表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人と二人  作者: 木本 厚(きもと あつし)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/11

ワイン

「どれから試そうか」と石塚が言う。「どれでもいいよと横にいる水上が答える。ただいま石塚の家のキッチンで腕組みをしている二人。「そもそも、なんで私の家に持ってくるのよ?」と石塚が水上に向かって言う。

「今度、うちの会社に山地フードカンパニーからオファーが来てワインをうちから卸す話が出たんだ」と説明し始めると、「山地フードカンパニーは、高級レストランからファミレス、居酒屋まで手広く展開している企業だよね」と石塚が口をはさんだ。「良く知ってるね、でそれらの店に出すワインについてうちで持っているワインのどれを提供するべきかということを社内コンペすることになったんだ。そしてそこに僕も参加するっていう話から」と説明する。「フーン、で何で私の所へ来たの?水上くんだってワインについて中々詳しいしおいしいのも飲んでるじゃん」とまたまた聞く。「今回ワインだけで選ぶわけじゃなくて食事と合わせるという事も重要と思っているわけで、思いついたのがプロの料理研究家でワインソムリエのあなたと言うわけです」と石塚を見つめる。「そのまなざし、やめようよ。いい顔の男がそんなまなざしすると勘違いするわよ」と石塚が視線をそらす。「へー、石塚でも照れるんだ」と軽口を言う。「自分が思う以上に顔が良い事を自覚しなさいよね。大学時代からの知り合いじゃなかったら騙されるわよ。ほんとにチャラいって言われているのもわかる」と続けた。持って来たワインは3本どれも赤ワインでフランス、イタリアと新世界の産地がそれどれちがう物。

「とりあえず、僕が良いと思った3本を持って来た」と水上。

「ところでもう一回聞くけど何でわざわざうちに持って来たの?呼んでくれたら行ったのに」と石塚。

「いつもうちで飲んでるからたまには違う所と思って」と水上。

「うちのキッチンは撮影とかもやっているから、裏はごちゃごちゃしてるから水上君の所のほうがきれいで」と言いかけると「きれいなキッチンだと生活感が無いからちょっと勘違いしちうかもしれないって思って、こっちに来た」とニコニコ。

「はいはい、うちのキッチンは生活感ありですからね」とちょっとだけ脹れる石塚。「あ、石塚もそんな顔するんだ、結構かわいいね」と言うと「そんな事ばっかり言って、だから君はチャラいとかプレーボーイとか言われるの」言い返す石塚。

「えー」そうかなと全く意識していなそうな感じで言うと「そういう、自然体で出来ちゃうのが問題なの」とさらに言う。しょうがないなという感じで話を切り返す石塚。「課題は?ワインだけ?山地フードカンパニーからの依頼となるとレストランとかに出すワインでしょ。だったらどこのレストラン?高級店?ファミレス、居酒屋それぞれで出す料理も違うからワインも変わるでしょ?」

水上が頷きながら「そうなんだよね。その辺がまだ公表されていなくて、社内コンペの課題は山地フードカンパニーに合うワインというあいまいな事になっているので僕も考えあぐんでいる最中、そして石塚さおりさんの名前が浮かび上がったわけ」と楽しそうに言ってきた。「フルネームで言うな」と一言、でもちょっとうれしい気持ちもあった。気持ちを切り替えて石塚が「そっか、じゃあまずこの3本飲んでみよっか」とボトルに手を出す。「いきなり試飲するのか?」と聞くと「弘明が持って来た3本なんだからそんなにおかしなものじゃないと思うけど、飲んでみないとわからないから」と1本目のコルクを抜きにかかる。「まあ、そうだよな」と水上も納得して3本とも栓を開けた。ワイングラスが6個並ぶ、ワインの良い匂いが部屋に漂う。「簡単にまとめるとフランスはしっかりした感じ、イタリアもしっかりしている感じはあるけど少し軽いかな、これはこれで良い。新世界は軽めで誰でも好きそう」と水上が一言ずつ言うと「私も大体同じ感想だけど、まだ言葉にしたくないな」と石塚。「やっぱり、ワインだけ飲んでもわかんない。食事しよう、食事」と石塚が立ち上がる。「え、どこへ行くつもり?」と水上。「山地フードの関係ある食事どころよ」と石塚。「レストランの予約は結構待つよ」と水上が言うと「そんなのはわかっているからファミレスや居酒屋から始めるの、もちろんレストランも予約して、私着替えてくるから、あ、食事代は水上持ちね」と奥に引っ込んだ。

