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第八話 ミルフォード・ライナ

 俺は期末試験のため、魔術の練習や授業の復習にいそしんだ。試験の内容は一般数学と、社会学、国語学以外は実践形式となるらしい。つまり、魔法学と体術学は実践形式となる。例年、生徒同士のトーナメント方式らしく順位によって点数がつけられるとのことだ。


 いよいよ試験日当日となり、教室に入ると空気がピリピリしていた。すると、少し早くに着いていたアイリスが話しかけてきた。


「調子どう?」

「バッチリよ、そっちは?」

「もちろんバッチリよ。」


 その言葉とは裏腹に顔から緊張が見て取れた。だが、それは俺も同じだろう。


 前世の記憶があるおかげもあり、筆記試験は少しの不安を残すだけで解くことができた。問題は実技。トーナメント方式な以上、アイリスも勝ち進めば当たることになる。正直言って、魔法の腕ならアイリスの方が上だ。特に術式構築スピードが異常に早く、同学年でアイリスの右に出るものはいないらしい……。


 というのも、クラスが違うので一度も手合せをしたことがないのだ。戦えば魔力は試合の度に補充してもらえるとは言え、かなりの体力を消耗することになるので後半で当たりたいところだ。


 試験会場に行くと、魔法学のクラスで仲良くなったライナが話しかけてきた。黒髪の美少女で、その髪色のせいで色々と苦労している。男子からは物珍しさと好意から人気があり、逆に女子からは髪色での差別と嫉妬から中々友達が出来なかったそうだ。


 さらに女子なのに魔力がほとんど無いので戦士志望なのだが、俺がそうだったように異端の目で見られてしまう。そのこともあり孤独に拍車をかけていた。そこで友達が少ない同士、意気投合したわけだ。


「やあ、リル!試験はどうだった?」

「うーん、不安なところがいくつかあるけど大丈夫だと思う。そっちは?」

「それが……、何問か出来なくて不安だよ。」

「大丈夫だよ、もしダメだったとしても実技で取り返せばいいだろ?」

「それもそっか。じゃあ、なおさら頑張らないと!」


 そんなことを話していたら男性のゴツイ先生が壇上に立って説明を始めた。どうやら、一次試験はいかなる魔法もしくは体術を使ってもいいので、1分以内に的(土人形)を破壊すること。


 そこでふるいにかけ、二次試験のトーナメントとなる。前年は体術試験、魔法学試験は別々だったのだが今年から合同になったらしい。


 試験番号が定められ、先にライナの順番が来たので見に行くことにした。まず、ライナは1.5メートルほどの大きさの土人形の前に立つと右ストレートを繰り出す。すると、ゴッという音と共に左胸に拳よりも一回り大きい穴が空いた。そして、飛び上がり脳天に向かってかかと落としを放つと、土人形は腰当たりまで砕け散った……。


「魔力強化無しで、しかも素手でこの頑強な土人形を破壊したというのか……、信じられん。普通なら剣や魔法で少しずつ削るというのに……。」


 と、試験監督を勤めていたお爺さん先生は眼鏡をずり落ちながら驚愕していた。すると、試験を終わらせてきたライナが満面の笑みで……。


「どんなもんよ!」


 と拳を突き出したのに合わせて、俺もこぶしを突き合わせた。さあ、次は俺の番だ……。


「面白かった」


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