第七十二話 帰還
父さんは俺の腕の中で息を引き取った……。けれど、なんか実感が湧かないな。なんだか、まだ生きている気がする。それにしても、父さんが残してくれた一冊の本のお陰で詰みルートは回避できた。父親らしい事は何一つされなかったけど、この唯一がそれらを上回るかもしれない……。そういえば、シンドバッド王はどうなったのだろうか?
「シンドバッド、大丈夫かい?生きてる?」
アリシャールはすっかり血の気が引いて真っ青になって横たわっているシンドバット王に呼びかけた。
「ああ、後幾ばくも無い命だが……。最後にニースを葬れて良かった……。それだけが心残りだったから……。もう時間みたいだ、アイリスが見える……。じゃあな……、相棒……。楽し……かった……よ……」
「シンドバッド!!しっかり!!!シン……。そうか……もう……。また、大事な人が離れていく……。神様は意地悪だ。どこにいても助けられるように時空間魔法を開発したのに……。分かったよ、今度は時間を巻き戻せって言うんだろう?やってやるさ、何度だって……。全てを救う為に……」
俺がシンドバット王の元へ駆けよると、幸せそうな顔で息を引き取ったシンドバッド王と悔し涙を流しながら亡き王を腕に抱えるアリシャールさんがいた。
「アリシャールさん、シンドバッド王は……」
「もう……」
シンドバッド王は俺にとっては師であり第三の父だ。こう立て続けに大切な人が亡くなると……流石にきついな。大和の国に向かうことを決意した時点でこうなる事は覚悟したはずなのに……。涙が止まらない……。前の世界の両親の気持ちが身に染みて今なら分かる。大切な人が亡くなるって……こういう事なんだって。
けど、一先ず前を向かなきゃいけない。これまでの因縁の全てにけりをつけるためにも。そのためにはバルバットに帰ろう……。母さんにも父さんの事を伝えなきゃならない。そう思っていた時だった……。龍山率いる軍勢が城を取り囲んでいたのだ。
「怪物め……やっと逝きよったわ。あんたらはこの国の事を知りすぎた……。じゃが、ライナをこちらに引き渡すなら大人しく引く。もし、引き渡さぬなら……わかっとるな?」
「僕……いや、私はバルバット二代目国王として、それは我が国との宣戦布告と受け取ってもよろしいですか?」
「何?国王?どこぞの小国かしらぬが、それで構わん……。だが、この世界で我らに勝てる国など存在せん」
「井の中の蛙大海を知らずって言葉をご存知ですか?世界は広い……世界を知らぬあなた方では我らの相手にはなりません……。では……」
そう言ってアリシャールさん改めてアリシャール王は俺たちに時空間魔法の使用を促した……。さあ、久々のバルバット国だ……。
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