第五十七話 Dawn of hell
この国では奴隷は何があろうと一生奴隷で終わる。だから、この国を変えなければならない。そのためには人と力が必要になる。さて、まずは幼馴染のアリシャールを訪ねるか。
アリシャールは魔術師の名門ハルモニア家に生まれ、才能溢れた気のいい奴だ。家も近い事もあり昔からよく遊んでいた。アリシャールならきっと俺の考えに賛同してくれるはず、そう思っていたのだが……。
「アリシャール。俺はこの国から奴隷を解放しようと思う」
「やっぱりね」
「やっぱり?」
「最近お気に入りの奴隷を見つけたってのは聞いていたよ。もしやと思っていたけど、まさか本当に……」
「気づいていたのか」
「当たり前だろ?何年の付き合いだと思ってるんだ」
「それもそっか」
なんだか可笑しくなって二人で笑った後アリシャールが言った。
「その件、僕は反対だ。あまりにもリスクが大きすぎるし。その選択は今築き上げてきた全てを無に帰す事になる」
「分かっている。だが、それでも」
「たった一人の少女を救いたい……でしょ?」
「アリシャール、協力してくれないか?俺にはお前が必要だ。お前が居ればどんな困難だって突破出来る、そう思っている。だが、これはお前に普通の幸せを……」
「いいよ。どうせ止めたって聞かないし、それに僕がいなけりゃ君は全てを抱え込んじゃうだろ?」
「悪いな」
「何を今さら……。それに僕もこの奴隷制度には反吐が出る。どうせなら変えるんじゃなくて滅ぼしちゃおうか。そして、ここに新しく皆が笑って自由に暮らせる国を作ろう。名前はそうだなぁ……バルバットだ」
「なら、この狂った計画にはまだ人がいるな」
「それなら僕に心当たりがある。ついてきて、僕を遥かに凌ぐ天才魔女を紹介するよ」
そうして、二人は湖の畔にある小さなログハウスを訪ねた。すると、アリシャールは木のドアをノックすると言った。
「フォーチュンいるかい?」
「なーに?」
扉を開けると赤髪に金色の眼をした少女が、寝巻き姿で目をこすりながら俺たちを出迎えてくれた。ちなみに今の時刻は14時である。どうやら相当怠惰な生活をしているらしい。
「グロピウス・シンドバットだ。よろしく」
「シンドバッドねー、よろしくー。私はシェラード・フォーチュン。それで何の用?」
「単刀直入に言うと、これからこの国を滅ぼして奴隷を解放する。だから、協力して欲しい」
「国を滅ぼすねー……。え?国を滅ぼす!?無理無理無理無理!どうやってやるのさ、そんなの」
「まずはダンジョンを攻略して神器を手に入れる。そして、神器の力で国の上層部を全員処刑するつもりだ」
「あのねー、ダンジョンを攻略するって簡単に言ってもどれだけ大変なことか知ってて言ってるの?」
「分かっている。だから、こうして人を集めているんだ」
「ま、いいけどさ。ここで研究ばかりも飽きてきたし、協力はしてあげるよ。なにより、あのクソ暴君には私も個人的な恨みがあるから。ただし、君一人で神器を手に入れたらね」
一人で神器を手に入れる?そんなの不可能に決まってるじゃないか……。国が誇る精鋭部隊が全滅したほどの難易度だというのに。何のために集めていると思っているんだ?
「不可能、そう思ったでしょ?」
「そりゃそうだ!そもそもダンジョンを攻略するために人を……」
「私なら単独で攻略できるけど?」
なんて言った?単独で攻略できるだと?もし本当なら国一つ分の戦力を一個人で持つことになる。この少女が?信じられない……。
「ま、信じられないのも無理はないけどね。少なくとも今の君じゃ。だから、ルジュナ師匠を紹介するよ。君がルジュナ師匠に一人前だと認められたその時、君は私のいう事が信じられるはずさ」
ルジュナ師匠……どんな人だろうか。話から推測するにダンジョンを単独で攻略出来る程の力を持つのは間違いない。俺はその人に教わればそれほどの力を手にできるのだろうか?ならば……。
「ああ、頼むよ」
「その決断、後悔しないでね。君はもう後戻りの出来ない修羅の道を歩み始めたのだから」
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