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第三十三話 神の国

 ひとまず魔人王の未来を見る限りは今すぐ戦闘にはならなそうなので英雄の名乗りを挙げることにした。


「俺が三代目だ。」


 すると、魔人王はこちらに歩み寄り北西を指差して言った。


「君はこの世界の本当の歴史を知る必要がある。バグダッド国の北に神の国があるだろう。そこに二代目英雄が今もいる。そこへ一人で行くんだ。全てを知った後、君の意思を確認するよ。」


 二代目英雄ってたしか初代英雄が亡くなった後に起きた戦争の時に降臨した人で、もうニ百年近く前の人じゃ……。


「分かった、行こう。」

「ずいぶん素直じゃないか。俺が噓をついているかもとは考えないのかい?」

「お前が噓をつく未来が見えないんでね。」

「ずいぶんいい眼を持ったね。」


 すると、牛鬼がこちらへ走ってきた。


「お久しぶりです、師匠。」


 すると、牛鬼は魔人王に頭を下げた。


「まさか、師匠が魔人王だったなんて……。」

「あれ?そういえば言ってなかったね。にしても、大きくなったな。あのちびが俺の三倍近くまで大きくなるなんてね!」


 そう言うと、魔人王は笑った。そして魔人王は龍山とシンドバット王、連合軍ににらみを利かせて言った。


「これより三代目の後を追うものは何人たりとも許さん。もし、追いたければこの俺を倒していけ」


 それは俺一人で神の国に行くことを意味している。そして、これがしばらくの別れになってしまうかもしれないと思ったアイリスは心配そうに俺を見て言った。


「私が第一次獣人戦争の後、リルが私に異世界人だって打ち明けてくれたこと凄く嬉しかった。」

「俺もだよ。アイリスが俺への気持ちを打ち明けてくれたこと凄く嬉しかった。」

「うん……。リルは強いから大丈夫だと思うけど、絶対に死なないでね。私たちの大切な人だから。」

「心配すんなって、絶対帰ってくるから……」


 そして、ライナやシンドバット王にも別れを告げて神の国に向かった。


 バグダッド国を北に進み山を超えると巨大な結界が貼られている場所についた。物語では、第二次人魔大戦の後に大陸の中央に結界を貼り、人界と魔人界を分けて平和を作ったといわれてる……。


 そして、俺は結界の一部をシヴァで破壊して中に入ると、平原のような場所にポツンと巨大な要塞のような城があった。おそらく、そこに二代目がいるのだろう。


 だが、俺が城に向かって少し歩くと上空から背中に翼を生やした小柄な女性が隊列を成してこちらに飛んできた。


 腹はよく、サイ○リヤでよく見る天使の絵画のようではある。そう、つまりほぼ全裸だ。さらに、年は十代ぐらいの様に見えるので刺激が比じゃない。それに、とんでもない美人ぞろいである。


 もし、天国がこんな感じだと知っていたなら前世の俺は喜んで死んだだろう……。


「侵入者発見!直ちに排除せよ!」


 だが、俺のムフフな感情とは別に、隊長らしき女性の天使が指示を出すと天使達は弓矢をつがえてこちらに向かって放ってきた。その一つ一つに聖力が纏われており相当な実力者ということがうかがえる。


 手加減はできないと判断した俺はそれをすべて躱して、隊長以外の十人ほどの天使をシヴァで消滅させた。少し、過剰かも知れないが何があるか分からない異国の地で油断はできない。


 ましてや、魔人王の手が及んでいるかもしれないのだ。もし万が一にも隙を見せたら殺されると思っていいだろう。さてそろそろ、尋問を始めようか……。


「おい、二代目はどこにいる?」

「私の部下をぶっ殺しといて教えると思うか?」

「なら、別のやつに聞くとしよう……。」


 そして、俺は隊長を消滅させるため触れようとした瞬間、要塞のほうから叫び声がした。声は男性だが、こいつの上司だろうか?


「よせ、カマエル!」


 すると、俺は俺とカマエルの間に発生した何かによって引きはがされた。反重力のような感覚だ。


「手荒な真似をしてすまないね、俺はこの国の王であるスラエル・ダビデだ」

「面白かった」


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