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第五十五話 支配

「俺が英雄としてこの世に生まれる前にダチュラという“この世界を導く存在”と名乗る一人の女性に出会った。そして、その女性に俺はこの世界に送られた」

「なら、そいつは間違いなく神だ。条件にピッタリ当てはまる。だが、少し意外だったな。てっきり神の名はラプラスだと思っていた」

「ラプラス?」

「スキルの魔方式に“創造者ラプラス”そう書いてある。だが、ラプラスが何者なのかは全く分からない。ただ、スキルを創造した張本人であり全ての元凶とも言える存在であるのは間違いない」


 てことは、ダチュラさんがスキルを作った訳じゃないのか?なら、ダチュラさんの目的は何なんだ?目的、目的……。うーん分からない。いや、ちょっと待てよ。俺は重大な勘違いをしているのではないだろうか。そもそもダチュラさんに目的があったのか?神に、世界に意思はあるのだろうか?存在意義という本能に突き動かされているだけなのだろうか?


 そのどれもが違うだろう。そもそも俺がこの世界に来た目的は魔人王を倒すこと。ならば、わざわざ後になって世界を解放してくれなんて頼み事はしないだろう。自分の意のままに思考を操れるなら、そんな回りくどいことはしないはずだ。そもそも、世界は誰に縛られているんだ?縛り……、ああそうか。


「ダチュラさん、いや神すらスキルに縛られているかもしれない」

「え?」


 皆が驚きと混乱が両立した表情で俺に聞いた。そうなるのも当然だろう。神が自分の首を占めていることになるのだから。


「おそらく、ある結末へ世界を導くために神は存在しているはずだ。だが、神にも意思がある。だとすれば、その結末に反逆するものもあらわれると考えた末、神に縛りをつけたのだろう。もしラプラスの意思に反する真似をすれば……。」

「スキルにより処理されるか」

「なにより、俺が覚醒した時に世界を解放してくれとダチュラさんが言っていた」


 その言葉に父さんは激しく興奮していた。何をどう興奮したのかわからなかったが、父さんの質問でそのすべての意味を理解することになった。


「それだけ言ったんじゃないだろう。ダチュラはその時正確にはなんて言っていたんだ?」

「たしか、転生した時とは違う真っ白な空間で“私は世界がスキルを与えている瞬間だけ君に干渉することが出来るの。この事をよく覚えていてね。それから、いつか世界を解放してね。頼んだよ……。”そう言っていたはず……。それがどうかしたの?」

「まだ、分からないのか?世界を解放してなんて言えば即刻殺されるはずだ。だが、よく覚えといてねと言った。つまり、後でその時がもう一度くることを示唆していることになる。殺されれば後なんてないはずなのに。おそらく、リベルテが魔人覚醒したその時がもう一度の時なのだろう。そして、その唯一がラプラスの支配が及ばぬ空間にいける手段だ」


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