第十九話 魔法戦士
そして、シンドバットと学院の裏の開けた場所で勝負する事となった。
お互い定位置につき礼をした後、試合開始の合図がなった。
すると、シンドバットは剣に魔力を纏わせて魔斬撃を飛ばしてきた。魔法で防ぐのは困難なので躱しつつ、時空間魔法で魔導書を呼び出した。
「珍しいな、戦闘で魔導書を使うなんて。」
「近接型には魔導書が一番効果的ですから。」
というのも、魔導書は予め術式構築がされているので戦士の動きに合わせて即座に対応しやすい。だが、材質が紙である以上魔法の階級が上がれば上がるほど、魔力の焼き付きなどにより発動可能回数が減ってしまう。それに加え魔法の階級が上がれば上がるほど、当然術式容量が増えてしまうのだ。
そして、俺が今持っている魔導書には三つの上級魔法と二つの中級魔法が記されている。魔導書の発動限界を迎える前にシンドバットを無力化したいところだが……。
ひとまず俺の周囲を泥沼状態にしてシンドバットの機動力を奪うことにした。
「足場を奪うつもりかい?させないよ。」
シンドバットはそう言うと、こちらに向かって一直線に走って来た。それを防ぐために俺は泥の壁を作り出して防ぐことに成功した……、と思ったがシンドバットは泥の壁を突き破ってきたのだ。しかし、驚いたものの横に躱せた。
そして、シンドバットの視界は潰すことに偶然だが成功だ。だが、次の瞬間シンドバットはこちらを振り向いた。まさか……目を瞑っていても動きが分かるのだろうか?
すると、シンドバッドは小さな水圧弾を発射して俺の腹部に重い一撃を入れてきた。
ダメージを食らいながらもひとまず距離をとるために炎圧弾を放つも、シンドバットは躱して距離を更に詰めてきた。
そして、シンドバットの拳が俺の眼前に迫った時、俺は諦めた。魔術師として勝つことを。
俺は上級魔法の身体強化魔法を発動してシンドバットの拳を躱した。これには流石のシンドバッドも動揺している。そして、その一瞬の隙を突いてシンドバッドの右頬を拳で殴った。
「俺に一撃入れるなんて……、流石あいつの息子だ。」
そう言って、シンドバッド王は剣を捨てて両手を挙げた。
「俺の負けだ。君達ならきっとニースを倒せるよ。それで、負けた俺が言うのもなんだが、俺の下で修行してみないか?」
そもそも、この戦いに乗ったのもこの状況を作り出すためなので、もちろん俺の答えはイエスだった。正直、シンドバッドが俺に期待してくれるかは賭けだったが……。
そして、その発言に家臣はとても動揺していた。
「安心しろ、アリシャール。実務に支障は出さないようにする。」
「ですが、スケジュール的にもう限界です!」
「それを何とかするのがお前の仕事だろう?」
アリシャールはとてもとても深いため息をついた。かわいそうに……、いわゆる社畜状態なのだろう。上司からの無理難題を押し付けられて苦労している、そんな顔をしている。
「さて、リベルテ。これから君には魔術師と戦士のハイブリットである魔法戦士を目指して欲しい。」
「魔法戦士ですか……。ですが、俺は最強の魔術師になりたいんです。」
「それは俺の目からも明らかだが、それでは君の眼が腐ってしまう。それに魔法戦士の戦術に慣れれば対人戦で確実に有利を取れることに加えて、何より一個人でパーティーを完結出来る。」
理想と現実の狭間で、俺は複雑な気持ちになった。だが、悩んだ末に俺は現実の中で理想を叶えることにした。
「分かりました。なります、魔法戦士に。」
「よく言ってくれた。なら早速、戦士の基本的な技術を身に着けてもらおう。そんなに難しい技術じゃないから直ぐに覚えられるよ。」
それから、戦士の技術を教えてもらった。魔力を纏う技術と剣術だ。魔力を纏うのは魔法の練習で散々魔力操作の練習をしたので問題はなかった。だが、魔力を纏うと言ってもその精度によって、強度と威力も違ってくるらしい。
その精度は魔力の色で区別され、第一段階は魔力本来の色である紫、第二段階はより濃密な黒、第三段階は赤黒くなるのに加えて赤黒い稲妻が周囲に走るらしい。また、剣術も基本的な技術は修得出来たがこれも技の精度によって強さが変わってくる。
それから、長い月日が過ぎ学年末試験がやってきた。アカデミー時代とは違い実技試験、つまりトーナメント戦による試験のみとなる。そして、俺はこの試験で魔法戦士の戦術的強さを思い知ることとなった。
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