「食事代ぐらいなら持つけどね」と二人とも何となく嬉しそうな雰囲気だった。

石塚が着替えて、水上と外に出た。水上の茶色のチノパンにクリーム色の開襟シャツにベージュのジャケットに合わせた様に薄黄色のワンピースに濃いめの茶色のカーディガン、少し茶色に染めた髪とも合っている。「良い合わせだね。美人度と可愛さがアップした」とまた軽口。「だから、そういうのは少し黙って」と言いながらも褒められるのはうれしいと思うさおりだった。

最初に入ったのは駅前のファミレスだった。山地フードとして一番最初に始めたレストランで今も主力だった。

店内に入り、「さて何を頼もうか」とQRからメニューを呼び出す。結局、水上はハンバーグステーキ、石塚はイタリア風ドリア、それぞれ前菜にサラダをそして最後にワインをオーダーした。

最初にワインが届き、サラダ、メインがほぼ同時にテーブルに置かれた。

「いっつも思うんだよね、よくこの短い時間で出せるなぁって」と水上。

「ほとんど、お皿に載っていて最後にドレッシングをかけたり温めたりするだけだからじゃない」と石塚が当然の様に言う。「まあ、味はそこそこだけど値段を考えるとこんな所かもね。ワインは赤も冷やしたものを出してごまかしているけど冷やしちゃいけないって事はないからこれもOK」と石塚がワインを一口飲んでしめた。「うん、そうだよね。値段を考えるとこれはこれで良いと思える」と水上も納得した表情で答えた。「でも、ここにさっき飲んだ3本のワインは合わないよワインの主張が強すぎるしこの値段じゃ出せない」とさらに続ける。「そうだよねあのワインはここには合わないかな」と石塚がまたワインを一口。

ふたりしてこんなもんかなと変に納得して店をでる。「次どこに行こうか、少し腹ごなししてからにしよう」と水上が言うと「なんか、水上君とデートしているみたい」と石塚が急に言い出した。「え、僕と石塚がデートしてる?」と言い返すと

「だって、二人で出かけて食事してそれからどこかへ行こうなんてデートじゃない」とニコニコしながら言うさおり。「そうか、そうだよね。石塚とデートか、そういえば石塚と二人で出かけた事なんてなかったかもな」と言うと「そうかもしれないね、大学時代も静香とは出かけた事はあるけど、ほかの時は大体4人でだものね。あ、一回だけ坂本君とでかけたかも」と思い出した様にいう「お、坂本と二人で?何があった」と興味津々に聞く「ああ、でも大したことないことで、キッチン道具を選ぶのに付き合ってもらっただけよ」とさおりが言うと「残念」とだけ言う水上。「え、どうして、私と坂本君が付き合ってたほうが良かった?あっそうか、水上君は静香と付き合いたいの?まあ、二人なら良い絵になるのは間違いないけど」

「良い絵になるとか、それ他人の目線でしょ。それに石塚とだって良い絵になると思うよ」と返すと「でたー、それがチャラいっていわれる理由よ」とさおりが突っ込むと「え、そうかな。普通に言っているつもりだけど」とちょっと変な顔をする。「ま、私ならば理解出来ますから大丈夫ですけどね、でも私と水上君でも絵になるっていうのは違うでしょ。」というと「どんなことはないよ、さっきのファミレスでもチラチラ見ていた人がいたし」「それ水上君をみてたんでしょ」と言うと「違う男性だった」と言い返す。「へー、じゃあ私も自信もっていいんだ」と言うと「十分自信持って良いし、実際に自信あるでしょ」と言ってきた。「わかりますぅ」と茶目っ気たっぷりに返すさおり。「そうゆう所が可愛い」と水上。「だから、ちゃらい、プレーボーイっていわれるの」と再度つっ込むさおりだった。

