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ゾンビは嗤う  作者: アークアリス
第3章 頼られた理不尽
28/29

#027 目には目を、邪魔には死を

どうも、ウツロイです。

夕方の気温は随分と下がって来た今日この頃、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

勇者ズが呼び出されたセントラルシュタイン城から遠く離れた、信仰の国、セブンス皇国。

王や女王の代わりに神饌巫女と呼ばれる一人の巫女があらゆる実権を握る。

信仰心が重んじられ、国主導で建てられた教会が全土に広がっている。


「巫女様、今回新たに呼び出された者たちが天空の迷宮(スカイミッション)へ赴くという情報が、草の者から齎されました。また、どのようにして情報を得たのかは分かりませんが、裏切り者達も同日に天空の迷宮(スカイミッション)を訪れるべく動き出したとの情報もあります。」

「ほう、遂に動き出したか。あの憎き仇を討ちとる時が来たようだな。世界広しと言えども、あの厄介な異世界特典(チート)を抑えられるのも妾ぐらいであろうのう。」


そこからの巫女の動きは早く、天空の迷宮(スカイミッション)で待ち構える準備が完了した時にはまだ、先輩勇者ズも後輩勇者ズも到着していなかった。


尤も、仮眠を取っているうちにどちらも到着し、見張りの知らせで起こされた時には既に出遅れ感が漂っていたのだが。


何とか入る間を見つけた巫女は運がいい。

腰に手を当て、少し無い胸を張って威勢を強調しつつ言い放つ。


「ホッホッホ、後からの者に全く信頼を貰えない愚かな魔族の先兵よ、哀れだの。」


(死理神)はそんな巫女を横目に見ながら次はピザを一切れずつ創造魔法で生み出しながら食べている。

デリバリーで頼もうものならSサイズ1枚30000円もする豪華絢爛なピザだ。

その価値に見合った美味しそうな匂いを放っているが、何故かそれに気づいているのは後輩勇者ズだけである。

そんな匂いは存在しないと拒否反応を起こしているのだろう。


(死理神)は暢気に食事を摂っているが、本来ならば睨み合う3勢力の意見を聞き、自分の立ち位置を確認する時なのだが、たった一人で全陣営を制圧し得る力を持つために、全く話を聞かない。


それでも時は進み、結局3陣営は相容れないこととなり、戦闘が始まる。

(死理神)は我関せずを貫いていたが、巫女が放った技が、彼の気をを戦闘へと向ける。

『アンチフィールド』。

それは神饌巫女のみが扱える魔法と異世界特典(チート)の発動を抑える空間を作り出す技。

勿論(死理神)が本気で行使した魔法や異世界特典(チート)(もはや神の上位権能)を抑えるほどの力はないが、只の食事をしていた(死理神)にとってはそうでは無かった。


双方(彼と巫女)ともに運が悪いことに、(死理神)は創造魔法で生み出した椅子を、その存在を確立させることをせず、常に創造魔法で存在を確定させていた。

(死理神)に魔力の節約が必要かと言われると首を傾げざる負えないが、存在確定させるよりは魔法で維持する方が燃費がいいため、そうしていたのだが、魔法が強制的に途絶させられたおかげで座っていた椅子が消え、(死理神)は尻もちを搗いた。


急に静まり返る後輩勇者ズ陣営に不思議な視線を送る残りの2陣営(先輩勇者ズと巫女陣営)

後輩勇者ズと騎士団、武装竜騎士は(死理神)が尋常ならざる者と言うことを、たった数回に手合わせで嫌と言うほど理解している。

アンチフィールドは確かにこの世界の者や並の召喚されし者にとって強力だが、魔法も異世界特典(チート)も使わずに騎士団長をワンパンで沈められることを後輩勇者ズ陣営は知っている。


