第四十四話 思惑
殺せない理由が無かったのは残念だが、今の時間で策を思いつけた……。
俺はライナと共に接近戦に臨んだ。お互い同時攻撃を心掛けつつ、万が一の場合はアイリスの“天照”で援護する作戦だ。本来この作戦では速攻倒されてしまうが、俺は未來を見たときにライナが傷一つついてないのに気が付いていた。おそらく、何かしらの理由で傷が付けられないのだろうと。
「アイリス、俺の足に触れてくれ。」
「いいけど……。」
すると、アイリスの体は人間道の能力により米粒ほどの大きさになった。
「なにこれ!?」
「足に触れた対象の大きさを操作する能力だよ。これなら気づかれずに攻撃出来る。それで波動の合致を試してくれ。さて、俺とライナはアイリスの囮だ。もちろん波動の合致を狙いながらね。」
そして、俺はマグマで陽動を仕掛けながらライナとの同時攻撃を仕掛けた。その中で、俺たちは重大な事に気づいた。身体能力上昇が止まっているのだ。おそらく、増えすぎた聖力を身体能力に変換しきれていないのだろう。
となれば、今ニースの動体視力をコピーすれば俺は人類最高の動体視力を手に入れられる。そう思いニースの眼を見た。ついでにニースの未来を見ると、ライナを抱え時空間魔法でとんだ先の未来が見えた。どうも侍らしき者共がたくさん見える。そう、大和の国に飛んだのだ。すると、今度はどこかの和室に飛んだ。ニースはライナを抱えたまま、ふすまを開けるとそこには百畳はあろうかという広大な和室があった。そして、和室の最も奥には龍山が座っている。
「来やしたか……、ニース。」
「取り返してきたぜ、神器。」
そう言うと、時空間魔法で一つの神器を取り出した。それはシンドバット王から奪った天叢雲剣だった。
「……、ご苦労。ん?その娘……、一族のものじゃありゃせんか。」
「ああ、そう思って連れて来た。」
「傷は?」
「ついていない。」
「なら、息子の嫁にでも……。」
「そんなつもりで連れて来たんじゃない。こいつに心昇流の稽古をつけてくれ。」
「なに?」
「神器を取り返してきた借りがあるだろう?」
「……。いいだろう特別だ。我が国の……」
その先の未来はニースの眼が逸れてしまった為見れなかった。お陰で、大方の事情は分かった。だが、にしてもライナに稽古を付けさせる理由が分からない。何が狙いだ?
「リルどうしたの?」
ライナが話しかけてきた。
「今未来を見たんだ。ライナが連れ去られた後の。」
「それで私はどうなるの?」
「稽古をつけられるみたい。」
「え、どういうこと?」
「俺も分からない。」
すると、ニヤニヤしながらニースが言った。
「コソコソ喋っているようだけど丸聞こえだからね。聖力のお陰で今の俺の聴力は研ぎ澄まされているから。ま、それはそうと。その疑問解決しよう。全ては神殺しのためだ。」
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