「さて、ばかっ話はこのくらいで、腹ごなしならウインドショッピングに付き合ってよ」とさおりが改札口へ歩き出す。「はいはい、それではご同伴いたします、ところでどこへ?」と聞く水上。「銀座辺りか新宿かな」とさおり。「あー、めんどくさ」と本音がでた弘明。「これもワインの相談料に入っているから」とさおりが言うと「わかりましたでは行きましょう」と二人して改札口に吸い込まれて行った。


居酒屋メニューも今や何でもあると言う事を理解した二人だった。

「ワインもあるね」とメニューを見ながら二人で言い合う。

「何と合わせて飲むのかな?」とさおりが不思議そうに言うと「たぶん関係ないんじゃないかな」と弘明。「え、普通はおいしく飲める様に食事を考えるんじゃない」とさおりがさらに不思議そうに言うと弘明が「こういう所ではみんなでワイワイ騒ぐか少人数で楽しむところで食事の味は二の次じゃないかな」と答えた。

「そうなのかな、おいしいものをみんなでワイワイするほうがもっと良いんじゃないかな」さらに聞くと「確かにおいしいといいよね、でもわざわざワインと合うかなんで考えるのはここじゃないんじゃない?」と言いながら「まずはおいしそうなものを頼もうか」と言って、何点か注文する。最後にやはりワインを頼む。ここは幾つかのボトルがありそれから選べる様になっている。どれも手ごろな値段であり懐具合を気にしなくても頼めるワインだ。「あ、多分これおいしいと思う」とさおり。「でも、これけっこう重いから単独で飲んだ方がおいしいかも」と一人でぶつぶつと言っていると「赤ワイン全種類、グラスでオーダーしよう」と弘明が勝手に頼んでしまった。「えー、そんなに飲めないよ」とさおり。「イヤーイケるでしょ」と軽口をたたく弘明。「食事もあるし、こんなに飲んだら酔っぱらっちゃうよ」と言うと「そしたら、送ってあげるから」と弘明が言うと「送り狼だ」と茶化す。

「僕、いままで送り狼になった事ないんだけどね」と切り返すと「えー、いつも彼女を変えているってきいているんですけど」と問い詰めると「まえにも言ったけど話が盛り上がらない子ばっかりだったし、KOHANに行ってそこでバイバイ、だけとさおりとは話が盛り上がるな、どうしようかな?」とさおりを見る。「やめてよ、今はそんな気分じゃない」と言うと「あ、今がダメなんだ、それじゃいつかはありなのかな?」と聞くと「言葉のあやよ」とほっぺを膨らます。「それもかわいい」と言うと「だからプレイボーイ」と言い、届いた突き出しを箸でつまむ。

ずらっと並んだワイングラスを目の前にして「5杯づつか」と二人で見る。

端から少しづつ味わう。これおいしい、これ少し渋いとか言い合いながら結局5杯全部飲み干した。食事もそこそこ満足して少しいい気分で店を出る。

「あーおいしかった。ご馳走様」とさおり。「はい、ごちそうさまでした。でワインの感想はどう」と少し真面目そうに聞く弘明。「おいしかったけど、別に主張も無いし今日選んだ料理とも相性は悪くない、でもワインも料理もお互いにおいしさをあげる様な感じではないかな」とこちらも少し真面目そうに答えた。

