第五十九話 Dragon Slayer
俺は風魔法で減速し聖力を足に集めて衝撃に備えた。刹那、地面に凄まじい衝撃を感じた。聖力で防御していたとはいえ、足の骨はぐちゃぐちゃである。聖力で回復していると辺りの紫色の宝石が怪しく輝き始めた。俺は嫌な予感がして顔を上げると、そこには山のような黒い巨大な龍が……。
「数百年ぶりに生きているものが落ちて来たか。我が名はアイテール、力を求むものに審判を下す者。汝が力にふさわしき者か確かめさせてもらう、いざ!」
そう言うと、巨竜は広範囲かつ高火力の黒炎のブレスを吐いた。これを受ければ即死だろう。だから魔力の波長を合わせて魔力操作の支配権を奪い攻撃をそらした。
「黒炎が割れただと?妙な技を使うな……」
アイテールは驚いていた。すると、アイテールは空へと飛びあがり翼から発せられる強風を地面にぶつけた。その凄まじい風圧で立っているのがやっとだ。だが、次第に風は範囲的な風圧から局所的に超高圧な風、つまり風の刃となり俺を襲った。だが、動ける以上“未来視”で躱すことが出来る。俺は反撃に転じようと空間に移動しようと思ったが風で再び叩き落とされる未来が見えた。さて、どうしたものか……。
そうなれば道は一つだけだ。龍種には唯一の弱点として逆鱗があるといわれている。逆鱗は他の鱗に比べて非常に柔らかいそうだ。そのことを思い出し、よく観察してみると……あった逆鱗だ。下顎のすぐ下にある。さて、問題はここからだ。アイテールが放つ風圧に負けないほどの超火力を撃ち込まなければならない。だが、龍種には熱、風、電気、毒、水等々の凄まじい耐性があり、まず効かない。となれば逆鱗に物理攻撃を打ち込むしかないのだが、風圧で飛ぶこともできない。
そうして、最後に残った手段は最高火力の魔斬撃を逆鱗に打ち込む事のみ。だが、もし失敗すれば後はない。地上への帰還など絶望的である……。だが、やるしかない、覚悟を決めろ。全神経を集中させろ。この一撃に全てがかかっている。……、今!俺は聖力を体中に満たしアイテールの下に潜り込んだ。そして、精神を堕とし剣に今出せる全ての魔力を纏わせた……。斬撃は逆鱗を穿ち天へと昇った。それとは対照的にアイテールの首は地に堕ちた。そう、俺の勝利だ。
そう思っていたのも束の間、アイテールの残された胴体が紫色に輝き始めた。嫌な予感がする。まさか自爆しないだろうな?すると、輝きと体は収縮し一本の剣となった。剣に触れると頭に神器の情報が入ってきた。どうやら、名は天羽々斬というらしい。所有者に飛行能力を与え、斬撃は風刃を纏い、振れば竜巻を発生させるとのこと。俺はこの力で地上に上がると外では三人が待っていた。
「お帰りシンドバット。君ならきっとやれるって僕たちは信じていたよ!」
「まあ。弟弟子なんだから、これぐらいは当然やってもらわないと」
「素直に喜べばいいのに……」
まったく、余計な事言わなきゃいいのに。アリシャールはフォーチュンにこめかみをグリグリされた……。
「フォーチュン、今さら聞くが本当にいいのか?」
俺はフォーチュンに最後の意思確認をした。
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