#026 今日も今日とて寿司日和
どうも、ウツロイです。
お久しぶりです。
忙しいのはいい事なのでしょうが、執筆時間もありません汗
太陽と月が共に3つあるこの世界に彼がやって来て3か月が経った。
彼は今、白、青、赤に煌く3つの月を見ながら時間を潰していた。
城の中の探索は既に終え、調査の及んでいない場所は彼の力をもってしても開けることが出来なかった断絶世界に守られた空間のみとなった。
流石に現職破壊神には力及ばなかったようで、未だ開いていない。
今日は久しぶりに王族と勇者達の夕食会で、偶々彼も参加していた。
と言っても、彼は食事をとる必要はないが。
現在は体内に取り込んだ2本の巨樹から得られる神力により魔力を生産できるため存在するに何も必要ない。
「さて、勇者達よ、そろそろ実戦的な訓練をしてはどうじゃ?」
「実戦的な訓練、と言うと・・?」
「この世界にはな、迷宮というモンスターが存在していてな、そこにはモンスターが闊歩しておる。」
「遂にモンスター討伐か!」
「腕が鳴るぜ!」
「・・・。」
と言う会話があり、明日は城の外へ行き、天空の迷宮で実践訓練する流れとなった。
迷宮には宝物や希少品があると聞き、彼も興味が湧いて、急遽参加することにしたのだ。
遂にチャンスが来たと、何やら息巻いている者共も存在したが、彼にとって何ら障害になる者はいない。
地球よりも長めの夜を終えて、勇者達に後ろをついて行く彼。
「え~、今回訓練に向かう天空の迷宮についての説明を行う。歩きながら出悪いが、命に関わる事なので心して聞くように。まず生き方だが、皆には武装竜騎隊のドラゴンたちの背に乗り上空に浮かぶ天空の迷宮に向かうことになる。原理は不明だが空中に浮かんだ巨大な建造物のような迷宮で、上の階層に行くほどモンスターは強いのが一般的だ。天空にあるため、一般の冒険者は少ないが、それでも召喚士や従魔士で空への足を持つ者が腕試しに挑戦していることで有名な迷宮だ。君たちの腕試しにも丁度いいだろう。運が良ければ一財産築けるような物を手に入れることもできるかもしれない。」
それぞれが千差万別の思いを胸に抱き武装竜騎隊のドラゴンに跨る。
彼の跨ったドラゴンだけは、野生の本能が一時的に目覚めたのか、彼の潜在的脅威に恐怖しガタガタと震えていたのはご愛嬌。
20分ほど揺られていると飛翔可能な使い魔や召喚獣、従魔を携えた冒険者や武人が見え始め、分厚い大気を突き破らんとする天空の迷宮が見えてくる。
基本的に城では破壊神の断絶世界によって異世界特典は使えないため、城外遠くでの訓練でのみそれらの扱いに慣れることが出来るのだが、今回はそれの実証実験も兼ねている。
王族の直轄部隊である武装竜騎隊専用離着陸スペースへと降り立った勇者一行は、そのまま迷宮へと入っていく。
白亜神殿調の清潔な印象を持つ迷宮で、気温は少し肌寒い程度。
魔物との戦闘による血飛沫や傷は自動で吸収・修復されるため、先人の軌跡は一切残らない。
かなりの高度を浮かんでいるはずだが、不思議と息苦しくはなく、満足に酸素を取り込むことが出来る。
迷宮が魔物のために自ら提供しているのではないかと議論されているが、真相は分かっていない。
勇者一行は、その類稀なる魔法と剣術で易々と階層ボスも打ち破り、並の冒険者では達成しえない快進撃を続けている。
しかし、その歩みも想定外の登場により一時中断を余儀なくされる。
「やっと来たね、後輩たち。」
勇者一行に同郷の者に会えたという軽い歓喜と、それと同時に普段聞かされている『先輩勇者は魔族側に付いた裏切り者』と言う情報による不信感から警戒が走る。