「そうか。僕もそんな感じだな、僕以外も同じ事を考えるってことはそんなにはづれていないってことか」と残念そうに言う。「じゃあ、最後は本命のレストランね」と少し嬉しそうに言うさおり。「急にどうした」と弘明。「だって、この系列のレストランって言ったら、そう中々行けないところだしおごりだしワインもおいしそうなのがありそう」とニコニコ顔。「とりあえず予約は1週間後で何とか取れたから予定空けておいてね」と返すと「わかってる、大丈夫。デートのつもりで気合入れて準備するから」とさらにニコニコ。「着飾りすぎて何も入らないなんて言うなよ」と言うと「大丈夫、その日に合わせて食事制限するから」と真面目な目で答えた。

「そこまでしなくて良いから」と少し後悔する弘明だった。

いらっしゃいませと入口で予約確認をされる。「予約していた水上です」と言うと

「2名様ですね、席をご用意いたしますのでバーでお待ちください」と案内される。今日の二人の恰好は、石塚が、深緑色のノースリーブのワンピースにクリーム色のカーディガン、広く開いた胸元には細いシルバーのネックレスにヒスイのペンダントが付いている。深い谷間にきれいに収まっている。ピアスはシルバーのリング。水上はダークブルーのスーツに白いワイシャツ、ネクタイは薄いグリーン。

「ネクタイグリーンにしたんだ」とさおり、「緑の服を着てくるって言ってたから」と弘明が返すと「わかっているねぇ」さおりがニコッとする。

シャンペンで唇を濡らしていると席に案内された。窓側の席で夜景が良く見える場所だった。「なにか特別におねがいしたの?」と、前のめりになりながら聞くと「特に、男女二人だから向こうが気を利かせただけじゃない?」と普通に答えた。「今までもそうだった?」とさらに聞くと「このくらいのレストランに来る事はあまりないけど、多分そうだったと思う」とまた普通に返す。「このクラスのレストランに連れてくる彼女なんていたんだ」と感心していると「え、なんで聞くの?この子ならって思った子は何人かいたよ。喜んでいたけどやっぱり話が続かなくてその後KOHANに行ってお終い」と両手を脇に軽く上げる。「最後まで行った彼女はいないの?」と微妙な事を聞いてきた。「何聞いてるの?こんなレストランに来た後に最後まで行った子はいないな」と思い出す様に言う。「じゃあ、もっと違うレストランならあったってこと」とさらに聞いてくる。「しつこいな、普通のレストランやファミレスの後に勢いで行った事はあるよ」とメニューを見ながら答えた。

「まあ、そりゃあるよね、それだけいい男なら」と半分納得、半分不機嫌でメニューを眺めるさおり。「なに、不機嫌になってるの」とメニューとさおりを交互に見ながら聞くと「特に何でもない、でも私はどっちなのかなと思って」とメニューを見続ける。「そりゃ、最後まで行くほうでしょ」とさらっと言う弘明。さっと弘明を見て「なにさらっと言っているのよ」と返すさおり。「そりゃそれだけの美人で可愛くて、今日なんか胸元なんかも色気いっぱい出し、それに話は続くし、そのまま返す理由がない、あ、でもさおりだからちゃんと送っていくからね」と満面の微笑みで答えた。「そう言う事」とまた少し不機嫌になる。「あれ、帰さない方が良いのだったら僕の家に泊まる?」と聞くと「水上君の家には泊まらない」と言ってさらにメニューを睨む。ウエイターが様子を伺いつつオーダーを待つ。前菜、とメインが決まり次に飲み物となった。ワインリストを見ながら「やっぱり、私のには値段が無いや」とさおり「当然でしょ、でも大体の値段はわかるよね」と弘明。「残念ながらその通り」とさおり。さおりが赤ワインをオーダー、色々と試したいのでグラスで頼む。最初のシャンペンを飲みながら料理を待つ二人。

「たぶん、料理もワインもおいしいけどやっぱりこの景色が見れるっていうのがこのレストランの良い所よね」とさおり。「そうだよな、このレベルのレストランならとんでもないワインもあるけどそんなのは普通頼まないし、沢山注文されるワインが無いと意味がない」と少し仕事モードで言った。

