第十七話 戦士学院
それにしても、ニースが対魔獣使役封印術の開発者だとは驚いた。だが、先生はリスクを負ってなぜ俺に明かしてくれたのだろう。まさか……、とは思ったがひとまず戦士学院へ見学しに行くことにした。
戦士学院は魔術学院と違い、とても質素なつくりをした作りだった。座学が少ないということも関係しているのだろうか。そんなことを考えながら歩いていると修練所についた。
「リールー!」
そう叫んで走って来たのはライナだった。
「こんなところに何しに来たの?」
と、聞かれたので事の経緯を話した。
「そういうことね、なら修練風景を見ていくといいよ。」
そう言って案内してくれた。
修練風景を見てみると、先生の言う事がよく分かった。身体能力強化魔法による高速移動術、遠距離からでも攻撃出来る魔斬撃などなど。色々な技があるが、総じて発動までの時間がとても短い。
つまり、状況が変わりやすい戦闘中では術式構築に時間の掛かる魔術師よりも、戦士の方が対応は早いので優遇されてきたのだろう。
そこで、俺はあることに気づいた。対魔獣使役封印術は予め術式を構築しておき、術式を起動すると異空間から予め封印した魔獣を召喚するというもので、戦闘中魔獣の出し入れが迅速に行える。
このように予め術式を構築することが出来れば魔術師でも戦闘中に遅れをとることなく戦えるのではなかろうか。そして、予め術式構築がしてあるものと言えば魔導書だ。つまり、魔導書の欠点さえ克服出来れば魔術師の未来は開けるのではないだろうか。
見に来てよかった、そう思った。見に来てなければこの発想は出てこなかっただろう。そんな事を考えていたら、ライナから一緒にご飯を食べないかと誘われた。
せっかくなので戦士学院の食堂に案内してもらった。歩きながら殺気をひしひしと感じていたが気のせいだと思いたい……。
食堂につき、メニューを見てみると戦士学院だけあって多くの料理が肉料理だ。俺はチキン、ライナは豚っぽいものを注文した。食べてみると、ハーブの効いたスパイシーな味がして美味しかった。
それからライナは午後の授業があるので一人で学院を散策することにした。すると、戦士学院の学生だろうか。何人か俺に詰め寄ってきた。
「なあ、あんたライナさんの何だ?」
「友達ですが。」
「本当に友達なんだな?」
「ええ、そうですけど。」
「なら、知っているな?ライナさんに彼氏がいるかどうか?」
ふーん、さっきの殺気正体はこいつらの疑念と嫉妬から来るものだったのか。なるほど、少し面白いことになったな。少し遊んでみるか……。
「君たちはライナの事好きなんですか?」
その質問に学生たちは顔を真っ赤にしながらうつむいて小さな声で言った。
「はい……、ライナさんが好きです」
ああ、青春だ。なんだか聞いた俺が恥ずかしくなってしまった。前世では恋愛なんて一切なかったからしょうがないか……。
「それなら一ついいことを教えます。俺が知る限りは彼女はいないですよ」
そう言うと嬉々としてむさ苦しい集団は帰っていった。きっといつか、再び戦士学院を訪れたら彼らの恋路の行方でも聞いてみるとしよう……。
しばらく散策した後、今日のことを整理するために一度学院に戻ることにした。
まずは、魔導書の欠点である持ち運びを解決することを考えなければならない。魔導書の欠点を補うように作られたのが杖と印契なのだが、これらは術式構築をしなければならないという最大の弱点がある。
そこで、魔導書を時空間魔法で異空間に閉じ込め、こちらの何かしらのアクションに応じて魔導書を呼応させるという手法を思いついた。
翌日、先生に可能かどうかを聞いてみたが分からないと言われた。というのも、理論的には可能かもしれないが実際に作ってみないと分からないらしく、それに加えて俺の考える術式は相当高度な術式になってくるのでより想定しづらいとのこと。
そのため、まずは時空間魔法の修得を勧められた。ちなみに時空間魔法とは文字通り時空間に関する魔法である。
例えば、一瞬で空間を移動したり時間を操作したり可能性は多岐にわたる……。
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