勇者一行と共に来ていた武装竜騎隊と騎士団からは殺気すら漏れている。
「初めまして、僕は夕凪達也。今日は君たちに注意喚起に来たんだよ。」
夕凪の言葉に頷く先輩勇者ズ。
尤も、先輩勇者も20人セットで召喚されたと聞かされていたが、そこには11人しかいなかったが。
「その前に、どうして魔族側に付いたのか、説明していただけますか?」
その言葉に顔色を変えたのは護衛達だ。
「あのような大犯罪人に耳を貸す必要はありません!!今すぐひっ捕らえるべきです!お前達、かかれ!」
勇敢にも先輩勇者ズに飛び掛かる護衛達の面々。
しかし、伸びしろの大きく違う現地人と異世界人ではまるで勝負にならず、人数的には圧倒していたはずの護衛達が一方的に虐待されることとなり、数分後には五体満足な護衛達はいなかった。
中には既に頸と胴が離れ、天に召されてしまった者もいた。
未だ対人戦の実戦を終えていない後輩勇者ズには刺激が強すぎたようで、中には青い顔で虹を吐き出している者もいる。
勿論彼は除く。
しかし、そんな後輩勇者ズを見て慌てだした者がいる。
何を隠そう、先輩勇者達だ。
当然のことながら、この世界の理不尽に馴れていない甘ちゃんな異世界人からしてみれば、こちらの殺伐とした弱肉強食に慣れ、あっさりと同族に手を掛ける先輩勇者は恐怖の対象だ。
騎士団と武装竜騎隊は、信頼こそしていないがこちらの世界で最も付き合いの長い者達であり、殺されたそのショックは大きい。
呉座井妃茉莉が死亡者に蘇生を使用して蘇らせていく。
謝名堂癒宇摩もその得意の治癒魔法で負傷者を治し、普段とは違うこの状況にどうすべきか思案中の先輩勇者に再び全員が相対する。
先輩勇者の懸念事項の中に、蘇生の異世界特典がある。
基本的にこの世界で蘇生が可能なのは名だたる神殿の神殿長や最上位司祭だけであり、基本的に戦争に手を貸すことは無い。
しかし、後輩勇者達が洗脳、もしくは思考誘導されていると思っている魔族派の先輩勇者達からしてみれば、人間側に体のいい蘇生要員がいることになり、厄介なんてものでは無い。
その可能性も考慮して今日ここに出向いたわけだが、初っ端からやらかしてしまっている。
端の方で創造魔法による椅子に座り、一々掌に創造した寿司をパクついている彼は全く無視されている。
勿論後輩勇者ズは気付いていたが、何時もの事だと無視していた。先輩勇者ズはあまりにも自然に離れて行って寿司を食べだした彼に気付いていない。
「悪かった、君たちを怖がらせるつもりはなかったんだ。只、襲われた時は防戦しないと僕たちが殺されるんだ、理解してくれ。」
「過剰防衛です!どうしてそんなにあっさり人殺しが出来るんですか!?魔族に洗脳でもされてるんですか?」
「そもそも人間であるあなた達が魔族側に付いていることがおかしいんです。」
「どっちが悪いかなんて知りませんよ?私たちはこの世界に呼ばれてからまだ日が浅い。でもね、魔かることもあるんですよ。」
「実際魔族から人間への被害はあるんです。それが侵攻なのか報復なのか、人間と魔族どっちが先に手を出したのか、それは知りません。でも、実際被害が出ている以上、魔族側に立つのではなく、人間側から平和を模索すべきなのではないのですか?」
「ホッホッホ、後からの者に全く信頼を貰えない愚かな魔族の先兵よ、哀れだの。」
全くの第三者の登場により、更に混乱は極まる。
自分は関係ないと寿司に舌鼓を打ちながら、今日もゾンビは嗤う。
お読みいただきありがとうございました。
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