第四十二話 命懸け
謎を解消するため「未来視」で未来を見ると、ニースがライナを抱えて時空間魔法でどこかへ飛んでいく姿が見えた……。
というのも、「未来視」は時間をしていない場合は最も近い確定した未来を映し出す。となれば、この事象も確定なのだろう……。だが、もし特異点が運命の歯車を狂わせられる存在なのなら俺はその可能性に賭けたい。この未来だけは確定させるわけにはいかないのだ。
すると、シンドバッド王の指示のもと艦内放送が流れた。
「これよりこの艦を放棄する、非戦闘員は脱出ボートより避難せよ。」
そして、シンドバッド王は深呼吸をして言った。
「これより、三凶フレイランス・ニースを討つ。狙いはここにいる少女、ミルフォード・ライナ。敵は時空間魔法を使い撤退すると見えるので、艦全域に魔封印結界を貼る。そのため、結界を貼る魔術師を守るように遠距離攻撃が出来ない他の魔術師には防護結界を貼ってもらう。その他のものはニースを直接討ちに行く……。いいか、絶対に死ぬなよ!」
お互いの戦術情報を共有した後、俺たちはニースのいる甲板へと向かった。
「懐かしいな、シンドバッド。また、半殺しにされにきたか!」
その声の主は青い目に整った顔立ちしていた。間違いない、父だ。
「まさか……。十五年前の雪辱、晴らさせてもらうぞ!」
シンドバット王は青白い聖力を纏わせて斬りかかっていった。だが、ニースも拳に青白い聖力を纏わせて反撃した。お互い聖力操作は最高峰、だが問題はその火力だ。時間が経つにつれてニースの聖力が跳ね上がってしまう。次第に青白い聖力は拳だけでなく体全身に満ちていくだろう。そうなれば、ニースを止めることは困難。まだ、聖力が満きっていない今こそ唯一のチャンスだ。
すると、シンドバット王は全身に青白い聖力を纏った。刹那、シンドバット王の超高速の突きがニースの聖力を纏った拳を切り裂き腕を斬り落とした。
「波動を合致させた!?」
ニースはとても驚いていた。だが、当のシンドバット王は息を上げている。最高濃度の聖力を全身に纏った時点で上昇限界を超えていた。おそらく、今の一撃で大幅に寿命を削ることになり体力を大幅に消耗したのだろう。
だが、命を賭けて生み出したその一瞬はニースの虚をつくには十分だった。アリシャールのスキル「インドラ」により生み出された雷撃はニースの下半身を吹き飛ばした。そして、畳みかけるようにアイリスの「天照」による超高温の火炎をニースにぶつけた。だが、その炎はニースを避けるように垂直に曲がった。
「惜しいな、アリシャール。慎重になりすぎるなと忠告したはずだが?最初から頭部を狙っておけばこの場にいる全員が死ぬことが無かったものを……。」
「違うだろ、あの時聖力操作で雷撃を僅かにずらした。違うか?」
「なんだ、気づいていたのか。よく見ている。さあ、逆転開始だ……。」
そう言うと、ニースは爆発的に増えた聖力で損壊部分を一瞬にして再生した……。
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