(死理神)は立ち上がりアンチフィールドを発動中の神饌巫女とその取り巻きの前に転移魔法で移動した。

アンチフィールドも(死理神)の少し真面目になった魔法行使は抑えきれない。

転移魔法の行使に使われる魔力量がアンチフィールドの制限限界を突破しているためだ。

しかしそんなことは知らない神饌巫女陣営に衝撃が走る。

先代神饌巫女や先々代神饌巫女達は一度も破られた事の無いアンチフィールド。

多少魔力による身体強化を抑える効果もあるため、今までアンチフィールドと日々鍛錬に勤しむ護衛団の攻守によって無敗を誇り続けてきたが、その無敗歴史が壊される。

そんな緊張感が走った。


神饌巫女はそもそも(死理神)が初めからいたことを認知していないため、(死理神)の立場が分からなかった。

急に飛び込んできたには何か話があるのだろう、そう考えたのは致し方なかったかもしれない。

しかし(死理神)はそんなに甘くない。

予備動作無し(ノーモーション)で行使された光線魔法による超々高温の熱線により、神饌巫女陣営は奥の壁ごと消滅した。


それは、純粋に人間のことを第一に考える勢力の消失を意味した。

人類平和到達への道が断たれた瞬間だ。

神饌巫女はまだ若かったため、次世代育成もろくに行っておらず、神饌巫女そのものが途絶えたこととなる。


アンチフィールドのせいで魔法や異世界特典(チート)が使えなくても後れを取ることは無いだろうと踏んでいた後輩勇者ズ陣営は、それをねじ伏せて魔法を行使した(死理神)を見て、より一層関わり合いを持つことは控えようと心に誓っていた。

いったい何が藪蛇になるか分からないからだ。


一方で、その力量に多少の恐怖を抱きながらも、(死理神)が何故ここにいるのか、何故神饌巫女を消滅させたのか正しく理解できていない先輩勇者ズはここに偽りの光を見出す。

(死理神)が仲間になれば自分たちの考える世界平和が叶えられると。


「君、見た目は人間に見えるけど、魔族との共存に賛成してくれるのかい?神饌巫女を抑え込み、剰え消し飛ばすその力!僕たちの理想のため是非手を貸してほしい!!」


(死理神)の前に並んだ先輩勇者ズは『お前ら馬鹿だろ!?』と言う目線を送る後輩勇者ズ陣営の視線に流し目で答えながら頭を下げて手を出した。


歩き出した(死理神)はそんな手に、勿論反応することなく隣を通り過ぎた。

当然である。

平和などと言う戯言に興味など有るはずも無く、どちらかと言うと破滅と混沌を齎すのが(死理神)である。

しかし、そんなこと露も知らない先輩勇者ズは対価として金貨や地位を申し出て(死理神)を引き留めようとする。


「あの人たちも、あいつらみたいになるのかな。」


何度も(死理神)に語り掛ける先輩勇者の蛮勇を見て、後輩勇者ズは既にメンバーからいなくなってしまった者たちのことを思い出していた。

(死理神)の歩行線状に立ち、執拗に話しかけその歩みを邪魔する行為は、(死理神)に敵対認定され、次の瞬間には風に舞う塵と化する。


(死理神)が手を差し出したことで事態は動く。

まさか手を組むのかと後輩勇者ズ陣営に少なからぬ衝撃が走るが、先輩勇者ズのリーダー格がその手を握った次の瞬間、その愚か者は帰らぬ者となった。


後輩勇者ズ陣営に『ああ、やっぱり』という何とも言えない空気が漂う中、唐突に仲間を殺された先輩勇者ズは微かな逡巡の後、夫々は得物を構える。


刃物で闘うというスタイルに少し興味がわいた(死理神)は収納魔法で保管していた一本の剣を取り出す。

その名も『神聖剣ゴブリンカリバー』。

ゴブリンにしか抜けないという全能神の祝福を台座ごと地面から引っこ抜くという荒業で手に入れた一刀であり、今も現在進行形で刀身の先に重くて大きな台座が付いている。

まさにどこぞの毬藻頭の筋トレだ。


神聖剣というのは名ばかりでは無く、力ある者が振り抜けば天さえ切り裂けると言われる業物ではあるが、台座が付属しているせいで鈍器に成り下がっているが、(死理神)にすら壊せぬ全能神の祝福を受けた台座は伊達では無く、この世界で五本の指に入る鈍器だ。


先輩勇者ズはこちらの世界に来てそこそこ経つ為、その高スペックな身体能力を生かした攻撃的な連携で(死理神)を攻めるが、その重すぎる鈍器攻撃に真面に相対など出来るはずも無く、呆気なく吹き飛ばされていく。


(死理神)としては抵抗が無くなってから一人一人プチプチと殺していくつもりであったが、吹き飛ばされ気絶した先輩勇者を後輩勇者ズ陣営が次々と捕縛していき、後方で確保していたため、結局殺したのは数人に留まっていた。


吹き飛ばされるしか能がない雑魚(先輩勇者ズ)に怒りすら消え失せた(死理神)は、元々の予定通り希少品を求めて光線魔法で開けた穴へと入っていく。


魔王の傀儡(先輩勇者ズ)人至上主義者(神饌巫女)という独りよがりな正義が同時に消え去ったこの世界で、今日もゾンビは嗤う。

お読みいただきありがとうございました。

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