パートナーいや婚約者?
「なんか、すごくない?」と光明寺が変な声をあげる。ただ、場所が場所なだけに隣にいる坂本にだけ聞こえるように小声で言った、つもりだったが静かなその場所では皆に聞こえるような気がした。ここはあるデパートのサロンルーム。
外商顧客が使う様な場所だ。
何でこんなところにいるかと言うと全ては坂本のせいだった。
カレー問題が解決して今度は坂本のパートナー問題を解決するために呼び出された土曜日。待ち合わせはこのデパートの正面玄関。着いたらすぐにこのサロンルームに連れてこられた。
「さってと、光明寺がパーティーに着る服を選ぶぞ」と部屋に入るなり言い出した。後ろにいた担当らしい男性が「こちらの方のドレスを選ぶと言う事でしたら女性の担当者を呼びますので少々お待ちください」と言って音もなく消えた。
次に来たのは30才位の女性で所作もきれいな人だった。
坂本が、今度うちの爺さんの誕生パーティーがあるんだけど彼女と出る事になったのでドレスを見せてほしいんだとノタマウ。坂本に「剛、あんたこんなところに来た事あんの?」と聞くと「前に爺さんや母さんと一緒に来た事はあるけど、年に1回ぐらいかな」と普通に答えた。年に1回でもこんなところに来ると言う事はどんな家族だと目を大きく見開く。「細かい話は後にしてまずは服を選ぼうか」と坂本は端に置いてあるソファーに座る。私はいま用意された……壁にかかっている数えきれないほどのドレスに圧巻されている状態。
「ねえ、いつもの様なダーク系のスーツスカートじゃダメなの?」とわかっているけど聞いてしまう。「ダメ、まず爺さんがイブニングドレス着用ってドレスコードを指定しているから。本当にめんどくさい事してくれるわ。でも費用はあっち持ちだから気にしないで」と軽く言う。「それに仮にも僕のパートナーとして出てもらうし、虫よけになってもらうにも他人を圧倒しないとね」とニヤッとする。「はいはい、虫よけね」ともう居直ってドレスを選ぶことに集中する。
「これなんかどう」とドレスを自分の前に当ててこちらを向くが「着てみないとわからんでしょ」と一蹴。それもそうだと思い何点か持って着替えに行く。
1点目、黒いサテンの様な感じで胸元もきれいに開いているAラインのドレス。丈も膝ちょっとしたという普通ならば足が短く見えるが静香のスタイルはそれをモノともしない。「いけど地味かな」と一言。静香自身もそんな気はしていた。
次は、クリーム系でくるぶしくらいまであるドレス。胸元はしっかりと隠れていて胸が無い人には良いかもしれないが少し幼くも見える。つまり、静香にはあまり似合っていない。「ちょっとちがうかな」とダメ出し。次は背中が開き過ぎていてパーティーコンパニオンと間違われるとNG。光明寺自信もここまで背中が開いているのは坂本が良いと言っても断った。二人であーでもない、こーでもないと言いながら色々と試着していく。担当の女性は嫌な顔一つせずにサポートに徹している。その対応に光明寺も感心するばかり。
あれこれと試着した中で2着ほど二人が良いと思ったドレスがあった。
一つは、エンジのサテン系で肩紐が細く肩回りが大胆に露出しているが、下品な感じはなく、ドレスも前側が膝少し下で後ろがくるぶしまである斜めカット、ウエストには同色のベルトがリボン結びされている。
もう一つは、南国の海の用なブルーで同じくサテン系でキラキラした感じ、胸元が大きく開いているが肩へのラインがきれいで上品な感じである。下は右から左にかけて大胆に斜めになっている。歩くと膝下あたりまでチラ見えするのがほど良い色気を出している。
どちらの服も着ている光明寺という素材が良い事もありきらびやかである。
この2着を試着して「どちらも良いね」と坂本がうなる。
「どっちが良い?」と静香に聞く。「私に聞かないでよ、わかんないわよ。こんなの着たことないんだから」と本音をこぼす。
「そうなんですか? モデルさんかと思いました」と担当女性。
ゴマすりなのか、本音なのかわからない所がすごい。
