Season 3 逃げたい
この物語は、私が見たひとつの夢から生まれました。
『全season5』
私は自分のカバンを取りに行こうとした。
「ちょっと待って」
A先生が後ろからついてくる。
カバンの中を確認して、私は自分の爪切りで爪を整えた。
それだけのことなのに、先生たちの表情はずっと不安そうだった。
「大丈夫だから」
私はそう言った。
でも、本当は大丈夫なんかじゃなかった。
心の中では、ずっと逃げ出したかった。
その後、私はトイレに行きたいと伝えた。
「じゃあ、先生も一緒に行くね」
その言葉を聞いた瞬間、身体が動いた。
「……嫌」
私は走り出した。
「待って!」
先生たちの声が後ろから聞こえる。
廊下を走る。
どこへ行きたいのか、自分でも分からなかった。
ただ、誰にも追いつかれたくなかった。
先生たちが心配して追いかけてくる。
そのことが余計に苦しくなった。
私はポケットの中にあったものに手を伸ばしてしまった。
そして、また自分を傷つける行動をしてしまった。
「やめて!」
遠くからA先生の声が聞こえた。
その直後、腹部に強い痛みが走った。
「……痛い……」
私はその場に崩れた。
先生たちが一斉に駆け寄ってくる。
「大丈夫? 聞こえる?」
「今、何をしたの?」
何人もの先生が私の周りに集まった。
私は何も答えられなかった。
すぐにベッドまで運ばれた。
A先生とM先生が私の状態を確認する。
そして、私の腕に気づいた。
「……また、傷つけたの?」
A先生の声が震えていた。
私は答えられなかった。
先生がポケットの中を確認すると、そこには私が隠していたものがあった。
そして、クスリを沢山飲んでいたことまで知られてしまった。
「これ……いつから?」
私は俯いた。
「……ずっと」
ようやく出た声は、とても小さかった。
M先生がすぐに医師を呼ぶ。
「今は怒らない。まず、この子を安全にすることが先」
その言葉を聞いた瞬間、私は初めて気づいた。
先生たちは私を責めるために、ここにいるんじゃない。
私を守るために、ここにいるんだ。




