第七十三話 解脱
アリシャールさん改めてアリシャール王は俺たちに時空間魔法の使用を促した……。さあ、久々のバルバット国だ……。
バルバット国民は俺たちの帰還、つまりニースを倒した英雄の凱旋に大きく喜こぶも一方でシンドバッド王の死に大きな悲しみに包まれた……。だが、シオンだけは違う。シオンだけは俺の除くバルバット国で唯一ニースを愛した人なのだから……。
俺は久しぶりに故郷シャルラ村に帰り、シオンに事の全てを話した。この真実をシオンに話せばきっと傷つき自分を責めるかもしれない。けれど伝えない訳には行かなかった……。
「ありがとう、リルもつらかったでしょう……」
「母さんこそ……」
「あの人は自分の事も人の事も軽んじる人だったから……。そんな気はしていたわ。けれど、私とリルだけは闇の中でも大切に思っていたのね。それが知れて私は嬉しい。けれど、最後に一目会いたかったわね……」
「これは世界でも限られた人しか知らないけど……特別に」
そう言って俺は時空間魔法でニースの亡骸を取り出した。もちろん、水魔法で氷漬けだが。
「あなた……。ありがとう、リル。悪いのだけれど、少し……二人にしてくれないかしら?」
「もちろん、しばらくしたら戻るよ」
家からはシオンの泣き声が響き渡った……。それから、俺は家で一晩過ごし帰郷したアイリスと共にミハールに戻ろうとした時だった。頭の中に“アカデミーの木を切れ”と謎の声が話しかけてきたのだ。誰かと問いかけても“アカデミーの木を切れ”と一点張り。アイリスに事情を説明し一先ず、どの木を切ればいいのか分からないままアカデミーに行ってみることにした。
アカデミーに着くと声はより一層大きくなった。俺たちは木が多く生えているアカデミーの庭に行くと……あれだ。なんの根拠もないがこの木のような気がする。本能レベルでそう感じるのだ。だが、アイリスがある事に気が付いた。
「ねえ、この木って私とリルが初めて一緒に昼ご飯を食べたところじゃない?私、この木を切っちゃいけない気がする。そもそもアカデミーのものなのに勝手に切っちゃダメでしょ?」
そんなアイリスの言葉など俺の耳には入ってこなかった。理性ではダメだと分かっているが……何故か切らないと凄く後悔する気がするのだ。切らねば切らねばと心が叫び続ける。そして、気づけば俺は剣を握っていた。
「ちょっと、リル正気?絶対変だって!」
「そんなのは分かっているけど、どうしてもこの木を切らないといけない気がするんだ」
そして、俺は剣を振り下した。
「ちょ……リル?きゃ……!本当に切っちゃった……。あーあ……。ダメだって言ったのに。知らないよ、どうなっても」
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