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アルテリア魔法学校で最下位合格した男の話  作者: 霧雨
第一章 入学編

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#44 悪ガキトリオの愚痴

教室を出た瞬間、肩の力が全部抜けた。

祭吏さいり先生の言葉って、なんか……心臓に直接クる。


廊下の空気を吸って、一息つこうとしたその時――


「おっそ!!」


階段の踊り場から、ひかるの元気すぎる声が落ちてきた。


壁にもたれて腕組みしてる皓は、こっちに向かってニヤッと笑う。


「また呼び出しくらってんじゃねーか、玲磁ぃ!!」


「……いや、なんか説教っていうか……

 統計的に言うと“人生指導”?」


そう言った瞬間、階段の影から別の声。


「やっぱあの魔法倫理の女か」


陶之助すえのすけが顔を出した。

いつもの気怠そうな感じで、金メッシュが揺れてる。


…クラスも違うのに、本当にいつも一緒だなお前ら。


陶之助が呟く。


「言ってることはまともなのに、問答無用で心を折りに来るタイプだ」


皓がめっちゃ勢いよく頷く。


「そうそう!!

 “反論できねぇ理不尽”って単語はアイツの説明欄に載ってるだろ絶対!

 マジでクソ厳しい。でも正論。反論できねぇのがムカつく!!」


「“全部正しいから逆に腹立つ”だろ」


陶之助が静かに言うと、皓は顔をしかめながらも認めるように唸った。


そしてすぐ、皓が俺の肩に腕を回してくる。


「で?

 お前はどーせ“優しすぎる”とか言われたんだろ?」


歩くのが止まった。


「……なんで分かんだよ」


「分かるに決まってんだろ」


皓はニッと笑う。

あの顔は、たぶんわざとムカつくように作ってる。


「お前、人に本気でぶつかる前に“相手が怪我したらどうしよう”とか考えるタチじゃん」


陶之助が横からすっと言葉を足す。


「決闘のときもだ。

 皓とやる時、お前……手加減してただろ。

 皓は気づいてねぇけどよ」


「は!? 気づいてたし!?

 ……いや、気づいてたし!!」


皓が真っ赤になって怒鳴るのが面白すぎて、つい笑った。


俺は首をかきながら言う。


「いや、俺は本当に戦闘経験ゼロだし、攻撃魔法もロクに使えねぇってだけだよ。

 ……まぁ、先生にも似たようなこと言われたけど」


皓が鼻で笑う。


「ほらな。

 倫理学って“優しい奴ほど怒られる授業”なんだよ。

 オレは優しくねぇからセーフだけど!」


すぐ陶之助がツッコむ。


「お前の場合“授業内容理解してねぇから怒られた”だけだ」


「難しいこと言われても分かんねぇんだよ!!」


「はいはいケンカすんなバカ二人。

 教師いねぇのに倫理学再現すんな」


俺が止めると、皓が「あ? ケンカじゃねぇし!」って言いながらも笑ってる。


ようやく場の騒ぎが落ち着いたころ、

陶之助がポケットに手を突っ込みながら、ふっと真面目な声を出した。


「で、玲磁。

 ……次どうすんだよ。

 “時魔法、怖がって封じすぎるな”って言われたんだろ?」


俺は少しだけ考えてから、ぽつりと返す。


「……まぁ、信用してみてもいいかなって思ってる。

 あの先生、怖いけど……根っこは優しいし」


皓が即反応する。


「は!?

 なになに、惚れた!?

 玲磁、倫理教師に惚れた!?

 禁断すぎんだろ! オレ応援するけど!!」


「惚れてねぇよ。

 惚れるとしても沙羅先生の方がまだ分かるわ」


陶之助がふっと笑う。


「まぁ、担任の方に惚れてるってのは現時点でバレてるしな」


「いや冗談のつもりなんだけど!?

 てかなんで既成事実みたいに扱うんだよ!」


三人の声が階段に響き渡る。


くだらなくて、うるさくて、でもどこか心が軽くなる空気。

祭吏先生の重たい授業から解放された反動なのかもしれない。


俺はひっそり笑った。


(……まぁ、なんだかんだ悪くないな、こういうの)


胸の奥で、さっき感じた重さが少し解けていくのを感じた。

当然ですが、皓と祭吏先生の相性はかなり悪いです。

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