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第十四話 スキル

 お父さんと私は冒険者として様々な国を旅しながら愛し合っていったわ。しばらくして十分なお金が貯まったから、私の両親と一緒にシャルラ村でのんびり過ごすことにしたの。それから少ししてリルを身ごもることが出来た時はとても幸せだった……。


 だけど、そんな幸せな日々は突然終わりを迎えることになってしまったわ。私が街から帰るとお父さんが……、両親を殺していたの。


「なんで……。どうして、殺したの!」

「必要だったからだ。」

「必要?どういうこと……。」

「今はまだ知らなくていい。ただ、これから戦争が起きる。巻き込まれる前に身を隠しておけ。それと……、俺の息子と言う事は隠してくれ。」


 そう言うと、ニースは家の外へ出た。


「どこへ行くの!」

「それを聞いてどうする。」

「止めるのよ!まだ、聞きたいことが山ほどあるわ。」

「止めるか、出来もしないことを。」


 そう言うと、ニースは時空間転移魔法の印契を組み始めた。それを阻止するためにシオンは魔封印結界を起動させた。


「そういえば、あなたにはまだ教えてなかったわね。万が一の為に予め家の周りに術式起動者以外の魔力を封じる結界を構築していたのよ。まさか、あなたに使うと思っていなかったけど。」

「魔力を封じた程度で俺を拘束出来ると思っているのか?」

「いや、だから身体も拘束するわ。砂縛封印!」


 すると、砂がニースの体のまとわりついて動きを封じた。


「さて、じっくり聞かせてもらうわよ。」

「だが、それには俺を止めないとな。」


 すると、ニースは砂を振りほどき結界外に向けて走り出した。


「どういうこと……、S級魔獣ですら拘束出来る硬度なのに。」

「確かに通常の俺なら拘束されていた。が、そういえば教えてなかったな。俺のスキルの詳細について……」

「あなたのスキルは確か、トール。自身の体を雷と同化させる、そういうスキルだったはずよ。」

「そうだ。だが、それは魔人半覚醒時のスキルだ。」

「魔人半覚醒?」

「魔人への覚醒にはいくつかの段階がある。本来魔人へ覚醒すると、黒い魔力を纏いスキルが発現すると言われている。だが、覚醒の50%でも劣化版とはいえ使用することができるんだ」

「じゃあ、あなたの本当のスキルは……。」

「そうだ、聖力覚醒時のスキルだ。スキルの名は天上天下唯我独尊。覚醒状態を1秒維持すると、聖力が2倍。2秒経過で4倍、3秒経過で8倍。つまり、砂縛封印を解いた時点で256倍。その聖力を身体強化に回せば造作もないというわけだ。ちなみに現在の倍率は三十二秒経過、もう何桁か分からないが多分億はいっているだろう」

「じゃあ、もうどんな封印術でも止まらないのね……。」


 そして、ニースは結界の外に出た。シオンも追ったがもうそこに姿はなかった。


 それからお父さんの言った通りに戦争が起こったわ。シャルラ村の属するオルマーン帝国とその隣国のバグダッド国の間でね。そして、バグダッド国が勝ってオルマーン帝国丸々併合したわ。この戦いでバグダッド国の王、シンドバッド王は最強の冒険者として名を上げることになったの。


 ただ、その後お父さんがシンドバッド王の宮殿を襲ったの。理由はシンドバッド王が持つ神器、天叢雲(あめのむらくも)(のつるぎ)の奪取のためだった。そして、シンドバッド王は宮殿の防衛のため出した緊急クエストで大勢の冒険者を向かわせたわ。


 けれどこの戦いで、緊急クエストに参加したS級32名中21名、A級132名中53名、B級381名中184名の死者行方不明者を出した挙句神器も持ち去られてしまった為、6割減の大幅な国力低下を招いてしまったわ。


 そして、その後の世界連合会議にてお父さんは世界的三大凶悪犯の一人として認められることとなったわ。これで海賊エドワード・ボネット、魔人王に次ぎ三凶と呼ばれるようになったの。


 すると、精神魔法が解かれた。


「私がお父さんについて知っているのはここまでよ。」


「面白かった」


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