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アルテリア魔法学校で最下位合格した男の話  作者: 霧雨
第一章 入学編

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#59 満を持して

火と氷の“白い炎”がゆっくり消えていく。


昴と明日香がまだ言い合っていて、

紫亜が面白がり、

夢威は感心しっぱなし。


部室が熱気と冷気でごった返している、その時――


カラン、と扉が開いた。


「……ずいぶん楽しそうね、あなたたち」


風がふわりと流れ、

沙羅先生がいつもの落ち着いた態度で入ってくる。


「さ、沙羅先生……!?」


(げっ……いつから見てたんだ……)


先生は部室をゆっくり見渡し、

珍しく、はっきりとした“賞賛”の色を浮かべた。


「この短期間で、火と氷まで成功させるとは思わなかったわ。

 正直、驚いた。よくやったわね」


……マジか。

沙羅先生がここまで“丸ごと褒める”なんて初めて見た。


明日香はわずかに目を丸くし、

昴は頭を掻いて照れている。

大河は「うお、褒められた……!」とニヤけている。


俺はほんの少し胸を張りながら言った。


「紫亜の存在がかなり大きいです。

 理論構築は……たぶん、彼女に任せておけば間違いない」


紫亜はけろりと微笑んだ。


「一人一人がちゃんと“調和”を意識してるからよ。

 今日入ってきた3人も含めて……全員、合体魔法の才能があるわ」


夢威は「えへ……」と眠そうに笑い、

遥花は“自分も役に立ててる”と分かって嬉しそうに手を胸に当てた。

大河は「才能……か。悪くない響きだな」と照れ笑い。


そこへ、昴がニヤついた顔で俺の肩をぽんと叩く。


「先生も来てるし……そろそろ、あれもやってみたいな?」


あれ。


つまり――


時属性の初合体。


俺は深く息を吐いた。


「時と何かで合体魔法……か。

 よし。まずは一番成功率が高そうな……夢威、頼む」


夢威はきょとんとしてから、

ふにゃっと笑った。


「……うん。玲磁となら、たぶん……できる」


沙羅先生は腕を組み、

静かに俺たちを見守っている。


紫亜は完全に研究者の目だ。


昴と大河はワクワクした顔で後ろに下がり、

遥花と明日香は固唾をのんで見守る。


俺は時計のイメージを中心に魔力を構築する。

夢威は、彼女特有の“直感で編む風”を生み出す。


ふわぁ……と優しい風が漂う。


(いける。この感覚……夢威となら噛み合う)


俺は魔力を重ねた。

時計針が、風を巻き込んで回転するイメージ――


「――“時空の奔流ソウルスラッシュ”」


小さな 白い円盤 が俺の掌の上に“パチッ”と生まれた。


次の瞬間、


ヒュォォオオオオ!!


円盤の中心から、

時差を孕んだ風の渦 が噴き出した。


見た目は風。

でも“流れ方”が違う。


風速がおかしい。

渦の部分だけ時間の進みが微妙にズレている。


紫亜「これは……すごい……!風圧が“未来側にずれてる”……!」


昴「お、おい……なんだよこれ……!」


明日香「……風なのに、熱も冷気も感じない……ただ“異質”……」


遥花は両手を口に当てて、

うっとりしたように見つめている。


大河「これ、触って大丈夫なやつか……?」


俺はゆっくり手を握り、魔力を断つ。


時の風は“音もなく”消えた。


夢威はぽそりと笑った。


「……すごい……玲磁の“時間の流れ”が、風に溶けてた……」


沙羅先生が、珍しく目を丸くしていた。


「……これが、時属性との合体……

 予想以上よ。危険だからって、封じるのはもう難しいわね」


褒めてる、のか?

怒られたのか?

まあ、どっちでもいい。


俺は深く息を吐いた。


「――これなら、まだ先に行ける」


紫亜の瞳が燃える。


「当然よ。時属性という“未知”が入った以上、

 この部活は、きっと……世界の魔法体系を変えるわ」


昴は笑い、明日香はそっぽを向き、

大河は腕を組んで「面白くなってきやがった」と言い、

遥花は俺の方を見て小さく微笑んだ。


夢威は眠そうにあくびをしながら、


「……次は、もっと……大きいの、つくろ……」


と呟いた。


沙羅先生は、俺たちを見渡し――


「……やっぱり、此処の顧問になって正解だったわ」


と、ほんの少しだけ笑った。

合体魔法研究部、今日まで上手く行きすぎています。

今後が楽しみ。

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