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箱庭少女のロジック 〜かつて世界を滅ぼした最強のオートマタは僕の指示しか聞かないらしい〜  作者: 邑沢 迅
レガリス編

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第94話:湯煙のオアシスで癒されて

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 例のゼノスでの魔物討伐の報告を済ませた、翌朝。

 コータさんは別の用事があるとかで、アルテアさんと一緒にレガリスの王都、オーティスへと出かけていった。エテリスの歴史について、ナギさんとヴィクトールさんに話を聞きに行くそうだ。


 そして私はこの日、ゼノスの女子チームとジリウスさんで、街へ遊びに行くことになっていた。ゼノスのメインストリート。待ち合わせ場所の定番らしい『忠犬ぽち公像』という、よくわからない犬の石像の前で辺りを見渡していた。


「もうすぐ来るはずだけど…」


 私とジリウスさん。そして…ギルドの連絡役らしい、コータさん専任の丸っこい監視鳥バードも、今日はちょこんと私の肩に乗っかっていた。 何かあれば、この子に言えばいいらしいけど…本当に大丈夫かな。


「ニーナ、エレーナの生体反応…前方、100メートル」


 人混みを見つめていたジリウスさんが、正確に位置を告げる。その方向を見ると、確かに人混みの中からおーいと手を振るエレーナさんの姿を見つけた。


「おはようございます、ニーナさん」

「おはようございます、エレーナさん」

「おはよう、エレーナ」


 ふわりと宙に浮いたまま挨拶をするジリウスさんを見て、エレーナさんがふわぁ…、と感嘆の吐息をもらして彼を見上げた。


「街中でジリウスさんを見ると、やっぱりすごい目立ちますね…。浮いてるのはアルテアさんと同じですけど、背が高くて、すごくかっこいいし…」


 道行く人たちが、チラチラとジリウスさんを振り返っている。 こっちの世界に来てからずっと一緒だったからすっかり慣れていたけど、確かに客観的に見れば、浮いてる銀髪のイケメンなんて目立って当然だ。


「エレーナも、反重力アンチグラビティによる浮遊が必要ですか?」

「あ、いえ!そういうわけじゃなくって…!」


 どういう思考回路なのか、本気で魔法をかけようとするジリウスさんに、エレーナさんが慌てて手を振る。そんなやり取りをしていると…。


「おーい、ニーナ!」

「お待たせしたわね。じゃあ、行きましょうか」


 シャオさんとクローディアさんだ。今日は討伐の慰労も兼ねた『女子会』だ。私たちはクローディアさんの案内で、賑やかなゼノスの街へと繰り出した。



「ふぅ…きもちいい…ネ…」


 天然温泉、オアシス亭。広々とした大浴場で、シャオさんが口までお湯に浸かり、ブクブクと泡を立てながら沈んでいく。


「そうね。労働の後のご褒美ほど、身体に染みるものはないわ」


 浴槽のへりに腰掛けたクローディアさんが、艶やかに息を吐く。なんというか…濡れた髪に、ぴったりと張り付いたタオル。美しい身体の曲線美が同性の私から見てもセクシーすぎて、なんだか目のやり場に困る…。


「ほんっと、羨ましいなぁ…」


 エレーナさんも、自身とクローディアさんを交互に見比べながら、ぽつりと羨望の声をこぼした。


「人にはそれぞれ、適したスタイルってものがあるのよ。エレーナさんも可愛いらしくて素敵よ」

「ありがとうございます…。でも、ニーナさんも、なかなかですよね。着痩せするタイプですか?」

「えっ!?いえ…そう、なのかな。でも、私はシャオさんみたいなスタイルにも憧れますよ。すらっとしてて、かっこいいです」


 私が正直な感想を言うと、沈んでいたシャオさんがザパーンと立ち上がり、「ふふん」と自慢げに胸を張った。


「分かってるネ、ニーナ。戦いにおいて、あんな無駄な脂肪はただの邪魔ヨ」

「あら、ニーナさん、物は言いようね。よくこんな『棒っ切れ』みたいな子を褒められたわね…。素敵な視点よ」

「だ、誰が棒っ切れアルカーッ!!」


 クローディアさんの容赦ない笑顔のツッコミに、シャオさんがお湯をバシャバシャと跳ね返して抗議する。


「ふふっ、もう二人とも、お湯が跳ねてますよー!」

「あははっ!」


 温かいお湯と、他愛のない女子同士の賑やかな会話。

 この世界に来てから、ヴォルカニアでの毎日、そして太陽事件…。どこか緊張していた心が、ゆっくりと解れていくのを感じていた。


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