しながら痛みに耐えていた。

 顎に手を当てたカケルはグローブでキャッチされたボール入りの結界を見つめている。


「これ、次からも使えるな」

「ふっざけんなよ! 痛えんだよ! テメェ俺の左手殺す気か!?」


 カケルの言葉が信じられないとばかりに牙を剥くトール。とても痛かったのだろう。今にも襲いかからんばかりの雰囲気にカケルも口をつぐみ、顔をそらすように上空を見上げた。



 ふとカケルの瞳に一瞬だけ、異様な物が目に入る。


「ん?」


 学校の屋上。緑色の何かが視界の端に映ったような気がした。

 思わずそこに焦点を合わせるが、すでにそこには何もなかった。気のせいだったかとカケルは首を傾げる。











「ヴァルゴレッドさん!」


 ふと聞こえてくる声にカケルが顔をしかめた。

 その方を向けばトーカが瞳をキラキラさせて、カケルに向かって走り寄っていた。その後ろにはココロと安倍川が着いてくる。


「お疲れさまです、ヴァルゴレッドさん。とってもかっこよかったです」


 ほんのりと顔を染めるトーカの姿は、誰が見てもうっとりとしてしまうほど可憐であった。しかしカケルにはトーカの美貌は一切通用しない。

 嫌悪感を隠しもせず、口を開いた。


「何で、エビルの側まで近づいた?」


 カケルの声が低くなる。その空気に気づき、トーカの顔色が一瞬で青ざめた。

 カケルは苛ついていた。トーカがこの場に来たことで、事情を知っているココロはともかく、まったく関係のないはずの安倍川までエビルに接近することになってしまった。


「君が慕ってくれているのは十分わかってる。でもそんなのは関係ない。危険な場所に近づいてはいけないなんて、小さな子供でも教わっていることだ。それなのに君はわざわざ近づいた。それも他の人まで巻き込んで。君たちが傷つかないように気を回さなければいけないこちらの都合も知らずに」


「あ、あの」


「君がどんだけファンだと言い張ろうとも、それはこちらにとっては邪魔でしかない。だから」


 二度と顔を見せるな。

 そう言い切るつもりであった。いや、言う寸前だった。

 しかしその言葉をなんとか飲み込む。

 ココロが眼孔を見開きながら、カケルを凝視していたのであった。その瞳は「それ以上言ったら、幼なじみの縁を切る」と告げている。

 カケルはその瞳から逃れるようにまぶたを閉じた。


「・・・・・・応援してくれるのは嬉しいけど、危ないから気をつけてね」


 そしてそう返すしか、カケルはできなかった。

 トーカはパアッと花が咲くように顔をほころばせた。


「ヴァルゴレッドさん!」


 そしてトーカはカケルの首に抱きついた。乙女戦士(ヴァルゴファイター)になっていることで、今のカケルとトーカの身長はほぼ同じだ。トーカはカケルの首に腕を回したまま、カケルの顔を見つめる。そうすると2人の顔は自然と近くなった。今にも鼻が当たるのではないかという近距離にカケルは冷や汗をかく。

 そしてトーカの行動にココロは驚きつつも真剣な顔に、トールはこれ以上なく目を見開いた。


「待って、待って。顔近い」

「嬉しい。アタシ、ヴァルゴレッドさんに嫌われたらどうしようかと」

「わかった。わかったから。十分君の気持ちはわかったから」

「本当に? アタシがどんだけヴァルゴレッドさんのこと想ってるかわかるの?」


 話す際の息づかいが互いに伝わり、カケルは混乱する。さすがにここまで近い距離で会話をしたことなど、童貞のカケルには1度もない。ココロにですらこの至近距離で会話することはなかった。だからムリヤリ突き放すという選択肢がカケルの頭から抜けてしまう。

 今にもキスしてしまうのではないか。とカケルが思った瞬間。



「何やってんだあああああああああ」

 トールが2人の間に腕を入れて、ムリヤリ2人を離した。


「テメェら何やってんだあああ。気持ち悪い!!」

「何よ、このチビ!!」

「誰がチビだこらあああああああ」


 トールとトーカがぎゃんぎゃん騒ぎ合う。それを傍目に、カケルはほっと一安心した。疲れた足取りで、おいちゃんの元へと歩き出す。さっさと起こしてテレポートでここから去ろう。そう思うのだった。




 そんな3人の姿を見ながら、ココロと安倍川が腕を組みながら真剣にうなずいていた。


「凄い。巨乳同士がくっつき合うと、胸があんな感じになるんだ。やばい、ヴァルゴレッドの谷間がよく見える分、胸が押しつけられるのがよく見える。どうしよう。最初はトーカちゃんに抱きつかれてるヴァルゴレッドうらやましい、と思ったのに。どんどんあのヴァルゴレッドのポプルルルンおっぱいに当てられているトーカちゃんがうらやましくなってきた。くそう、私は一体どっちと変わればいいんだ。いっそ2人の胸にプレス死されたい」


「やべえな。二次では百合本いくつか見たことあるけど、実際目にすると凄い興奮する。やばい、これはやばい。兄貴が変な扉開く気持ちがわかった気がする。百合がおっぱいくっつけ合う絵とかよくあるが、確かにこれはロマンだってのもうなずける。なんだろう。高瀬の変態発言にはドン引きなのに、この2人の百合はアリだな。うん」


 幸いなことにそれぞれの思惑など誰も聞いていなかった。









 後日。

 トールは実家で、見慣れない物を手にするトーカを発見した。


「おい、なんだよ。そのカメラ」


 トーカが手にしていたのは、超望遠付きのデジタルカメラだった。どう見てもプロが持っているような造りをしており、今までのデジカメと違い可愛らしさなど一切ない。トーカが持つには不相応にも思える。持っているだけで重そうなそれを構えながら、トーカは真剣な表情で説明書を読み込んでいる。


「バードウォッチングでもすんのか」

「ヴァルゴレッドさんを遠くから応援するためよ」

「おいおい、とうとうストーカー行動までするようになったぜ。俺の妹は」



「ヴァルゴレッドさん、安心してください。打出藤花、あなたの邪魔をすることなく、あなたのことを離れて見守って見せます」




 1人の高飛車な読者モデルが新たな道を進もうとしていた。

 そしてそのタイミングでカケルは大きなくしゃみをするのであった。

この後はまた数話、番外編となります。

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