ウエイターが上品な仕草でグラスを置いていく。水上が口をつける「ワインもおいしいし、料理もおいしい。前には美人で可愛い女性が一緒にいる。最高のシチュエーションだね」と微笑む弘明。「ワインもおいしいし、料理もおいしい。前にはいい男が座っていておごってくれる。最高ね」とさおりが同じ様に返しワインを口にした。デザートまで堪能してさおりはいい気分でレストランを出て、家まで送ってもらった。エントランスで別れて部屋で着替えている時にふと弘明がいい男であることはわかっていたが今日ほど心が落ち着き楽しくなったのは初めてだったことに気づいた。明日改めて会うのはいつも感じになるのかなと少し残念な気持ちがワインの澱の様に心の隅に残った気がした。


「ごめん、遅くなった」と手を上げながら近寄ってくる水上。

黙って小さく手をあげて合図をする石塚。「ちょっと、手を上げながら近づいてくるとは恥ずかしいじゃない」と水上がすわるやいなや言う。「ごめん、色々とあって遅くなったんで怒られると思ったもんだから」と両手を前で合わせて謝る。「まあ、この程度の遅刻ならば問題ないし考える時間も出来た感じだから良いけど、ペナルティーでここはおごりね」と腕を組みながら言った。「まあ、しょうがないか」とだけ水上。「やった、じゃあ甘いもの頼もう」とメニューのQRを読み込む。「一緒にコーヒーも頼んで」と水上。「オッケー」と石塚。まもなくコーヒーとスイーツが届いた。スイーツを口にしつつ「昨日のレストランおいしかった。ご馳走様」と改めてお礼を言う「ああ、おいしかったし、景色もよかった」と水上。さおりは昨日の夜の気持ちを少しだけ思い出した。

気分を切り替えて「さて、どのワインを選ぼうか、持って来た3つも良いけどそれ以外の選択肢もあるかもしれない。水上君の所の扱っているワインリストはある?」と若干仕事モードになるが、スイーツを食べながらなのでなんだか格好がつかない。「それなんだけどね」と水上がコーヒーを飲みながら「無くなった」とポツリ。石塚が何を言ったのか理解出来ない風に「なに?」と聞きなおす。「だから、無くなったのコンペが」と声は明瞭だが弘明とは思えない歯切れ悪い言い方だった。

「はー、無くなったってどうして?」とスイーツのスプーンが止まる。「なんだかわからないけど、今日の朝にこのプロジェクトが無くなったからコンペも中止って連絡が来てなくなったんだ。どうも相手側からキャンセルの連絡があったらしい」「キャンセルなんで有るんだ」と石塚。「めずらしいことではあるけど、依頼元の内部トラブルとか元々の依頼が社内の承認なしで進められていたとか、たまにあるけどね」とあまり話したくないそぶりで言う。「まあ、そんな話は外部の人には話したくないよね。急にワイン選びが無くなったって事で話を終わらせていいわ」と少し前のめりだった姿勢を戻して背もたれに体を預ける。「おいしい食事が出来て、おいしくワインが飲めて、気持ちが良くなって、最後においしいスイーツが食べれたから許す」と白いクリームを口に入れて味わう。「そう言ってもらえると助かる」と正直情けない表情をする。「めずらしいわね弘明がそんな顔するのは」と唇を舌で舐めながら言うと「まあ、ちょっと気合入れていたからね。ところで男の前に唇を舌で舐めるのはやめといた方が良いよ」と急に話が変わった。「どうして」と石塚。「エロいから」と一言水上。「え、」と絶句する石塚。「さおりみたいなかわいい子が唇を舌で舐めるなんてエロいだろ」と繰り返す。

「そうかなぁ。じゃあ弘明の前以外では気を付ける」と返す。「僕の前でも気を付けて」と返してきたので「じゃあ、気をつける」とだけ返した。昨日の楽しい気持ちが再び香立ってきた。「もう一個、別なの頼んでいい?」とさおりが笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