「じゃあ、両方。それに合うヒールとか小物もお願いします」と坂本。
担当女性が頭を下げて部屋を出て行った。
「2着は多いんじゃない」と静香。
「今決められないなら、とりあえず両方、爺さんは1着とは言ってなかったし」
「実は爺さんにはまだ決まった人はいないと本音のところを言っていてわかってもらっているからどちらかと言うと爺さんの周りに対するブロックが主な理由で、去年までは欠席で通していたんだけど、今年は絶対出ろと言われたからしょうがなく出るからこっちの言い分も聞いてもらったわけ」と茶目っ気な返事をした。
「それでもなんだか悪いわ」と言うと「虫よけ代と思って」とまた軽く言った。
絶対虫よけ代なんかでは済まない値段である事はわかる。これ以外に小物が入ったら一体いくらになるのか。光明寺は別世界にいる感覚になった。
結局、2着のドレス、それに合うヒール、イブニングバック。ネックレスとピアスもと言われたが流石にそれは辞退した。
デパートを出たのが夕方、それからファミレスに入った。
「あー、やっぱりこっちの方が落ち着く」と両手を上に上げて延びをする光明寺。
「お疲れさん、でも似合っていたよ」と坂本。「それはどうもありがとう。ご命令通り虫よけになりますから」と憎まれ口を言う。
食事のオーダーを済ませてから坂本が「カレー問題は上手く行ったの?」と切り出した。唐突だったので目が丸くなった光明寺だったが「うん、以外と上手く行った。父もあのドライカレーが気に入ったみたいだし、当の兄貴はぐーのねも出なかったようでその場で結婚しようってプロポーズしてた」
「え、まだプロポーズしてなかったんだ」
「どうもそうみたい。で実はカレー問題が勃発した時のデートでプロポーズする予定だったみたい」
「結局、上手く行ったってわけだ」と坂本も納得顔で言うと「まあ、そんな感じね」と光明寺も同意。
「話は変わるけどさ、坂本のお爺さんって何やっている人なの?」と前のめりになって聞くが、その時にオーダーしたカレーとハンバーグが届いた。
「カレーにしたんだ」と坂本。「ハンバーグね」と光明寺。二人して目を合わせてから吹き出した。「で、何している人?」と再度聞く。「えーとね、峰岸インダストリーって知ってる?」「うん、有名」「そこのオーナー、峰岸 龍一郎が僕の爺さん」「坂本君って峰岸が本当の苗字なの?」「ちがう、ちがう、峰岸は母方の家系」「父方の方とはもともと仲はいいけど、母方とも仲が良くってさ、むこうはほら身内以外はあまり信用できないって感じで付き合っている感じかな」とハンバーグを切る。
「そろそろ、後継者問題もあるから親戚一同集めて何かするみたい」と他人事の様に言う。パーティーには関係各所からの重鎮も来るだろうし、その中には息子や孫と繫がろうとする輩もいると予想出来る。だから、虫よけですかと一人納得する光明寺。「あれ、納得した様な顔してるね」と剛。「少しだけ分かったから協力はしてあげる。でも仮のパートナーって事を忘れないでね。」とカレーを一口。
「仮ね」とハンバーグを一口。
2着のドレスは少し調整が必要だったので、静香はまたあのサロンに出向いた。
再度試着して、確かに良いドレスだと確信しつつ、どっちを着ようかと贅沢な悩みを持って家に持ち帰った。自宅の部屋の壁にそこにそぐわないきらびやかなドレスがかかっていた。
今、光明寺は焦っていた。黒塗りのリムジンから降りてレッドカーペットを進む自分と坂本。坂本はタキードをさらっと着こなしている。その横には心臓が飛び出すくらいドキドキしている自分がいる。今更ながらにこのドレスにしたことを後悔した。結局選んだのは、エンジのドレス。壁にかけてよくよく比べるとブルーのドレスでは押し出しが少ない感じがして虫よけにならないという事が理由だった。胸まわりはエンジの方が大きくて開いていて胸が強調される。胸はそれなりにあると思っているがいつもはシャツで首までしっかりとボタンを留めているのでこの様なドレスは何か落ち着かない。直前に坂本が貸してくれたネックレスがさらに胸元に視線を集めた。エントランスではカメラマンが一人一人写真を撮っている。映画スターでもない自分が写真を撮られるのは何か世界が違っている感じがする。
