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第五十話 大和の国

 この世界では魔人族が悪、人間が正義とこの世界に来たばかりの頃は思っていた。けれど、今は違う。たしかに魔人がしてきたことは人間からすれば敵対するような事ばかりだ。とはいえ、事の発端は人間が人間に絶望に落とされた事。同じ立場なら憎しみを抱かずにいられただろうか?少なくとも俺は無理だ。じゃあ、本当の悪とはなんだろうか。そんなことを考えながら俺は船に揺られていた……。


「リル、もうすぐ大和の国だね。」


 その声の主は白い髪に金色の瞳をした少女、アイリスだ。


「今頃どうしてるかな?無事は無事みたいだけど……。」

「“未来視”ではたしか、お父さんを倒してライナを取り戻す。それからライナが大和国であったことを話してくれる、そういう未来だったんだよね」

「そのはずだった」

「どういうこと?」


 アイリスは首をかしげた。


「未来がここ最近目まぐるしく変わるんだ。直近の未来なら大丈夫だけど遠くの未来、特にライナに関することはすぐに変わってしまう」

「そうなんだ、もっと早く言ってくれればよかったのに」

「シンドバット王のパーティーメンバーだけしか知らない機密情報を誰が聞いているか分からない陸で話すわけにはいかなかったから」

「ふーん。それはそうと、お父さんのこと本当にいいの?前は逮捕だったけど今度は殺すことが目的だから」

「覚悟はできているよ。できているけど……」

「それが普通よ。自分の親を殺すのにためらいがないほうがおかしいわ」


 そんなことを話していたら汽笛が鳴った。海を見ると軍艦が何隻かこちらに向かってきている。魔人族でないことは明らかなので攻撃はしてこないとは思うが……。すると、シンドバット王が船首に立って言った。


「我々はバルバット国から来たものだ。敵意は無いので寄港させてほしい」


 向こうの軍艦からも侍が船首に立って言った。


「話は聞いている。案内するのでついてまいれ。」


 そのまま俺たちは大和の国、短岬港に寄港した。港の周辺は江戸時代の町人のような服装をしていた人々で溢れている。なんだか、懐かしい気分だ。


 その後、俺たちは近くの城の客間に案内された。そこには父さんがいた。


「よく来たな」

「ライナは?」


 俺が聞くとライナは父さんの後ろにあるふすまを開けて入ってきた。だが、服装は着物をきており最後に別れた時とはだいぶ違う。なにより、体中の聖力が洗練されている気がする。


「久しぶり皆」


 その声を聞き皆は安堵した、ひとまず無事でよかったと。


「大和の国で何があった?」


 シンドバット王が聞いた。ライナは父さんを見ると父さんは頷いた。


「それには私の過去から話さないといけません。少し長くなりますがいいですか?」

「もちろん」

「海賊エドワード・ボネットは知っていますね?そして、その海賊を倒したものがいます。名を宮本桃吉郎。現総大将大和龍山の実の息子であり次期総大将を望まれた人物です。今は一族と共に国を捨て東の果てに向かったようですが」


 侍の一族だとは知っていたが、まさか……。


「桃吉郎の異母兄妹にあたる私はこの国に残された唯一の宮本。つまり、次期総大将候補になります」


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