第十話 宿命
試合開始直前、アイリスが声をかけてきた。
「ねえ、一つ賭けをしない?負けた方が一つだけ何でも言う事は聞くってのはどう?」
「何でも?」
「そう、何でも。リルが望むなら……。あんなことやこんなことだって……」
「アイリス、それはどういう……」
だが、言い終わらぬうちに試合開始の笛が鳴ってしまった。
先制攻撃を仕掛けたのはアイリスだ。俺が術式構築をしようとすると、ファイヤーボールで牽制をしてきた。俺が術式構築する隙を与え無いようにするためだろう。
しかも、魔力操作によっていきなり軌道が変わるので避けるのも容易ではない。よく、ライナはこんなのを避けていたとつくづく思う。
なので、ファイヤーボールを躱しながらでも構築できる土魔法で簡単な土の壁を大量に作ることにした。射出速度を早める代わりに威力を犠牲にしているので壁一枚当たり数発はたえることができるだろう……。
「壁に隠れて何をコソコソやっているの?」
アイリスはそう言うと何かの術式を組み始めた。魔法陣の大きさからして上級魔法だろう。おそらく、俺が作った土の壁を一掃しつつ決めに来るはずだ。
だが、それほどの魔法を放てば今までの戦闘からしておそらく魔力切れに落ちるはず。なので、俺は堅牢な土のドームを作りカウンターに転じることにした。
ドームを作り中に入ってしばらくすると地響きがなり始めた。ドームの壁がかなりの高温になったことから火魔法の類だろう。しかし、まずいことに壁にひびが入り始めた。時間が経つほどにどんどんひびが大きくなっていく……。
なので、万が一壊されてもいいように大きめのウォーターボールを作りその中に入ることでダメージを軽減することにした。
そして、とうとう土のドームが壊れ、外の世界に放り出された。息も限界なのでウォーターボールを解除して辺りを見渡すと、眼前に炎で出来た高さ10メートルほどの蛇のような巨大な龍が見下ろしていた。
「出るものが、出てきたわね」
アイリスはそう言うと炎の巨竜を俺に向かって高速で突撃させた。試しにウォーターボールを打って見ると当たった瞬間に蒸発。つまり、時間的に魔法での相殺による時間稼ぎは望めないので死ぬ気で逃げることにした。
もちろんすぐに追いつかれるので土の壁をそこら中に作りアイリスの視界から逃れようとしたり、巨竜と接近した場合はウォーターウォールで熱から身を守ったりして躱し続けていたものの俺の直ぐ後ろに回り込まれてしまった。
終わった……。と思ったその刹那、突如巨竜が消滅した。それと同時にアイリスは膝から崩れ落ちた。俺に当たるギリギリで魔力が切れたのだろう。それから俺はとどめに上級水魔法を構築した。
「顕現せよ、水龍!」
そう唱えると高さ10メートルほどの蛇のような水の巨竜が現れてアイリスに向かって突撃した。だが、アイリスの叫び声と共に何かにはじき返された。とても嫌な予感がする。
「私は……、まだ……。負けてない!」
その直後アイリスの体の周りが黒いオーラにつつまれた……。
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