現在と決着
攫われてからの少女目線のお話
「お前もしかしてバイトの時の……!」
「ちっ、バレたか」
今私は彼の腕の中にいる。それは嬉しいんだけど、何故ここに彼がいるのか、二人が何のやり取りをしているのか全く分からない。知り合いだった、の……?話を聞いていると雨の妖精が、記憶を操作する力を持ち、私の学校に潜入していたことや、彼とも接触をしていたことが分かった。あの『嫌な噂』を流していたのが仲の良かった男子だったことも。
「お前何でこの場所が分かったんだよ!!この空間はただの人間が突き破って入れる空間じゃないし、見つけることだって難しいはずなんだぞ」
「僕には約束があるからね」
彼はそう言い放つと私の方を向き、優しく笑って
「なんとなく君がいる気がした方向に全力で走ってたら、君の声が聞こえた気がしてさ。なんか変な空気感があったし、結界?みたいなものだったのかな、無我夢中でやってたら破れてさ。多分君が僕に力を貸してくれたんだと思う。ほら、何処にいても見つけるって言ったでしょ?」
昔そう言われたことを思い出す。あの時は急にどうしたんだろうと思ったけど、どうであれその言葉を果たしてくれたのは嬉しい。
「やっぱり大好きだな」
つい口から漏れてしまって、珍しく彼は顔を真っ赤にして照れてしまった。まぁ、言わずともきっと私も顔真っ赤なんだろうな。どんなことがあっても私は彼が大好きなんだ。
「やっぱり俺じゃダメなんだな……」
そう呟く声が聞こえた気がした。声の主の方を見ると、もう消えかかっていた。目が合うと
「ごめんね」
そう言って消えてしまい、回りには見たことがあるような無いような景色が広がる。なんだか新しい世界のようだ。空気感がちょっと違う気がする。不思議に思っていると、ちょうど彼の電話がなり、腕を離されてしまった。……少し寂しい。電話で少し話したかと思うと彼は今までにないぐらい目を開き、嬉しそうな顔し、泣いた。電話を切ると私の方を向いて
「母さんが……帰ってきたんだって……」
「え!!」
小さい頃から家に居なかった事しか聞いてなかったけど、とても喜ばしいことだと思った。でも彼の喜びはそれだけではないようで
「……あのね、話したいことがあるんだ」
そう言って喫茶店へと向かう道を歩きだし、その道中で今までの魔法みたいな話をしてくれた。最初はよくわからなかったけど、これだけは分かった。
これからは彼とずっと一緒にいれるんだってことを。




