第六話 円環
約束した庭の木の下に行くとすでにアイリスがいた。
「ごめん、待たせちゃったね。」
「いいよ、それよりも早く食べようよ。お腹すいちゃった。」
そう言うとアイリスはバケットを開いた。中にはサンドイッチが入っている。俺もパンを取り出して食べることにした。
「そっちの授業はどうだった?」
と、アイリスはサンドイッチを頬張りながら言った。
「面白かったよ、特に社会学がね。」
「私は魔法学かなー、初めて魔法決闘術なんてやったわ。」
「決闘!?」
「決闘って言ってもそんな大したことじゃないわ。お互いにウォーターボールを打ち合って濡れたほうが負けってだけのゲームだから。ケガするようなものじゃないよ」
異世界とは言えいきなり子供にそんな事させるなんて……。
「どうだった、勝てた?」
「家では簡単な水魔法しか練習してなかったというか、出来なかったからもう完璧よ。だから、もちろん勝てたわ。」
そんなことを話していたら、今いる木の下から少し離れた茂みにコソコソ動く影があった。名前はあまり覚えていないが、よく見ると最初の授業の時にいた男子三人組だ。
すると、茂みから頭を出すとかなりのスピードで石を投げてきた。気づいていないとでも思っているのだろうか?そこで俺は少し痛かったがキャッチして、仕返しとばかりに思いっきり投げつけた。
「痛ってー、魔術師志望のくせになんで反応できんだよ!」
と言いつつ何やらぶつくさ言いながら何処かへ去っていった。
「どうしたの?」
とアイリスに聞かれたが、ここは少しかっこつけさせてもらおう……。
「いや、何でもないよ。」
「ふーん」
この反応はなんだろうか……?そんなことを考えていたら昼休みの終わりを告げるチャイムがなったので、移動することにした。
魔法学では授業の初めに初級魔術に関する魔導書の配布と、説明があった。早速水魔法の初期魔法である、ウォーターボールを習った。と言うか、実質魔導書に魔力を流す練習だ。
これに関しては問題なくクリア出来たが、俺が家で魔術やスキルの練習ばかりしていたのとは対照的に男子は剣術をメインに練習していたせいだろう。苦戦していたように見える。その後円滑に魔力を流す練習をした後、実際に昼休みに話に出ていた魔術決闘を行うことになった。
先生が適当に選んだ二人組を作り決闘をすることとなった。俺の対戦相手は何の巡り合わせか、先程石を投げてきた三人組のうちの一人だった。
「さっきはどうも」
と、挨拶すると……。
「さあ、何のことだか。」
と、返してきた。嫌な性格してやがる。
そんなやり取りの後、先生の指示のより杖を逆に持ちお互い交差させた。これは決闘前の挨拶らしい。
「それでは、お互い離れて杖を構え下さい!いいですか、使う呪文はウォーターボールだけですよ。では、始め!」
その掛け声と同時に、お互いウォーターボールを発動させ始めた。まずはお互い魔力溜める状態だ。すると先に向こうの魔力切れにより発射された、顔ぐらいの大きさのウォーターボール飛んできた。
こちらも発射して相殺しようとも思ったが、現在進行形でせっかく大きなっているこのウォーターボールを発射するのは何だか勿体無い気がした。
例えるなら雪玉を作っている時のあの感覚だ。なので、このままウォーターボールを限界まで成長させて水の壁として受けきることにした。
相手のウォーターボールがビュウッと音を立てながら飛んできたが、バシャと音を立てて無事受けきることが出来た。それからまだ大きくし続けると、相手の顔が徐々に青くなってきた。その様子を見て先生が止めに入った。
「そんなに大きくなったんだし、もういいんじゃないかな……」
「そうですか?まだまだいけますよ。」
「それ以上行くと別の魔法になっちゃうから」
「……、分かりました。」
少し残念だが、先生に止められて発射出来なければ元も子もないので発射することにした。ちなみにこの時点で自分の体ぐらいの大きさになっている。
ゴウッと音を立てながら一直線に飛んだウォーターボールは見事、相手に直撃した。吹っ飛ばされた挙句、秋なのに全身ビショビショになってしまった彼は不服そうな顔でこちらを見ている。
「では、お互いに杖を胸の前に構えて礼!」
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