第二十五話 怪物
B級に昇格してから五年がたち俺はA級になった。そして、異空間魔導書呼応術と言うノーモーションで魔法を発動出来る術式を発明した。その術式は世界中に拡散し、世界は大きな時代のうねりに飲まれることになる……。
それは海がきらめく夏の出来事だった。俺はいつものように校舎から海を眺めていると、一隻の軍艦らしき船が港に近づいてきている。いつもは商船や漁船しか寄港しないので珍しいな、なんて思っていると、船から衝撃波が発せられた。
港の警備隊が異常事態に気づいた刹那、衝撃波は港に到達していた。その衝撃波の威力は港を壊滅させ、家々を吹き飛ばし、港から少し離れた学院の窓も割ってしまうほどだ。だが、俺は重大な勘違いをしていた。後から気づいたのだが、それは衝撃波ではなく獣の雄叫びだったのだ。
その異常事態にミハール全域に緊急クエスト並びに緊急避難命令が出され、B級からS級までの冒険者がギルドに招集された。緊急クエスト内容は爆音を発した軍艦も合わせた合計七隻に乗った獣人を撃退することだ。
ギルドで情報共有をしていると港の方向から強大な魔力を感知した。港を見てみると高さ10メートルはある巨大な赤黒い魔斬撃をシンドバッド王が受け止めている。
「シンドバッド王!」
皆が叫んだ。すると、シンドバッド王はもうこれ以上受けきれないと感じたのかアリシャールを呼んだ。
「アリシャール!こいつを異空間に飛ばしてくれ、重すぎて上に弾けない!」
「分かりました王よ」
そう言うと、アリシャールは時空間魔法で魔斬撃を異空間に飛ばした。すると、港から1キロも離れた軍艦から一人の牛の獣人が飛んできた。筋骨隆々のその獣人は高さ7メートル近くもあり、右手に薙刀を持っている。
体には幾つかの斬り傷や砲撃を喰らった跡がある。だが、背中には一切の傷が無かった。おそらく、数多の戦闘で一切逃げることなく敵を討ち続けたのだろう。
また、体に纏っている魔力は禍々しいだけでなく赤黒い稲妻を纏っていた。それは、魔力操作の最高到達点にいる事を示すと同時に、さっきの魔斬撃の主である証拠である。
まさに、怪物だ……。
「お前がシンドバッド王か!」
「そうだ、なぜこんな事をした!?」
「お前たち人間は我々の同士を奴隷として扱っている。隣国である俺の国から散々奴隷狩りをしておいて、ただで済むと思うな……。」
「奴隷狩り自体は我が国の前身であるジンダス王国時代から続いていただろう。なぜ今になって襲撃した?」
「俺の国は知っての通り、お前たちの国とはヒマルヤ山脈を挟んでいる。山越えを大軍でするには骨が折れるのでな。だが、俺たちは航海術を身につけた……。さて、それはそうと、我が牛鬼の名に懸けて返してもらうぞ!」
そう言うと、牛鬼は薙刀に赤黒い魔力を纏わせた。そして、シンドバット王もまた剣に赤黒い魔力を纏い臨戦態勢に入った……。
「行くぞ、シンドバット!」
「来い、牛鬼!」
そして、互いの魔力がぶつかる度に赤黒い稲妻と衝撃波発生した。常人では、二人が出す殺気と魔力に当てられて立つこともままならないだろう。
そうして、お互いに斬って躱しを繰り返していたが、牛鬼の一撃を躱しきれず剣を弾き飛ばされてしまった。その隙を突き、シンドバッド王に薙刀を振り下ろした。
だが、シンドバッド王はそれを防ぐために腕に魔力を纏い防ぐことが出来た……、はずだった。しかし現実は、牛鬼の一撃がシンドバッド王の魔力防御を簡単に破り腕を切り落としている。
「何故だ、何故お前は俺の魔力防御を貫通出来た!?」
「簡単だ、お前が未熟だからだ……。」
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