#90 勉強会の気配
昴と並んで寮の玄関をくぐると、
談話室の奥のテーブルで、二人の姿が目に入った。
慈音寺 貴満。
意志神 鉄駔。
ここに理紅虎もいればガリ勉トリオ…いや三賢組の完成だ。
「お、貴満と鉄駔か」
俺が声をかけると、貴満は本を閉じて丁寧に会釈した。
「天竜くん……篝火くんも。どうも」
昴が近づきながら軽く手を上げる。
「おお、お前らもここで勉強か? 自室じゃなく?」
貴満は静かに微笑んだ。
「ええ、まあ。気分転換も兼ねて、ですね。
ところで……天竜くん。神無月くんはまだEクラスに?」
「ああ。あいつは今ごろ、教科書と睨めっこしてるだろうな」
「……そうですか。ありがとうございます」
すぐに鉄駔が立ち上がった。
「行くぞ、貴満」
「はい」
二人は談話室を離れ、学校側の廊下へと足早に消えていく。
昴が腕を組みながらつぶやいた。
「なるほどな。三賢組で勉強会ってわけか」
「ガリ勉トリオの集会だな。貴満なんて見た目からして頭良いし、鉄駔も変な奴だけど気が合うみたいだな」
昴は苦笑しながら肩をすくめる。
⸻
「さて。俺は部屋戻って勉強するか。
どうだ玲磁、お前も一緒にやるか?」
「いや、今日は眠いから寝るわ。また明日」
「……まじかお前」
昴は本気で呆れた顔をしている。
でも俺にしてみれば、
飯食って風呂入ってちゃんと寝るのは
“普通の生活”だ。
試験前だろうがなんだろうが、それは変わらない。
俺は手をひらひら振って階段の方へ向かい、
昴は「ほんと信じられねえ……」とぼやきながら自室へ戻っていった。
さっさと部屋に戻る玲磁。




