第五十一話 あの日
「桃吉郎の異母兄弟にあたる私はこの国に残された唯一の宮本。つまり、次期総大将候補になります」
「……、は!?」
皆が口を揃えて言った。
「ですが安心してください。私は総大将になる気も大和の国へ残る気はありませんから。さて話を戻しますと、宮本の一族と大和の一族はかつてこの島で覇を競ったライバルでした。もちろん勝者は大和の一族です。それ以降、宮本の一族は名を隠して生きてきました。ですが今から14年前、私が生まれた日のことです」
そう今日11月9日はライナの誕生日だ。
「当時佐々木家として御三家の一つまで上り詰めた宮本家ですが、何者かの密告により佐々木家が宮本家であることが大和家側に発覚してしまいました。もちろん大和家がそれを見過ごすはずがありません。大和の国の全戦力をもって宮本家を潰すことにしました。宮本家は剣術において最強を謳われるほど強かったですが、数の暴力には勝てず殆ど殺されてしまいます。残るは私と私の出産祝いを買いに外に出た桃吉郎と数名の家臣のみでした。そして、桃吉郎は総大将に問います。今ここで一族もろとも全滅するか大和の国の南の島を占領している海賊エドワード・ボネットを討ち取り英雄になるかを。結果はもう言うまでもないですね?」
皆が頷いた。
「英雄として帰還したものの中には快く思っていない者もいました。ボネットが死んだ今大和の国が西に進出するのは明白。そうなれば宮本家の生き残りである私が狙われることになります。だから、私は自分を守る強さを手に入れる為、大和の国最強流派である心昇流を会得する必要がありました。修行はとても……」
続きを言いかけたところでシンドバット王が言った。
「ちょっと待って、宮本家の人間なのになんで心昇流を会得できたんだ?裏切り者の一族なんだろ?」
「それはリルのお父さんから説明してもらった方がいいかも」
シンドバット王はけげんな顔をした。それもそのはず、今から殺そうとする者の話を信じる者はいないだろう。ましてや自分を瀕死まで追い込んだ男だ。信じろというほうが無理だろう。だが、それは父さんも分かっているようだった。
「ま、信じろというほうが無理だろう。だから、信じなくていい。が、最後まで聞いてくれ。」
「さっさとしろよ」
シンドバット王は不機嫌そうに言った。
「さて、どこから話すか。そうだ、あの日からにしよう……。シンドバット、あの日やけにオルマーン帝国の主戦力が弱いと思わなかったか?」
「ああ、何者かの襲撃にあったと聞いていたがまさか……」
「ご明察、俺だ。目的はイザナギのスキルを持つ者を殺すためだった」
「イザナギ?」
「そうだ、イザナギは特殊なスキルでね。イザナミのスキルを持つ者と同時にスキルを発動することで、この世界の全てを書き換えることが出来るスキルだった。そして、イザナミのスキルを持っていたのはクレバトロン・シオン。リベルテの母だ」
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