#92 トップ争い
紫亜がじっと俺を見つめる。
「で、玲磁くんはどうなの? あなたはちゃんと勉強してるの?」
「あー……別に、中間試験だからって特別に頑張ることでもないだろ」
俺は肩をすくめて、いつも通りの調子で答える。
紫亜は驚いたように口を開く。
「へえ。私でさえ、学科1位を維持するために勉強は欠かさないのに」
莉亜も、淡々とした口調で軽く返す。
「あら、私も今回は1位を狙ってるけど?」
(入学時は学科2位だった莉亜らしい余裕ある発言)
紫亜がふふっと笑いながら返す。
「いくら莉亜姉でも、学科1位の座はまだまだ譲れないわ」
姉妹二人の会話は、トップレベルの軽口合戦。俺はそれを横目で眺めつつ、淡々とした気分を続ける。
紫亜が問い直す。
「あなた、学科は得意なの?」
「うーん、まあなんとかなるんじゃね?
入学時は寝坊して受けられなかったし、俺が学校でどれくらいのレベルなのかは分からん」
二人は少し間を置き、目で情報をやり取りしている。
莉亜は無言で眉をひそめ、
紫亜はにやりと笑う。
「楽しみね…」
二人とも、俺の学科の実力は察せるけど、正確なレベルまでは測りかねているようだ。
「じゃあ……またね」
軽く挨拶を交わし、俺は寮に向かって歩き出す。
後ろで姉妹の会話が続く。
「…どう思う?」
「…考えても始まらないわ。天竜くんを気にかける余裕がない。今は妹のあなたに負けないように勉強することだけ」
「中間試験…何が起こるか分からないわね」
俺は振り返らず、いつも通りの足取りで赤ノ寮へと帰る。
莉亜紫亜が揃っての絡みはもう少し前を予定していたのですが、シンプルに遅くなりました。




