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第九話 最速対決

 拳を突き合せた後すぐに俺の番が来た。ライナが見守る中、試験開始だ。まず、土人形の前に立つと杖に魔力を流し中級魔法の水圧弾を構築した。


 この魔法はウォーターボールを高密度に圧縮したもので、家一つくらいなら軽く吹き飛ばすことのできる威力を誇る。これを土人形ぶつけると、轟音と共に木端微塵に砕け散った。


「この年で中級魔法を!?それに威力も大きさも通常の2倍はあったぞ!今年は一体どうなっとるんじゃ……」


 試験監督のお爺さんは眼鏡が落ちたことに気づかないほど驚いていた。


「どんなもんよ!」

「やるねー、これなら二人とも合格だね」


 そう言ってライナは拳を突き合せた。すると、遠くの方で爆音と共にワッと歓声が上がった。


「行ってみようよ!きっと何かあったに違いないよ。」


 俺は頷くとその歓声の下に駆け寄るとやはりアイリスがいた。土人形の方に目をやると土人形とその辺り一帯が黒く焦げ付いている。その黒く焦げた土人形をアイリスが蹴り飛ばすと土人形はボロボロと崩れ去った。そして、俺に気づいて声をかけてきた……。


「リルー!って、隣の人は誰?」

「この人は魔法学で仲良くなったライナだよ」

「ふーん。よろしく、ライナさん。私はアイリスよ」

「こちらこそよろしく、アイリスさん」


 そう言って、二人とも握手をしたのだが顔が笑っていても目が笑っていない。というか殺気すら感じる。俺は物凄く困惑しながらも試験結果の発表場所まで誘導した。


 それからしばらくすると、一次試験の発表があった。全員無事通過しており喜びを分かち合った。


 翌日、二次試験のトーナメントが開始された。ルールは先に戦闘不能もしくは降参させたら勝ちというもので、万が一の時は先生が止めに入るそうだ。さて、俺達は今のところ順調に勝ち進むことができている。そして、三回戦目とうとうアイリスとライナが当たることになった……。


「思ったよりも早く当たることになったね、アイリス。」

「そうね、でもおかげで全力で戦えるわ。」

「ええ、私も全力を持って相手させてもらうわ。」


 すると、試合開始の笛が鳴った。開幕速攻、仕掛けたのはライナだ。アイリスめがけて正面に突っ込んでいった。魔法を使われる前に距離を詰めるつもりだろう。


 しかし、アイリスは詰められる前にウォーターボールを発射した。それをライナは紙一つで躱し、さらに距離を詰めようとしたが……。


「そんな遅いウォーターボールなんて当たらないよ!」


 と、ライナはアイリスを煽った。だが、そこは機転の利くアイリス。


 アイリスは通常よりも少し小さいウォーターボールを連射してきたため距離を詰めることに失敗した。が、このままライナが躱し続ければアイリスはいずれ魔力切れに陥るだろう。


「でも、数打てば当たるかもよ?」

「そんなにポンポン打ってたら当たる前に魔力切れ起こすわ」


 確かにアイリスは魔力が枯渇し始めている証拠に息が荒くなっている。だが、徐々にライナの動きが鈍ってきた。足場がウォーターボールの連射によりぬかるんできたのだ。


 そして、ライナがぐらついたその瞬間、ここぞとばかりに小さめのファイヤーボールを繰り出した……。


 しかし、これも紙一重で躱すも無理やり躱したことで完全にバランスを崩してしまった。


「ライトニングボール!」


 そうアイリスが叫ぶと中級魔法のライトニングボールがライナに直撃。すると、激しい電撃により、うーんと言ってライナは気を失ってしまった。直ぐに目を覚まして戦闘態勢を取るも、試合終了の笛が鳴ってしまう。だが、納得のいかないライナはそれに抗議した。


「私はまだ戦えます!」

「だけど、君一度気を失っただろう。つまり戦闘不能になったってことだ」


 それはライナの敗北を意味している。その後、魔法決闘術の作法により礼をして試合は終了した。すると、ライナがアイリスに宣言した……。


「私、もう二度と負けないから!」


 一方、俺は順調に勝ち進み決勝戦まで進むことができた。そして決勝戦の相手はアイリスだ。この事態に辺りはどよめいている。


 というのも、大抵の魔術師は魔法を構築するまでに時間がかかってしまい間合いを詰められて負けてしまう。そのため、まさか魔術師がここまで善戦するとは思わなかったからだ。


 試合開始直前、アイリスが声をかけてきた。


「ねえ、一つ賭けをしない?負けた方が一つだけ何でも言う事は聞くってのはどう?」

「いいよ、ならより負けられないね。」


 そして、試合開始の笛が鳴る……。

「面白かった」


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