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DTED・乙女戦士(ヴァルゴファイター)  作者: カタリノ
この作品には、下ネタがキーワードに入ってます
40/61

第1話 ないすぼおおおおおと

タイトルでわかる人はわかると思いますが

アニメネタ含まれてます。

 とある休日の午後。

 カケルは自宅にて勉強道具を広げてシャーペンを滑らせていく。黙々と作業する姿においちゃんがつまんなそうな顔で宙に浮いている。


「そんなにベンキョーしてどうすんねん。セイシュンやろ。もっとやるべきことがあるやろ」

「ない」

「おま、サビシーやっちゃな。オトナになって過去をふりかえったときムナシーとおもわんのかい」

「思わない。学生は勉強が本文だろ」


 きっぱり言い放つカケルにチェーとおいちゃんはつまんなそうに口を開く。


『おもしろくないやつやな。ココロのじょーちゃんは今からデートやっちゅうんに』





 カシャーーーーーー・・・・・・・・・・・・ン


 カケルの手からシャーペンが落ち、それは机を跳ねて床に落ちたのだった。







 一方その頃トールは、大あくびをしながら自室を出た。今お目覚めである。いいご身分だ。腹をかきながら食事をするため階段を下りていく。

 すると玄関でお洒落な服に身を包んだ妹であるトーカの姿があった。長い髪も可愛らしくまとめてあり、これからデートでもしそうな格好だ。しかしその表情は硬く、まとっているオーラも毒々しい。その様はまるで今から奇襲をしかける武人のごとく、あるいは暗殺者がターゲットを仕留めるがのごとき重苦しさがあった。


「テメェ、どこの組にカチコミしに行く気だよ」

「何言ってんの?」


 トールの言葉にトーカが刺々しく返す。やはり機嫌が悪いらしい。今にもトールの首を刎ねるかのような恐ろしさにトールは首を押さえた。

 玄関まで近寄れば、トーカの顔に化粧が施されている。仄かに化粧の香りがし、思わずトールは顔をしかめた。鼻の前を手で払う。


「相変わらずくっせぇな。んなメイクして素顔隠して何すんだよ」

「少なくともアンタのそのだっさい格好よりも数倍マシよ」

「そりゃ常にバリバリ決めてますみたいなテメェより、数十倍楽だぜ」

「自慢して言うことじゃないっての。ってか私からしたらアンタのが汗臭いんだけど。気持ち悪いから近寄らないで」


 互いにフンと睨みつける。

 しかしトールは妹の姿とオーラに違和感を覚える。だがまるで今のトーカのお洒落は、完全武装状態に見える。


「トーカ。お前どこに行くつもりだよ」

「何だっていいじゃない」



 トールには付き合ってられないとばかりに、トーカは靴を履いて扉に手をかける。

 しかしそこでトーカの動きが止まった。


「そうね」


 トーカは笑った。それはそれはとても美しい笑みだった。

 その笑顔にトールはぞっとするものを感じた。



「戦よ。今から戦に向かうのよ。今日こそあの女の腹の中をかっ捌いてやるわ」



 トーカはそう言い捨てて、扉を乱暴に閉めて出て行った。

 ポツンと残ったトールは、しばらくそれを見つめて



「あいつ、殺人予告しやがった!!!」


 そう叫んだ。トールは両手で頭を抱える。ちなみに今家にいるのはトールのみで、誰もトールの意見を聞いた者はいない。


「女の戦いって何だ。あれか? 嫁姑問題ってやつか? いやいやいや、あいつまだ15だから結婚できない。女の戦い・・・・・・女の戦い? この泥棒猫!! ってやつか!?」


