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第七十一話 死の輝き

「おそらく、リベルテが魔人覚醒した時、その唯一がラプラスの支配が及ばぬ空間にいける手段だ」


 そうか……、その空間こそ父さんが直接神を倒すことが出来るというわけか。じゃあ、やっぱり父さんは殺さなきゃダメだ。だけど、それはラプラスの非支配空間に移動して、この世界からスキルを消滅させた後。スキルの魔法式の解読が唯一出来る父さんを今殺せば後々詰むことになる。でも、それを抜きにしてもシンドバット王は父さんを殺すだろう……。


 だが、今のシンドバッド王を止めるのも中々に骨が折れる。シンドバッド王自身、それしか道が無いと分かっているはずだ。その上で殺すという判断をした以上、全てを受け入れる覚悟は並大抵のものではないだろう。果たしてそんな人を止めることができるだろうか?


「ニース、最後に言うことはあるか?」

「何のつもりだ、シンドバッド?また命懸けの攻撃でもするつもりか?やめておけ。犬死にするだけだ」

「いや、そんな事はない。聖力を常時練り上げ続けるのなんてまともな神経じゃ出来ないはずだ。もうそろそろだろ?寿命」

「ハハハ、何を根拠に?」

「俺には見えるんだよ、お前の死に様が。予言する、お前は五分以内に死ぬ……。後は託したぞ、皆……」

「王よ、何を言って……」

「この未来の確定条件は俺が今持てる全生命を持ってニースを追い詰めること……」

「そんな、他に方法は……。何より、それはアイリスの意思に反します。そうです……、そうですよ!だから、駄目です!シンドバッド、僕は認め……」

「聞け、アリシャール。お前を二代目バルバット国王に任命する。これが最善だ。それに……、俺の寿命も限界だ。それなら、最後はやりたいようにさせてもらう。いいな?」

「もう決めたんだね?」

「ああ、最後まで迷惑を掛けてすまない……」

「本当に!本当に……。最低で最高の親友だったよ」


 シンドバッドの体から放出される青白い聖力はより輝きを増し、神々しささえ感じた。


「行くぞ、ニース!!」

「その、輝き本当に死ぬつもりだな。愚かなことを……」


 刹那、ニースの右腕が吹き飛んだ……。


「なっ……、かすっただけなのに。それほどのまでの力を……」

「次の一撃で決める……」


 目に見えて分かるほどシンドバッドの顔色が悪くなっていった。だが、対照的に聖力の輝きは増していく。これが死の輝きなのだろうか……。


「一緒に地獄に落ちようか、ニース」

「てめえだけ落ちやがれ」


 シンドバッドの聖力が最高潮に輝いたと思ったら、輝きが突如消えニースの首から下が吹き飛んでいた。


「こいつ……、危うく死ぬところだったぞ。だが、勝負は俺の勝ちだ。シンドバッド!」

「その体じゃ動けないだろ?切り裂け……天羽々斬」


 シンドバッドの懐から放たれた風の刃はニースの顔を右斜めに切断したが、脳を切り裂くまでには至らなかった……。頭があり、記憶がある以上ニースは即座に体を再生させて言った。


「何度も肝を冷やしたが、ここまでだなシンドバッド」

「いや、お前の命には届いたさ……」

「何を……、ぐふっ!」


 突如、ニースは吐血した。おそらく、シンドバッドが体の大部分を損傷させたことで寿命を維持することが出来なくなったのだろう。これで、シンドバッドの予定通りだが……。すると、ニースは膝をつき倒れた。


「クソ……。これが死か……。嫌に冷静になる。ん?先生……。ああ、そうか。そうですよね。俺は……一番大事なものを……。俺は……。リベルテ、おいで」


 父さんは涙を流しながら俺を呼んだ。


「すまない、俺が愚かだったばかりに……。出産にも立ち会わず、誕生日も祝えず。憎しみばかりに目を向けて今ある幸福から目をそらして……。何一つ父親らしい事が出来なかった……。ごめんな……。どれだけ謝っても謝り切れないが、最初で最後の遅すぎる誕生日プレゼントとしてこれを贈ろう」


 すると、ニースは異空間から一冊の本を出した。


「ここには俺の知識の全てが書いてある。これは良くも悪くも世界を揺るがすだろう。だけど、父としてその選択の全てを肯定する。それと、母さんにすまなかったと伝えてくれ。今思えば二人で協力すれば……。いや、今更遅すぎるか……。リベルテ、シオン……。ずっと、ずっと……愛している」


 そう言って父さんは俺の腕の中で息を引き取った……。


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