第五十三話 導かれし運命
「その忍の名は宮本帰蝶、ライナの育て親だ」
育て親ということは生みの親が別にいるということになるが……。そのことが気になり俺は聞いた。
「生みの親は?」
「ライナが生まれた日に一族が襲撃にあったと言っていただろう。その襲撃に巻き込まれて戦死したらしい」
「そうだったのか……。なら、なんで憎いはずの大和家が喜ぶようなことをしたんだ?」
「たしかに大和家は憎いはずだ。だが、国は別だ。あいつは宮本の一族である以前に、大和家以外にも多くの一族が住んでいる大和の国の一員だと思っていたのだろう。神器の在り処を知った時点で大和の国へと返還せねばという責任感を感じたはずだ」
一族の枠を超えての行動か……。
「さて、ここでようやくシンドバッドの質問につながる。もちろん、宮本の名を語り教わろうとしても不可能だ。だから異国の地でなじみやすくなる意味も込めて、ミルフォードと名を変えた。それに国宝を持って帰った英雄が連れてきた娘だ、無下にはできまい」
シンドバッドはため息をつきながら言った。
「なるほど。つまり、名を変え英雄の連れてきた娘という信頼を持たすことで教えを乞う事に成功したと……」
「そういうことだ」
「そういえば、何故お前はそんなことをしたんだ?条件は俺から神器を奪うそれだけだったはず」
「以前に言っただろう、全ては神殺しのためだと。一つ聞こうスキルの最大の代償は何だと思う?」
「利用難易度の高さ……、じゃなさそうだな」
「それなら、まだ良かった。答えは神に運命の全てを握られていることにある」
「どういうことだ?」
「スキルは魔法のようなものだと言っただろう。なら当然魔法式がある。そしてその構成式の一文にある座標の空間に呼応する式があった。式の仕組みはその座標空間に移動すると自動的にスキルが聖力を喰らいつくす、つまり死ぬという内容だ。つまり、俺たちは神がいる空間に行くことすら許されない。」
「だから、スキルを持たない侍の一族に眼を付けた。そういうことだろう?」
「そうだ、そして俺が初めて会った侍の一族がミルフォード・ライナと宮本帰蝶。帰蝶によれば侍が強くなるには心昇流を会得するしかないそうだ。だから、俺は神への反逆の唯一の希望としてライナを強くすることに決めた」
「そこまでして何故、神に抗う?神に何かされたわけじゃ無いだろう?」
「イザナギのスキルを研究してわかったんだが、イザナミとイザナギのスキルは唯一座標の世界に行くことが出来るスキルだ。ただし、スキルにこの世界の座標が組み込まれていた。つまり、いつでも神様の気分次第で殺すことができる。愛する者が気分次第で殺されてしまう、この気持ちが分かるかシンドバッド!」
「……、分かるよ。だから、俺はここにいる。気分次第で国一つを滅ぼすことが出来るお前を倒さねばならないから」
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