第三十七話 最後の特異点
「お集まりいただきありがとうございます。それでは、今から国のために死んでください。」
そう言うと、騎士団長は手当たり次第に人々の胸を槍で突き刺していった。そして、直属部隊は逃げ惑う人々をまるで牧羊犬のように村のはずれにある断崖に追い詰めていった。追い詰められた人々は二択を迫られた。このまま騎士団長串刺しにされるか、崖に身を投じるか……。すると、父さんは俺を抱きしめて言った。
「いいかいダビデ、父さんと最後に約束してくれ。生きろ……。」
そう言うと、父さんは俺を抱きかかえて高さ三十メートルはある崖の下の川に飛び込んだ。凄まじい水しぶきと共に着水すると、父さんは手を引っ張り川岸に導いてくれた。
「怪我は無いか、ダビデ?」
「父さん……、足が!」
父さんの足は着水の衝撃で足の骨が皮膚を突き破っていた。
「このまま、ここに居ればいずれ騎士団に見つかって殺されてしまう。いいかい、隣国に亡命するんだ。おそらく、この国は敗戦する。そうなれば、騎士団長は起死回生の一手として国民を皆殺しにする懸けに出るはずだ。」
「皆殺し!?何でそんなこと……。」
「昔、噂で騎士団長の持つ槍の神器の能力は殺した対象を不死身のゾンビとして使役すると聞いた。さっきの騎士団長の行動で確信に変わったよ。それでもう察したと思うけど、国民を皆殺しにすることで不死身のゾンビ軍団で敵国を滅ぼそうとするはずだ。だから……。」
続きを言いかけた父さんの胸には騎士団長の槍が刺されていた。崖上を見ると既に村人や避難民の姿は無く、騎士団が茂みに隠れていた俺たちを見下ろしている。
「父さん!しっかり!」
「ダビデ……、俺はもうダメだ。逃げろ。」
「嫌だよ、一緒じゃなきゃ……。」
「大丈夫、ずっと一緒にいる。だから、俺たちの分まで生きるんだ。さあ、早く!」
父さんのその言葉に突き動かされ茂みの奥の森に走った。が、後ろから轟音発せられた刹那、すぐ後ろに槍を持った騎士団長が立っていた。
「悪いが、真実を知る者が存在しては困るんだよ。」
すると、騎士団長はその槍で俺の胸を貫いた……。父さん、ごめん。俺、逃げれなかったよ。もっと俺の足が速かったらな……。そして、そのまま意識が沈んでいった。
「ようこそ、ダビデさん。」
その声で目が覚めると、星空のような空間に透き通った銀色の髪に、青い目をしている少女がいた。
「ここは……。」
「この世とあの世の狭間みたいなところです。さて、あなたにはこれから魔人王を倒してもらいます。」
「魔人王!?無理に決まってるじゃん、そんなの!」
「ええ、今のままでは無理でしょう。だから、あなたに体の部位に応じた力を授けます。どこがいいですか?」
体の部位に応じた力、なら俺は……。
「足に力を。」
「分かりました。ではあなたの足に六道のスキルを。六道のスキルは……。」
それから、ダビデは六道のスキルの説明を受けた。そして、銀髪の少女はつづけた。
「さあ、旅立ちなさい。最後の特異点よ……。」
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