表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
箱庭少女のロジック 〜かつて世界を滅ぼした最強のオートマタは僕の指示しか聞かないらしい〜  作者: 邑沢 迅
レガリス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
89/134

第87話:懐かしの抱擁と動揺

※この小説の続きをスムーズにお楽しみいただけるよう、【ブックマークに追加】を押して設定を保存してください。

「それで、気になることとは?」


 ゼノスへの依頼を受けた後、僕は切り出しにくかった報告をマクシミリアンさんへと伝えた。


「実は…ウルゴ遺跡で、ロックスさんとモーラさんを見かけました」

「…ほう…?」


 意外な名前に、マクシミリアンさんが片眉を上げる。


「『見つかった』と言いながら、一瞬で姿を消してしまって…。その後、アルテアに行き先を追跡してもらおうと思ったんですが、反応が完全に消失してしまったとかで…」

「うぅむ…」


 報告を聞き、マクシミリアンさんは顎に手を当てて深く考え込み始めた。


「そもそも、数百キロ離れた先の反応すら正確に検知できるアルテアが、近距離で追えなくなること自体が異常で…。それに、僕らが到着した時には、彼らの手によってすでに遺跡のシステムが起動していました」

「………」


 執務室に重い沈黙が落ちる。


「…彼らは優秀な共同体レゾナントだ。現在も教会の監視任務を引き続き行ってもらっているが、報告も問題なく、定期的に上がってきている。彼らに限ってそのような不審な真似を…」


「…………」


「いや。報告は感謝する。いずれにせよ、彼らの目的が不明な以上、軽率に動くことはできない。こちらの調査は私が承った。コータ殿も十分に気を付けてくれ」


「はい、ありがとうございます」


 それだけ言うと、僕とニーナさんは深く一礼して執務室を後にした。


「じゃあ、行こうか。ニーナさん」

「はいっ」



 数時間後。僕たちは見慣れた街、ゼノスへと降り立っていた。

 王都での激動の日々を経て戻ってきたここは、まだ一か月も経っていないはずなのに、なんだかひどく懐かしい空気に包まれている気がした。


「あっ、コータ!それにお人形サンも居るネ!」


 ふと、遠くから見知った元気な声が聞こえてくる。

 見ると、チャイナ服のような独特の意匠の服を着た小柄な女性が、こちらへと走って近づいてきた。


「シャオさん!お久しぶりです!」


 満面の笑みで駆け寄ってきたシャオさんだったが、僕たちの背後に控えているジリウスの姿を見ると、あからさまに表情を強張らせた。


「あの…ニーナです。そして、こちらがジリウスさんです…」

「…あの、『太陽』の…アルか…?」


 怯えたように一歩下がるシャオさん。

 無理もない。エテリスに住む人々にとって、彼の放ったあの光と熱は、今でも恐怖の象徴だ。


「こんにちは、シャオ。よろしくお願いします」


 しかし、ジリウスさんはそんなシャオさんの心情を知ってか知らずか、すっと綺麗な所作で右手を差し出した。


「…」


 シャオさんは差し出された右手と、僕、そしてニーナさんの顔を順番に不安げに見つめる。


「もう、大丈夫ですよ。彼はニーナさんがしっかり管理していますから。一件落着しました」


「…シャオレイ、ネ。シャオって呼ぶヨ」


 僕が優しく頷くと、シャオさんは恐る恐る手を伸ばし、ジリウスさんと握手を交わした。 どうやら、少しだけ警戒を解いてくれたようだ。


「あ、あの、クローディアさんやデリクさん、エレーナさんはお元気ですか?」


 僕が気を取り直して尋ねると、シャオさんは呆れたように肩をすくめた。


「アレから、ショボい依頼ばっかりネ!でも、今回は楽しそうアル!」

「もしかして、今回の北の魔物討伐の協力者って……」


「そう。私たちよ、コータさん」


 背後から、艶のある大人の女性の声が響いた。


「クローディアさん!」


 振り返ると、そこにはクローディアさんが立っていた。

 クローディアさんは僕を一瞥し、それから隣のニーナさんをジッと見つめる。


「あらあら。私とアルテアちゃんという者が居ながら、また可愛い子を連れて…罪な人ね、コータさん」

「そ、そんなんじゃないですって……!」


 そんなやり取りをしていると、アルテアがふわりと僕の前へと出た。


「クローディア」

「あら、アルテアちゃん。いいわよ、いらっしゃい」


 ポスッ。

 挨拶もそこそこに、アルテアが無表情のままクローディアさんの胸元へと飛び込んだ。


「ふふっ、ニーナさんと、ジリウスさん、ね。改めてよろしくね」


 クローディアさんは、アルテアが胸に刺さったまま、ニーナさんへと妖艶な視線を向ける。

 この人は相変わらずだな…。


「よ、よろしくお願いします…」


 いきなりのカオスな展開に、ニーナさんは困惑しつつもペコリと頭を下げる。

 僕はそのやり取りを見ながら、少し騒がしくて温かい、ゼノスの懐かしい空気を全身で感じていた。


※この小説を面白いと感じていただけましたら、★★★★★の評価と【ブックマーク】で応援お願いします。


箱庭少女のロジックを1話から読む

▶https://ncode.syosetu.com/n9084lw/3/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