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アルテリア魔法学校で最下位合格した男の話  作者: 霧雨
第一章 入学編

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#100 久々の部活

放課後。

夕陽が斜めに差し込む部室に、久しぶりに七人全員が揃っていた。


窓際の埃が光って、

机の上には薬草学で使った素材袋や、合体魔法の制御装置が雑然と並んでいる。

いつもの部室なのに、今日は少しだけ“実験室”っぽい匂いがした。


そこへ――


「ふぁぁ……」


夢威が、ほぼ倒れ込むように入ってくる。


「今日の氷、きれいだったぁ……。冷たいのに、静かでさぁ……」


床に転がるその姿を見て、

やっぱり最初に反応したのは紫亜だった。


「“きれい”で済ませないでちょうだい。

 あれは単なる氷結じゃない。時属性との複合、概念同期……

 はぁ……分解して考えたいわ」


目が完全に研究者のそれだ。


俺は頭の後ろを掻いて、椅子に腰を落とす。


「……ごめん。

 また沙羅先生に怒られた」


「だろうな」


即座に昴が返す。


「氷時計とか作った時点で察したわ。

 廊下まで声、響いてたらしいぞ」


「盛るな」


「盛ってねぇ」


紫亜は俺と昴を交互に睨み、指で机を軽く叩いた。


「それよりも。

 中間テストの話、まだちゃんとしてないわよね?」


……来た。


「あー……やっぱ触れる?」


「触れない理由がないだろ」


昴が即答する。


紫亜は、紫の髪をかき上げて、妙に誇らしげに宣言した。


「学科一位は私。

 そして同率二位、玲磁・昴・莉亜姉。

 ……ええ、文句なしの結果よ」


一瞬、部室の空気が止まる。


「いや、俺はほんとに――」


言いかけたところで、紫亜に視線で刺された。


「“たまたま”で二位は取れないわ」


「……」


「普通に負けたって思ってるからな、俺は」


昴までそう言うから、余計に居心地が悪い。


「……なんかさ、

 二人に挟まれると、すげぇ逃げ場ないんだけど」


苦笑いすると、

少し離れたところで話を聞いていた遥花が、ほわっと笑った。


「れ、玲磁くん……すごかったね……」


その声は相変わらず柔らかくて、

褒め言葉なのに、圧がまるでない。


「あー……うん。ありがと」


それだけ返すと、

大河が手を叩いて割り込んできた。


「よし!

 学科の話はそこまでな!」


「急に切るな」


「今日は“合体魔法”だろ?

 頭使う話はもう十分だって!」


昴がニヤッとする。


「お前、さては学科あんま良くなかったな?」


「ははは!

 学科は少々苦手だ!」


開き直りが清々しい。


俺は机の上の制御装置に手を伸ばしながら思う。


(……こういう時間だ)


競うでもなく、張り合うでもなく、

それぞれの得意と不得意が、そのまま混ざっていく場所。


氷も、時も、学科も関係ない。


ただ――

ここで一緒に何かを作る、この感じが好きなんだ。


「じゃ、始めようぜ」


俺がそう言うと、

七人分の気配が、自然と一つに寄ってきた。

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