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第六十四話 Slave hero

 空から一本の剣が降ってきた。例の布都御霊ノ剣だ。


「お帰り、相棒」


 ようやく全てが終わった、そう思っていたのだが瓦礫の山の中から何かがはい出してきた。


「なーに勝ったつもりでいるんだ?」


 声の主は死んだはずのルキウスだ……。


「まさか、忘れたわけじゃないだろうな?雷は俺に効かねえ」


 だが、幹部たちを全滅させ神器も取り返した。事実上チェックメイトである。すると、フォーチュンが嬉々とした顔で言った。


「シンドバッド、ルキウスに竜巻をぶつけてくれない?」

「いいけど、砂で防がれて終わりだぞ?」

「いいからいいから、ほら!」


 何か考えがあるんだろう、俺は竜巻をルシウスに向けて放った。すると、フォーチュンの布都御霊ノ剣から紫色の液体が放出され竜巻と合せた。どうやら、酸性の液体みたいでルシウスの砂の防壁をゴリゴリ溶かしている。それに気づいたルシウスが逃げようとしたが、フォーチュンが波動の先読みにより逃げ場に毒の壁を貼っていた。


「今度こそ終わりだ。ルシウス」

「ククク、歴史は繰り返す。今度はお前の番だ……」


 そう言い残しルシウスは酸の竜巻に溶かされ、文字通り塵も残さず死んだ。


「ようやく、終わった……」

「ああ、僕たちの勝利だ」

「さてこれからどうする?」

「そうだな、まずは結界で保護しているアイリスを迎えに行くよ」

「分かった。私達はここで待っているわ」

「ありがとう」


 俺はアイリスの元へ向かった。


「アイリス、大丈夫だった?」

「はい。全て終わったんですね」

「ああ、もう君は何にも縛られることは無い。自由だ」

「若様、私は何とお礼を言っていいか……」

「そんなもの言わなくていい。これは俺のワガママで始めた戦争だ。俺のワガママで大切な人が大勢死んだ。たくさん不幸にした。だからむしろ、君に謝らなければならない。すまな……」

「それは違います。確かに大切な人が居なくなるのは悲しいことです。ですが!同時に大勢の人が若様に救われました。この地獄を変えるには誰かが戦わなければ、誰かが死ななければなりません。それを引き受けた若様が謝る事はありません。若様は私達の英雄なのですから」

「……、ありがとう。その言葉に救われたよ。お陰で勇気が出た。俺が戦争を起こした理由、それは主人であるシンドバッドでは無く一人の男、シンドバットとして君の気持ちが知りたかったから……。アイリス、君が好きだ。君と出会ったあの日からずっと」

「ずるいですよ……。たった一人の少女のために全てを捨てて国に喧嘩を売るなんて。そんなの好きになっちゃうじゃないですか。ずるいです、でも……。私には関係ないです。シンドバッド様の優しい目を私は好きになったんですから……」


 曇りなき闇夜に浮かぶ今日の満月は一際綺麗だった。


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