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第二十話 魔人半覚醒

 戦士の技術を教えてもらってから、長い月日が過ぎ学年末試験がやってきた。


 アカデミー時代とは違い実技試験、つまりトーナメント戦による試験のみとなる。そして、俺はこの試験で魔法戦士の戦術的強さを思い知ることとなった。


 初戦の相手はクリスという男子だった。礼をした後、試合開始の笛が鳴った。先制はもちろん俺だ。剣に魔斬撃を飛ばして、クリスの術式構築を妨害しようとした。すると、クリスは避けることが出来ずそのまま食らってしまい戦闘不能になってしまった。


 こんな感じで殆どの試合が初手で終わってしまった。中には辛うじて躱して反撃に転じることが出来た者もいたが、本来俺は魔術師だ。躱すことに精一杯で隙だらけの相手に強力な遠距離攻撃を畳み込むのは造作もない。


 だが、アイリスだけは規格外だった。術式構築が以前よりも早くなり、魔斬撃にも魔法で対応出来るほどだ。一体どれほどのイメージを瞬間処理しているのか、俺には想像もできない。


 だが、この戦術はそんな規格外な相手にも牽制をしつつ術式を構築することが出来るという強みがある。


 魔法の撃ち合いの中で、アイリスの魔力が黒く変色し始めた。


「特訓を受けているのはリルだけじゃないんだよ。」


 そう言うと、アイリスの背中から龍の翼のようなものが生えてきた。すると、口から息を吐いたと思ったら息が火炎に変わった。。


「すごいでしょ!魔人半覚醒状態って言って、本来の魔人ほどではないけどスキルが使えるようになったの。ちなみに私のスキルは龍化って言って、龍族に出来る事なら大抵のことは出来るわ。」

「そんな技術誰に教えて貰ったの?」

「アリシャールさんに。私、リルとシンドバッド王が手合わせしているのを見ちゃったの。そしたら、アリシャールさんが来て、君もニースを倒すことになる要因らしいからって。」


 それにしても、魔人半覚醒を起こせるような辛い経験をしていたなんて……。それはともかくアイリスに機動力と持久力が備わってしまったのは非常に不味い。魔斬撃を魔法で受ける事なく躱せるので、強力な魔法を放つ事が出来てしまう。


 なので、雷魔法で神経伝達を高速化し、更に身体強化魔法の合わせ技の高速移動によってアイリスの隙をつくべく後ろに回り込んだ。


「はやっ!けど、私も小型の龍化だからかなり早いよ……」


 そう言うと一瞬で俺の頭上まで飛び、炎が輝く大きな口を開き火炎放射を放った。その威力はアカデミー試験の際に俺が使った龍砲火炎(りゅうほうかえん)に匹敵する。


 まずいな……。これを防げるのは上級水魔法しかないのだが、そう何発も出せない。何よりも身体能力魔法に雷魔法の同時使用に加えて上級水魔法まで発動させるのは不可能だ。


 なら、全力で躱すしかない……。俺は魔力を身体能力強化に全て充ててなんとか躱した。だが、こんな事ずっとは持たない。魔力が足りなすぎる。


 つまり、短期決戦しかない訳だがどう倒せばいい?龍種はあらゆる魔法に耐性を持つと聞く。それに鱗だって鋼鉄のように硬い、倒すのは不可能か……。


 なら、あれしかない!俺は今持てる全魔力を身体能力強化に注いだ。おそらく、この状態が今出せる最高速度だ。その結果、俺の体からは黒いオーラが立ち昇るように見えたそうだ。


 そして、俺は衝撃波を放ちながらアイリスに接近し触れることに成功した。


「魔力封印」


 そう俺が唱えると、アイリスの魔力の流れが停止した。すると、龍の翼が消え地面に落下したので受け止めた。


 そして、試合終了の合図が鳴った……。


「あーあ、また負けちゃった。それにしても、封印術まで覚えているなんて。」

「時空間魔法のついでに修得したんだよ。原理は似てるからね。」

「私も修得しとけばよかったなー。」


 その後、俺は決勝戦まで勝ち上がり優勝する事が出来た。お陰で、Aクラスに振り分けられることになる。だが、アイリスと戦ったのは準々決勝だったので順位的にアイリスもAクラスに振り分けられることなった。


 そうして俺たちは二学年になり、ようやくダンジョン攻略やクエスト受注など冒険者らしいことが出来るようになった。



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