第二十七話 覚醒
ウサギの獣人は俺を蹴り飛ばそうとした刹那、ウサギの獣人を何者かが蹴り飛ばした。
「もう大丈夫。今の私なら……。」
蹴り飛ばしたのはライナだった。そして、蹴り飛ばされたウサギの獣人に眼をやると、白い炎で燃やされている。
「まさか、死にかけてようやく認めるなんてね」
その声の主はアイリスだった。おそらく、二人とも聖力完全覚醒に成功したのだろう。以前とは違い聖力が体中に満ちている。すると、アイリスはウサギの獣人を白炎の業火で完全に焼き尽くした。
「ねえ、リル。このクエストが終わったら伝えたいことがあるの。だから……。」
だが、俺はアイリスの言葉を聞き終わらないうちに虎の獣人の腕に後ろから俺の胸を貫かれていた。そして、背中で憎悪に満ちた虎の獣人の声を聴いた……。
「同じ苦しみを味わえ、女。」
え、俺死ぬの?やばい……、心臓を貫かれたせいで聖術の回復が上手くいかない……。まだ、死ねないのに。まだ、一緒に笑いたいのに。まだ、まだ……。まだ、聞いてないのに……。
そこで、俺の意識は飛んだ。気づくと、俺は真っ白い空間の中で座っている。何が起こったかわからずパニックになっていると頭の中に声が響いた。
「久しぶり。私のこと覚えてる?」
懐かしいその声は……。
「星空の部屋にいたダチュラさんですね?」
「正解!さて、時間も無いから今からいう事に質問は無しね。私は世界がスキルを与えている瞬間だけ君に干渉することが出来るの。この事をよく覚えていてね。それから、いつか世界を解放してね。頼んだよ……。」
そして、俺は異世界で気を取り戻した。まだ、後ろに虎の獣人がいることから時間はほぼ経っていないのだろう。
「死んでいない……、だと!?」
虎の獣人はもう一度俺を殺すため、魔力で赤黒く染まった拳で俺の胸を貫こうとした。しかし、俺に触れた部分が跡形もなく消滅している。
「何を……、俺にした……。」
「さっき、お前に殺されかけて覚醒して得たスキルの効果だよ。スキルの名は“シヴァ”。俺の聖力は全てを破壊する能力を持つ。今、俺は体中が聖力で満ちているから体のどこを触れても消滅するよ」
すると、殺せないと知って絶望した虎は言った。
「あの女が白い炎で葬ったのは、俺の婚約者だ。このクソみたいな世界でたった一つの俺の希望でさえ無くした。なあ、そのスキルで俺の絶望も消してくれよ……。」
そう言うと、虎の獣人は俺を無視してアイリスに向かった。虎の獣人はウサギの獣人並みに素早かったが、聖術覚醒状態の人間の身体能力は未覚醒状態の数倍だ。
俺はアイリスに向かった虎の獣人の頭を消滅させた。もし、生まれる世界が違ったなら……。そう思わずにはいられない。
「リル、大丈夫だった?」
ライナとアイリスが死にかけた俺を心配して駆けつけてきてくれた。すでに覚醒状態は解けており、聞くと俺が死にかけていることに驚き解けてしまったらしい。もし、俺が覚醒できていなかったら……。
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