↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異常世界の歩き方 MDE(国際異常研究機構)  作者: 神代千早


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
71/84

登録番号:NCO-076-KR 正式名称:『ドームが開く日』

毎日21時投稿

金土日18時、21時、2本投稿予定

この章は10分ぐらいで読めます


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

MDE/国際異常研究機構

異常存在管理報告書

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


登録番号:NCO-076-KR


正式名称:『ドームが開く日』


通称:国家非常用機構/議事堂地下巨人



【MAES評価】


管理等級:C-4《隔絶級》


危険等級:H-4《重大危険級》


影響規模:N《National/国家規模》


研究優先度:A《最優先研究対象》


特殊指定:

KEYSTONE《基幹指定》

UNSTABLE《不安定指定》

VEIL《秘匿維持指定》


担当研究員:ハン・ソヨン主任研究員


収容担当施設:MDE韓国支部・サイト76


異常種別:

REALITY-ALTERATION《現実改変》

MEMETIC《ミーム性》

MECHANICAL《機械構造》

COLLECTIVE-PSYCHIC《集合精神反応》


二次感染性:限定的に確認



【特別管理手順】


NCO-076-KRに関する監視および情報管理は、MDE韓国支部・サイト76が統括します。サイト76は表向き、ソウル首都圏における地下構造、地盤沈下および都市インフラの安全性を調査する国立研究施設として運用されています。


大韓民国国会議事堂およびその周辺半径2キロメートルは、常時監視対象区域「KR-76-A」に指定されます。対象区域内では地震波、局所重力、地下電磁波、空間容積、現実安定度ならびにミーム濃度を連続的に測定してください。


国会議事堂の改修、地下掘削、耐震工事、電気設備更新およびドーム部分への構造的干渉には、MDE韓国支部の事前承認が必要です。MDEの関与は、国土安全調査、文化財保護または地下配管管理の名目で秘匿してください。


NCO-076-KRに関する都市伝説の完全な削除は禁止されています。


過去の調査により、都市伝説を強制的に否定または削除した場合、「政府が巨大人型兵器の存在を隠蔽している」とする派生情報が急速に拡散し、結果としてNCO-076-KRの実体化率が上昇することが判明しています。


現在は、当該都市伝説を「古くから知られる冗談」「子供向け作品に由来する懐古的な噂」「建築物の外観から生じた俗説」として扱う低強度情報管理方針が採用されています。都市伝説の存在自体は否定せず、現実性および緊急性のみを低下させるよう誘導してください。


報道機関、映像制作者、配信者、政治団体または広告企業が、国会議事堂のドームから巨大ロボットが出撃する様子を写実的に再現しようとした場合、担当職員は事前にその規模と拡散範囲を評価しなければなりません。大規模な映像投影、拡張現実イベント、生成映像を用いた虚偽報道、全国放送を伴う演出は原則として中止させてください。


ただし、強制的な中止によって陰謀論的解釈が拡大する可能性が高い場合、MDEの監督下で内容を改変したうえで実施を許可できます。


韓国国内において、大規模戦争、同時多発テロ、政変、国家機能の停止、深刻な経済崩壊または国民的恐慌が発生した場合、サイト76は非常観測体制「DOMEWATCH」へ移行します。


以下の条件のうち二つ以上が確認された場合、DOMEWATCH警戒段階をレベル3へ引き上げてください。


一、KR-76-A地下における容積不明空間の出現。


二、国会議事堂ドーム内部から発生する周期的な金属音。


三、韓国国内の未成年者による、共通した巨大人型構造物の描画。


四、SNS上における「出撃」「ドームが開く」「守護者が目覚める」等の関連語句の異常増加。


五、対象区域周辺における方位磁針、携帯端末または航空機器の誤作動。


六、国会議事堂ドームの構造図に、実在しない開閉機構が追加される現象。


七、韓国国民のうち、「国家が存続上の危機にある」と回答する者の推定割合が██%を超過。


NCO-076-KRの実体化率が90%を超えた場合、国会議事堂から半径5キロメートル以内の住民を避難させてください。避難理由には大規模な地下ガス漏出、軍事演習または構造崩壊の危険を使用できます。


実体化率95%以上では、韓国政府、軍および警察機関との通信をサイト76指揮所に集約します。ただし、NCO-076-KRに対する命令、操縦、破壊工作または強制停止を試みてはなりません。


現在までに、NCO-076-KRを制御する方法は発見されていません。



【説明】


NCO-076-KRは、大韓民国ソウル特別市永登浦区に所在する国会議事堂と、その地下に断続的に出現する巨大格納空間および人型機械構造物の総称です。


平常時、国会議事堂地下には既知の基礎構造、地下設備および防災施設以外の空間は存在しません。建設記録、地質調査、地中レーダー、重力測定および直接掘削のいずれにおいても、大型構造物を格納できる空洞は確認されていません。


しかし、韓国国内において国家的危機への不安が高まると、議事堂地下およそ180メートルから420メートルの範囲に、最大直径約240メートル、高さ約310メートルの円筒形空間が出現します。


この空間をNCO-076-KR-Aと指定します。


NCO-076-KR-Aは通常の地殻を押し退けて形成されるのではなく、それまで存在していた岩盤と同一の座標上に重複して出現します。そのため、通常の掘削によって到達することはできません。