 トールの脳内に浮かぶ、女のドロドロ展開。

 嫉妬で互いをボロクソになじり、痛めつけ、己の勝利のために相手を地に落とす。

 震える手で、トールは口元を押さえた。


 そして思い出すのは、トーカの「かっ捌く」宣言。

 これは武器が現れる。


 トールは口元を押さえた手をグッと握る。



「おもしろくなってきやがったああああああああああ」


 とてもワックワクした瞳で、勢いよく立ち上がる。


「おっしゃあああ。さっさと準備して出かけねぇと」


 トールは急いで台所へ行き、朝食として用意されていたおにぎりにかぶりつく。おにぎりをくわえながら自身の部屋に行き、胃に米を入れながら適当に着替える。

 そしてトーカが出てから数分後。驚異のスピードで準備をすると家を飛び出した。

 しかし飛び出してから、トーカがどこに行ったのか聞いていないことに気づく。トールはトーカに連絡をとろうかとスマホを開いたときだった。

 視界に見覚えのある男の姿が見えた。トールはスマホを握ったまま、その方へとダッシュする。




「安倍川ああああああああああああああ」

「げっ、打出!?」


 そこにいたのは安倍川だった。

 実はトールと安倍川は中学校だけでなく小学校まで同じであった。つまり住んでいる地区が同じということである。ただ昔からそんなに接点があるわけでもなく、むしろ高校になって互いの友人を作ってから交流ができたといえる。

 要は昔馴染みの安倍川はトールだけでなく、トーカのことも知っている。


「おい、トーカ見なかったか!?」

「いきなり喧嘩腰とか何様だお前はよ!!」


 安倍川の側にたどり着くなり、勢いのまま胸元を掴む。掴まれた安倍川は怒りをもって言い返す。喧嘩を売られたと思ったのか、その顔は嫌悪に染まっている。

 だがトールはそんなこと気にする暇はなかった。女同士の血みどろファイトと見逃してはなるかと、躍起になっていた。




「トーカがどっかの泥棒猫と血を血で洗い流す、刃物上等のバトルが始まるんだよ」

「何が起きた!?」

「相手の女の腹かっ捌く行ってたぞ」

「まさかの『ないすぼーと』案件だと!?」


 顔を青ざめた安倍川が口にした単語に、トールは首を傾げる。

 理解できなかったこともあり、「ナイスボール?」とつぶやいた。何故ここで投球のコントロールを口にしたのか。武器は刃物じゃなくてボールなのか。


「何言ってんのかわかんねぇけど、元野球部としてバットとボールは戦いに持ち出すべきじゃねぇぞ」

「何がどうしてそう言い出したのかはわかんねぇけど、ボールで人が死ぬのはどっかの論破で十分だ」

「安倍川の言っていることが理解できねぇのは、俺が頭悪いだけじゃねぇと思う。ってかそんなんどうでもいいんだよ。トーカのやつどこ行ったか見てねぇのか?」



 これ以上言い合っても埒があかないと、安倍川から手を離してトールは尋ねる。

 聞かれた安倍川も顎に手を当てて、視線を上にしながら思いだそうとする。


「そういやさっき凄くオシャレな女子が歩いてたな。多分駅に向かったと思うぞ。後ろ姿しか見てないから、あれが打出妹かまではわかんねぇけど」


 それを聞くと、よし!と打出は気合いを入れて駅の方へと走っていく。

 その後ろを安倍川が追っていった。



「何で安倍川まで着いてくんだよ!」

「いや『ないすぼーと』案件はマズいって。中学のときに暇だから昔やってた作品でも見るか、と軽い気持ちで見て最終的に気持ちが沈んだんだぞ。あれ誰も幸せにならねぇじゃん。あの後そのショックを忘れるために、『坂本』と『関くん』見たんだぞ!!」

「誰だよ、坂本と関って。どこの球団の坂本と関だよ」

「どっちも高校生だよ!」

「まさかの高校球児!?」

「違えわ馬鹿!!」

「なんとなくこの状況で俺が馬鹿って言われる筋合いはねぇと思うぞ!」



 2人はギャーギャー叫びながら駅へと向かっていったのである。

まさかの安倍川連続出演

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