第七十四話 解読
俺は剣を振り下した。
「ちょ……リル?きゃ……!本当に切っちゃった……。あーあ……。ダメだって言ったのに。知らないよ、どうなっても」
「ふうー、スッキリした!さて、それじゃ謝らないとね」
それから、俺たちはアカデミーの人に平謝りして、木を切ったお詫びとして学校を綺麗に改装できるぐらいのお金を置いていった。しばらくして、アカデミーが綺麗に大改装されたらしい……。
さて、俺達はミハールに戻り早速スキルの研究を始めた。俺はニースから受け継いだ本を開くとそこには驚くべき歴史が語られていた。スキルには大きく三つの性質があり、それぞれ継承、維持、変質だという。
まず、継承とはスキルは親から子へと継承されるらしい。ただし、稀に片方の親の聖力が強すぎると継承されないらしいが。そして、二つ目維持だ。スキルの魔法式というのは心臓に刻まれており、万が一心臓を一時的に失った後に聖力で回復したとしても遺伝子にスキル情報が組み込まれているために再び心臓に魔法式刻まれる。そして、最後の変質。これはスキルが聖力を魔力に変える性質のことだ。変質の基準は知っての通り、心が闇に堕ちると変化する。
これらの事からニースはこの世界の歴史についてある仮説を立てた……。
遠い昔、異界より世界に一人の人間が降臨する。名をラプラス。ラプラスはスキルの力を利用して多くの子孫を残した。そして、ラプラスはその後死んだと思われる。だが、スキルは継承され保有人口はどんどん増えていくだろう……。もし、ラプラスがスキルを介して人々を意のままに操れるようになったとすれば、これほど恐ろしい事はない。
そして、最後にスキルの魔法式の解読方法について記してあった。どうやら、スキルの魔法式は別の言語で記されているらしく、例えば“fire water”などなど……って英語じゃねーか!てことは、ラプラスは地球人なのか……?でも当然、スキルなんて前の世界で聞かなかったわけで……。はっ!もしや俺というか一般人が知らないだけでスキルが実在していたとか!?ま、なわけないよな。
それから、三年。俺達はひたすらに研究に研究を重ねて、ついに課題である聖力の魔法化に成功した……。
「ようやくここまで来ましたね、アリシャールさん」
「ようやくです……。それで、一つ提案があります。今までニースが開発した魔獣使役封印術やリベルテが開発した異空間魔導書呼応術など。生徒の身を守る為にも国が開発した事にして、万が一何かが起こっても国が責任を持つようにしていました。ですが、それでは生徒が不憫です。本来受けるべき称賛を受けられないのですから。そこで、どうでしょう?この聖術の魔法式化と異空間魔導書呼応術の両方の開発者として発表するのは」
「ですが、それでは国へのバッシングが……」
「それは受けるべき報いです。それに、今まで称賛を受けれなかったお詫びでもありますから」
「それなら、魔法式化の件はフォーチュンに譲りたいと思います」
「え!?私?」
「だって、君に助けられた部分も大きいし」
「わかった、そういう事なら喜んで……」
そうして、この国に二人の国民的魔術師が誕生した。一人は戦士一強の時代を終わらせた者。そして、もう一人はスキルと併用して魔法を使えるようになり戦術の幅を大きく広げた者として。
この騒動は国内外に大きな騒ぎをもたらした。そのせいで俺とフォーチュンは街を歩けば大歓声が沸き起こるため、うかうか街を歩けなくなってしまった……。だが、こういうのも悪くない。
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