ひきつった笑いをカメラマンに向きながら、坂本に「これどういう事?こんなに派手なパーティーとは聞いていないわよ」と耳元で伝えていると、カメラマンが「あ、いい感じですね、そのままキスしてはどうですか」と言いながらバチバチとシャッターを押す。慌てて顔を話してカメラ目線でほほ笑むとまたシャッターが押された。やっと中に入ってちょっとだけ落ち着く。「あのカメラマン、シャッター押しすぎでしょう」とポツリ。坂本が「それなりのお年の方が多いので静香みたいな美人はいっぱい撮っておきたいんだと思うよ」と少し笑いながら答えた。
入口の方で少し歓声が聞こえた。たぶん、誰か芸能人が到着したのだろう。ちょっとだけ式次第をみたが数名の歌手が出る様だ。アラブの富豪の様な誕生パーティーと思った。「何か時限が違うわね。アラブの王様みたいなパーティーみたい。」
渡されたシャンペンにちょっとだけ口をつけて言う。「アラブの王様のパーティーがどんなものか知らないけれど、今年は爺さんが一線を引いて、おじさんが会長になるって聞いている。で、社長はだれかって話題になっているみたいだよ」
「良く知っているわねさすがに身内ね」と少し感心する。
「まあ、仕事の付き合いがある所ならば大体わかっているみたいだけどね」
「じゃあ、社長候補に剛も入っているの?」
「まさか、会社の重役でもない僕がひょいっと社長なんかになれる訳ないじゃん。会社がひっくり返るよ。それに今の生活は結構楽しんでいるからなりたいとも思わない。」「そうね、昔から自分勝手だからね」と肘で脇をつつく。「そう、会社の従業員を背負うなんてことはしたくないね」と回りを見回す。「そろそろ、集まって来たようだ。主役が登場する時間かな」と言うと「皆様お待たせいたしました。
峰岸 龍一郎 様からご挨拶させていただきます。」と司会役が通る声を発した。
おもむろに登壇した老人というには、歩きも立ち姿もしっかりした人に見えた。
「峰岸 龍一郎でございます。本日は忙しいなか集まっていただき大変ありがとうございます。」と切り出した。会場を見回す顔つきや眼光は老人とは思えない鋭いものだった。「すぐ終わるから」と剛がぽつり。
「長い話は皆さまもお嫌いでしょう。私も嫌いです。よって、ここで乾杯をして挨拶とさせていただきます。皆さま飲み物をお手に取っていただければ」と言うとそこかしこでワイン、シャンパン、ビール等がウエイター、ウエイトレスのトレーから消えて行った。「では、乾杯」と龍一郎がグラスを持ち上げた。各自が口をつけた頃合いでどこからともなく拍手が沸き起こり、その中を龍一郎は会場の人の中へ降りて行った。当然ながら彼の周りは人が集まりどこへ動いたか一目でわかるほどだった。「すごいわね」と会場の隅で若干俯瞰しながら見ていた静香だったが人込みが自分の方に動いてくるのを見て横の剛の顔を見た。
剛が「やっぱり来たか、それも最初かよ」と一言。
「剛、久しぶりだな。いつも欠席ばかりしてしょうがない奴だな」と先ほどの登壇の時とは全く違う破顔した顔だった。「お久しぶりです。元気そうで何よりです。今回はどうしてもと言われたので来る事にしました。」と軽く頭を下げる。「まったく、お前の自由さには驚かされてばかりだ。そろそろ、身を固めても良いんじゃないか?この年寄りの目が黒いうちに。」「まだまだ、お元気ですよね。だから私も当分自由にさせてもらおうとは思っています、あ、でも今付き合っている彼女は連れてきました。紹介します。光明寺 静香さんです。」と光明寺を紹介した。
いきなり振られた光明寺が「光明寺 静香と申します。初めまして」と深々と頭を下げる。きれいにアップされた髪の前髪の一部がさらっと落ちた。
