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アルテリア魔法学校で最下位合格した男の話  作者: 霧雨
第二章 トレーニング編

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#116 まぜこぜの魔法

次は虹矢の番だ。


「いくぜ! 俺様の魔法!

 <ンヌラァァァ!>」


(……まず詠唱をどうにかしろ)


そう思った瞬間には、もう遅かった。


魔力が、歪む。


いや、歪むどころじゃない。

散らばった。


氷の弾。

電気の渦。

鉄の塊。

火の蛇。


——四方向に、同時に、バラバラに。


「うわわ、なんだこりゃ!」


理紅虎が思わず身を引く。


「だめだ……あさっての方向に飛んでる……」


瑞翔が冷静に、しかしはっきり失敗を告げる。


「虹矢くん……」


遥花は心配そうに声を上げる。


事実、的には一切当たっていない。

魔法は空を切り、地面をかすめ、霧散した。


完全な失敗作。


俺は額を軽く押さえた。


「あ〜あ……また“まぜこぜ”だな」


属性の切り分けができてない。

魔力はあるのに、制御が追いついてない典型だ。


でも——


「どんまい! 前より強くなってるよ!」


魅亜が、即座にフォローを入れる。


沙羅先生も、否定しない。


「焦らなくていいわ。

 虹矢くん、魔力量は前より“2”ほど上がっている」


(2……)


つまり、10が12になったってことか。


普通なら誤差みたいな数字だ。

でも——


「喜んでいいのかわっかんねぇけど!」


虹矢は満面の笑みで拳を突き上げた。


「喜ぶぜ! よっしゃあああ!!」


(……こいつ、ほんとメンタル強ぇな)


失敗しても折れない。

むしろ前に進む。


属性はぐちゃぐちゃ。

詠唱は意味不明。

でも——


(こいつは、絶対に伸びる)


そう確信できるくらいには、

虹矢の背中は、もう前を向いていた。

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