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箱庭少女のロジック 〜かつて世界を滅ぼした最強のオートマタは僕の指示しか聞かないらしい〜  作者: 邑沢 迅
レガリス編

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第91話:新米監視者の初仕事

※この小説の続きをスムーズにお楽しみいただけるよう、【ブックマークに追加】を押して設定を保存してください。

 今回、コータさんとアルテアさんはあくまで私たちの『お目付け役』であり、基本的には上空から見守るだけだ。彼らに頼ることはできない。

 魔物討伐なんて私にとっては初めての経験だけれど、共同体レゾナントとしてギルドに属した以上、監視者ハンドラーとして私にできることをしっかりやらなきゃ。


「ニーナ、指示を」


 ジリウスさんの静かな声が耳に届く。

 間違いなく、この場で一番戦闘能力が高いのは彼だ。 だとすると、さっきアルテアさんが言っていた大型の『サンドワーム』を私たちが相手にするのが一番理にかなっている。


「ジリウスさん、そのサンドワームは今どこに……?」


 ジリウスさんの瞳がチカチカと明滅し、即座に地中をスキャンする。


「ここから北へ20キロ。集落の最北端から数キロ離れた地点の、地中深くに潜っているようです」

「分かりました…!私とジリウスさんで北のサンドワームをやります!皆さん、ガーゴイルをお願いできますでしょうか!デリクさんたちは市民の皆さんを守りつつ東へ。シャオさんたちは西へ…で、いいですか……?」


 ジリウスさんの魔法は強力すぎて、入り組んだ集落の中では最悪の場合、人々や建物を巻き込みかねない。だから、街中の防衛と掃討は経験豊富な皆さんにお任せするのが得策だ。

 …でも、新人の私が急にこんな偉そうに指示していいのかな…。

 少し不安になって皆の顔を見ると、デリクさんがニヤリと笑った。


「締まらねぇな、ニーナ。だが、それが一番いいんじゃねぇか」

「問題ないヨ!近くで下ろすネ!」


 シャオさんもぐっと拳を握り、請け負ってくれた。


「…ありがとうございます!では、また後で!」


 よかった。間違ったことは言ってなかったみたいだ。 私たちは空中で三方向に分かれ、それぞれの目標へと向かって飛んだ。


「ジリウスさん。集落の人々と建物に絶対に被害が出ないように、魔物だけを狙えますか?」

「出力が低すぎると地中まで届きません。しかし、出力過剰だと余波で建造物まで破損させる可能性があります」

「わかりました。じゃあ、もう少しだけ近づきましょう」


 私の細かい要望に対して、ジリウスさんはしっかりと意図を汲んで状況を分析してくれている。そして何より、私が指示をしていない現状では『勝手に攻撃をしない』というルールを完璧に守ってくれていた。


 うん。バッチリ、元のジリウスさんだ。


「射程圏内に入りました、ニーナ」

「わかりました。じゃあ、街に被害が出ない『最小限』で、お願いします」

「了解、ニーナ。――出力、2%。崩壊セパレート


 ジリウスさんが無造作に右腕を眼下へと向ける。 直後、彼の指先から一本の細い純白の光線が発射され、音もなくズブズブと地面に吸い込まれていった。


その瞬間。


ゴゴゴゴゴ……ッ!!


『ギャアアアアアアッ!!』


 突然地面が大きくうなりを上げ、地割れの中から耳を劈くような凄まじい断末魔が響き渡った。砂煙を上げて地表に姿を現したのは、巨大な芋虫型の魔物、サンドワーム。 しかし、その強固な外殻はジリウスさんの光線を浴びた部分から徐々に『砂』へと変わり、もがく間もなくサラサラと風に吹かれて完全に消滅していった。


 たったの2パーセントで、あの巨体が…。相変わらず、デタラメだなぁ…。


「や、やったね、ジリウスさん!」

「はい。目標の沈黙を確認しました」


 でも、まだ喜んではいられない。 集落のあちこちからは、未だに悲鳴や破壊音が聞こえてくる。中型の魔物が、まだ街の中に入り込んでいるんだ。


「ジリウスさん、下に降りましょう!怪我している人を助けながら、残りの魔物を倒そう!」

「了解、ニーナ。降下します」


 私は眼下の集落へと向けて、ジリウスさんと共に真っ直ぐに空を駆け下りた。


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