「綺麗な方だね。どこで知り合ったの?」と老人が光明寺の方を向いて言ったが、答えたのは剛だった。「大学から仲の良いメンバーの一人です。そこからの付き合いです。」「私は光明寺さんに、ああ静香さんだったかな、聞いたんだが何故お前が答える?」と少し意地悪そうに返してきた。すかさず静香が「申し訳ありません、お答えが遅くなって、剛さんの言う通り大学時代からの友達でそこから付き合っています。」と答えた。「まあ、同じ答えが返ってくるな」と老人が言うと「あたりまえでしょう」と剛。そのやり取りを老人の周りにいる人々が聞き耳を立てている。
一瞬だけウサギの耳に見えた。
「お前が一人で来たらわしから誰かを紹介しようかとも思ったんじゃがな」
「今回はパートナーと同伴という風に聞いていたのでまだ隠していたかったんだけど連れてきました。」とさらっと答える。気が付くと周りには静香と同じくらいの女性とその親(だいたいは母親)に入れ替わっていた。
なるほどこれが虫よけかと腑に落ちる静香だった。
「まあ、この子に勝る容姿は中々いないだろうな。失礼ながら中身の方はどうかな?」とさらに追及する。「私は普通の家庭に育って普通に勤めています。料理は不得意ですが、これから学べば良いとも思っています。」と自分でも考えてもいない事が口から出た。「家柄なんて、気にしていないよ。なんせ、剛がこんな風だからね」と老人が言うと「彼女は公認会計士、会計事務所に勤めています。それに料理は僕の方が得意なので僕がやればいい」と剛が補足する。
「なるほど、なるほど、静香さんが仕事をして剛が家事をするのもまた良いかも」と一人納得する。「でも剛さんもちゃんとお仕事してますよ」と静香。
「マンションの管理人だったな」と老人が片目をつぶって答えた。周りのご婦人たちの落胆する空気が見えた。「ええ、そうです」と静香。
「まあ、上手くやってくれたらわしはかまわん」と言って次のターゲットに向かって移動した。その動きについて行く人々の後ろ姿を見ながら「とりあえず、虫よけにはなった様ね」と前を見ながら小さくつぶやく。「第一波は上手くいったみたいだ」と静香の方を見てつぶやく剛。「え、まだあるの?」と横の剛に振り向く。
「かもね」
そんなやり取りをしている二人を凝視する人間がいた。光崎商事の小坂だった。
彼は光崎商事の重役の奥様とお嬢様のサポートとしてこの会場にいた。
乾杯でおいしいシャンペンをがぶ飲みしながら様子を見ていると人の流れがある方向に向かっていてその先を見るとエンジのきらびやかなドレスを着て立っている光明寺 静香を見つけた。何故ここに居るのか?などと思いつつ凝視する。
人込みで良く見えないが、エンジのイブニングドレスで胸元は大きく開いてそこにきらびやかなネックレス。きれいな首からつながっている髪はきれいにアップされ上品な雰囲気を醸し出している。横には見た事も無いタキシードの男が立っている。水上ではない事を確認して何故かほっとしている。が、この男も水上ほどではないがいい男のようである。主役の老人と何やら会話をしている。しばらくして人の流れが他へ移動した。重役夫人とそのお嬢さんがその人の流れから離れてこちらに戻って来た。二人に白ワインを渡しながら、小坂は「あそこの二人はどなたなんでしょうか。峰岸様が声をかける方なんですよね」と探りを入れる。
「男性の方は、峰岸様のお知り合いの方ですわ。そして女性の方はそのパートナーとおっしゃっていましたが、まあ付き合っているという程度でしょうか」と夫人が答えた。付き合っているという一言に衝撃を受ける小坂。「女性の方は公認会計士との事で普通の方の様です」と夫人が続けるた。ついで娘が「でも綺麗な方ですわね」と少しあこがれる様に言うと「あなたの方が可愛いわよ。それに仕事している女性は性格がきついから」と夫人が言い切ったが「あ、ここだけのお話しですわよ。仕事をしている女性も魅力的な方は多いから」とフォローしたが小坂の耳には入ってこなかった「男性の方は峰岸様のお知り合いとの事なのでどこかの会社の方でしょうか?」