第七十七話 世界革命
俺は魔人王のお墨付きを貰った事をアイリスとアリシャールに報告する事で、再び賛同を得ようと試みたのだがやっぱりダメだった。本当は賛同して欲しかったが……、仕方ない。俺の独断で魔人族の記憶を消すことにしよう。それが善で悪であれ誰かがやらなければならないから……。
そして、俺は最初のクエストで巨大蛇から得たスキル“蛇眼”をスキル“モルぺウス”へと昇華させた。このスキルは精神魔法をかける対象を見るだけで夢の中に堕とせる。つまり、俺がこの星を一望できる高度まで上がりスキルを発動させることで星の半分を精神魔法にかけられるのだ。
さらに、俺はスキル“六道・餓鬼道”で俺自身の分身を作ることが出来る。これにより分身を星の裏側に行かせることで星全体を精神魔法にかけることが可能だ。
さあ……、後は実行するだけ……。実行するだけだが……、理解されないというのがこんなに孤独とはね……。実行してしまえば、魔人族以外の全てと敵対することになる。
これじゃ、まるで俺が魔王じゃないか……。
それでも誰かがやらなければならないんだろ?それが異世界転生者である俺に課された使命なのだろうから……。さあ、始めようか……世界革命を!
俺は覚悟を決め、新たに作ったスキル“浮遊”で上空へ上がっていた時、頭上の遥か上空で青白い稲妻が轟いた……。
「リル!君には誰の声も届かなくなったのかい?そんな高い所にいたら皆の声も聞こえないよね……。だから、私が叩き落してあげる……」
その声は……。
「ライナ……!どうしてここに……」
「君から悪い波動を感じたんだよ、だから先回りしたんだ」
「先回り!?……何はともあれ俺にはやらなきゃいけない……」
「言い訳は地上で聞くよ!」
刹那、ライナの姿が消えた……。違う、真上だ……!だが、気づいた時にはもう遅い。俺はライナのかかと落としにより地面に叩き落されていた。
高度千メートルから叩き落されたとは言え、スキル“絶対防御”のおかげで衝撃ダメージはゼロだ。が、ライナの波動一致攻撃のせいで右半身が吹っ飛ばされてしまった。
ライナが大和の国での修行でかなり強くなったと聞いていたが……、まさかここまで……。流石、師匠がニースなだけある。すると、ライナも地上に降りて言った。
「流石、リル。これじゃ全然致命傷にならないや。ねえ、本当に世界から記憶を消すつもりなの?」
「そうでもしないと歴史が繰り返されてしまうから……。仕方ないんだ」
「そんな事ないよ。直ぐに仲良くは無理かもしれない。けれど、いつか……」
「いつかって、いつなんだ?十年後か?百年後か?それとも千年後か?その間、魔人と人間の間にどれほどの憎しみが積みあがっていくと思う?」
「それは……。分からないけど、でもこんな無理矢理だなんて……。正常じゃないよ」
「元々異常なんだ。既に何をしても異常だよ」
「違うわ」
その声はアイリスか……!
「異常すらも世界の歴史よ。リルが記憶をいじってしまったら、今まで自分で考え答えを託して幾万の死んでいった先人達の努力が全て無駄になるわ……」
「そうだな……だからこれは革命だ」
「革命?」
「これまでの旧体制を全て破壊し新世界を創り上げる。先人達にはその犠牲だ……」
「そんな!無茶苦茶よ……」
「今はそう思うかもしれない。でも、これで世界から理不尽が消えるとしたら?悪い話じゃないだろう?」
「無理よ……、人に欲望がある限りね……。それとも欲望を消すの?」
「それには及ばないさ……。きっと、それこそ皆で考えて解決していくよ。俺が変えたいのは世界の根本的なシステムだけだ」
「……、きっとこれ以上言っても説得は難しそうね。ライナ、後は託していい?」
「うん……。きっと、もうリルを止められるのは私しかいないしね……。そういえば、リルと戦うのはこれが最初で最後だね。言っとくけど。私、強いよ」
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