#108 広がる繋がり
右京と六華が並んで立っている姿を眺めながら、俺はふと思いついたことを口にした。
「そういえば……会長が空属性なのは知ってますけど。
副会長の属性って、何でしたっけ?」
一瞬、六華が答える前に、横から昴が思い出したように言う。
「確か、光属性でしたよね。
3学年で第2位。会長を除けば、いちばん強い人」
六華は軽く顎に手を添え、少しだけ得意そうに微笑んだ。
「ええ、その通り。
ただし――学科成績だけなら、私の方がわずかに上よ。
そこはちゃんと覚えておいてほしいわね」
その言い方に、嫌味はない。
むしろ、誇りと自信がきれいに混ざっている。
右京が、すぐ隣で低く言った。
「次は負けん」
たったそれだけ。
でも、二人の間に流れる空気は妙に張りつめている。
張り合っているのに、不快じゃない。
互いを下に見るでもなく、持ち上げすぎるでもない。
(ああ……これ、ちゃんと“ライバル”だな)
同じ場所を見て、同じ高さを目指している。
だからこそ、自然にぶつかれる関係。
そんな二人を見ていたら、俺の中でまた悪い癖が動き出した。
「光属性……」
ぽつりと呟くと、昴が嫌な予感でもしたのか、すぐに反応する。
「おいおい。
まさか……副会長まで誘うつもりじゃないだろうな?」
「いや、さすがに無理強いはしないって」
俺は肩をすくめて、六華の方を見る。
「生徒会は何かと忙しいでしょうし。
時間が空いたときにでも、顔出してもらえたら嬉しいなって思っただけです」
軽い調子。
でも、本音でもある。
六華は一瞬、目を細めた。
その視線は探るようで、同時に楽しんでいるようにも見えた。
「……そうね」
少し間を置いてから、静かに言う。
「考えておこうかしら。
“合体魔法研究部”……なかなか面白い場所みたいだし」
昴が小さく息を吸う。
「……生徒会、どんどん侵食されてないか?」
「気のせいだろ」と俺は笑った。
右京は何も言わないまま、夜空を見上げている。
その横顔は、もう“会長”というより、完全に一人の魔法使いの顔だった。
(これは……
思ってた以上に、面白くなりそうだな)
合研部は、気づけば
“研究”だけじゃ済まない場所になりつつあった。