と聞くと「さあ、何かマンションの管理人とか言っていましたわ」と一言。「峰岸様のお知り合いの男性なのでうちの子も紹介しようと思いましたがマンションの管理人でしょ、ちょっとね」と露骨に嫌な顔をした。娘も「顔は結構良いんだけど、お付き合いするにはちょっとね」と母親を見てほほ笑む。そんなやり取りを聞いて小坂はマンションの管理人が光明寺さんとお付き合いしてる。あり得ないと心の中で叫んでいた。気が付くと母親と娘は他に良い方はいないかとその場からいなくなった。よく見ると同じ様な母子がうろうろとしている。先ほどの人の流れも半分以上は母子の群れだった。そんな事はどうでも良いと思いながらまた光明寺を見つめる。きれいな顔をまじまじと見ていたが横の男と楽しそうに話をしているのを見ていると何か言いたくなり二人の方へ歩いて行った。
静香が剛の方を向いて話していると剛が目で合図してきた。
何かと思ってその先を見ると、見た事のある人がズンズンとこちらに歩いてきた。
「こんにちは、光明寺さん」といつもと同じ様ににこやかに光明寺だけを見て挨拶した。光明寺が「こんなところで、お会いするなんてびっくりです」と正直に言うと「私もびっくりしました。いつも以上に美しくされていて見間違いそうになりましたよ」とニコニコしている。見間違えたままにしておいてほしいと心から思っていた静香が「今日はどうしてここへ?」と聞くと「上司のご家族のご夫人とお嬢様が出席されており、たまたま上司がこられないので私が同席されていただきました。」と自慢気に答えた。「プライベートな時間をこんな会に付き合うなんてそれは大変でしたね」と嫌味も込めて軽くほほ笑むと「いえいえ、上司にしっかりとサポートしてくれと言われまして」といかに自分が上司に良く思われているかのごとく気分良さそうに答えた。光明寺は皮肉が通じない事にあきれて剛の顔を見たが剛もなんだこいつ的な顔をしていた。「ところでこちらの方は?」と今気が付いたかのように坂本を横目で見る。「あ、坂本 剛さんです。私の婚約者です。」と言うと小坂は目が倍ぐらいに見開き「婚約者ですか」と聞きなおした。「はい」とにっこりと笑う。「えっと、うちの水上とはどうなんですか?」「彼は私たちの大学時代からの友人です、でこちらが婚約者」と再度力を込めて言う。「でも、聞くところによると彼はマンションの管理人とか」と弱弱しく言うが「何か問題がありますか、マンションの管理人に?もしかして光崎商事の方が仕事で人を見下すなんてことをするわけありませんわよね」とさらに皮肉ると小坂が「もちろんです、でも光明寺さんはもっと何て言うのか隣に立つ方があなたを輝かせる様な人が良いのではと思ったもので」と言うと光明寺が目に少し怒りを込めた様にして「彼、剛では私が輝かないと言う事ですか?」とさらに皮肉る。「いやそんな事はありません」と言いながら改めて二人を見ると似合いの二人であることに1ミリも疑う余地がなかった。「申し訳ありません、失礼します」と頭を下げて小走りに去っていく後ろ姿を見ながら坂本が「なかなか、聞きごたえのある会話でした」とポツリ。「そお、前々からつきまとっていた人だからこれで懲りたんじゃない」とバッサリ。「僕も少しテンションあがったよ、僕は君を彼女と皆に紹介したけど君が僕の事を婚約者と言ってくれるとはね」とニコリ。「それは……あの人にはっきりとわからさせるためよ。」と少し頬を膨らます。「そんな顔もかわいいし美人だ」「やっぱり坂本君もプレイボーイだね。簡単にそんなことが言えるなんて」「それは光明寺だから」「おしい、そこで静香といえば完璧だったのに」と言うと二人とも笑い出した。
まわりが急に笑い出した二人をなんだろうというような顔をして見ていた。「さてと多分もう大丈夫だし少しお腹もすいてきたから何か食べに行こうか」とおいしそうな料理が置いてあるテーブルに二人で向かった。周りから見れば仲の良い恋人に見えただろう。