NCO-076-KR-Aの出現中も周辺の地質構造に変化は見られませんが、特殊観測装置を用いた場合に限り、内部からの熱、電磁波、機械振動および低周波音を検出できます。


NCO-076-KR-A内部には、直立姿勢の巨大人型機械構造物が存在します。これをNCO-076-KR-Bと指定します。


NCO-076-KR-Bの推定全高は、観測時期によって55メートルから68メートルの間で変動しています。総重量は最低でも1,200トン以上と推定されますが、NCO-076-KR-Aと同様、通常空間に対して完全には実体化していないため、正確な数値は算出できません。


NCO-076-KR-Bには明確な製造者が存在しません。


韓国政府、旧軍政、国内重工業企業、外国軍、異常技術保有団体および既知の要注意団体を対象とした調査でも、建造計画に該当する記録は発見されていません。確認されている部品には製造番号、企業刻印、工作痕、溶接痕および経年劣化が存在せず、異なる材質の部品が分子単位で連続しています。


NCO-076-KR-Bは最初から完成していたわけではありません。


過去の観測記録を比較した結果、その構造は年代ごとに追加、改変されています。初期観測時には単純な鋼鉄製人型に近い構造でしたが、その後、複合装甲、飛行用推進器、長距離観測機器、無人機格納部、迎撃装置および指向性エネルギー兵器に類似した機構が出現しています。


これらの変化は、韓国社会における「国家を守る巨大ロボット」の一般的イメージと強く一致しています。


NCO-076-KR-Bの形状は、特定の映像作品や設計図を完全に再現したものではありません。複数世代の国民が抱く、巨大ロボット、守護神、兵士、英雄、国家防衛兵器などの概念が混合された外観を持ちます。


MDEは、NCO-076-KR-Bが集合的な認識と願望を設計情報として利用し、自らを建造していると推測しています。


NCO-076-KR-Bの建造進行度は「実体化率」として記録されます。実体化率は、機体の完成度だけでなく、通常空間に対して物理的な影響を与えられる割合を示します。


実体化率30%未満では、NCO-076-KR-Bは特殊観測機器にのみ反応します。


実体化率30%から60%では、地下からの機械音、局所的な磁場異常および議事堂設備の誤作動が発生します。


実体化率60%から80%では、国会議事堂の構造図に存在しない昇降路、格納庫、燃料供給設備およびドーム開閉装置が追加されます。この改変は紙媒体、電子記録および関係者の記憶に同時に発生します。


実体化率80%以上では、国会議事堂のドーム部分が一時的に開閉可能な構造へ変化します。周辺住民は、深夜に重機の駆動音や警報音を聞いたと証言する場合があります。


実体化率100%に到達した場合、NCO-076-KR-BはNCO-076-KR-Aから地上へ移動し、「国家の敵」と判定した対象を排除すると推測されています。


NCO-076-KR-Bは、韓国政府、軍、国会、MDEまたは特定個人の命令には従いません。


観測された神経回路状構造および異常電磁信号の解析から、NCO-076-KR-Bは韓国国民の集合的な危機意識、敵意、恐怖、正義感および防衛願望を受信していると考えられています。


したがって、NCO-076-KR-Bが認識する「国家の敵」は、法律や軍事的判断によって決定されるものではありません。


国民の多数が国家を脅かしていると認識した人物、集団、地域、思想、組織、国家または現象が、その対象となる可能性があります。


これには外国軍や異常存在だけでなく、政治家、企業、宗教団体、少数集団、感染症患者、報道機関、抗議運動参加者、あるいは大韓民国政府そのものが含まれる可能性があります。



【発見経緯】


NCO-076-KRに関する都市伝説は、1970年代後半から韓国国内の児童を中心に広まりました。


都市伝説の代表的な内容は、「韓国が危機に陥ると国会議事堂のドームが開き、地下に隠されている巨大ロボットが出撃する」というものです。


当初、MDEはこれを国会議事堂の特徴的な外観と、当時人気を博していた巨大ロボット作品から生じた非異常性の俗説と判断していました。


しかし、198█年に実施された政府施設周辺の異常地質調査において、国会議事堂地下から規則的な低周波振動が検出されました。


振動は4.8秒間隔で継続しており、当時の観測担当者は「非常に大きな人間の心拍に似ている」と記録しています。


追加調査では空洞を確認できず、振動も約17分後に停止しました。この時点では一時的な測定異常として処理されました。


199█年、朝鮮半島周辺の軍事的緊張が高まった際、国会議事堂を撮影した航空写真に、地表へ向けて垂直に延びる巨大な影が記録されました。影を生成する物体は地上に存在せず、太陽光の方向とも一致していませんでした。


航空写真を撮影した職員三名は、撮影当日の記憶として「議事堂の下に誰かが立っていた」と証言しました。


MDE韓国支部は同年、国会議事堂地下の監視を正式に開始しました。



【観測記録076-KR-01】


記録日時:2011年1月11日


概要:国会議事堂前において、プロジェクションマッピングを使用し、ドームが開放されて巨大ロボットが出撃する様子を再現する公開イベントが開催されました。


MDEは、都市伝説の大規模な視覚化がNCO-076-KRに与える影響を観測するため、複数の職員を一般観客および報道関係者として配置しました。


イベント開始から約3分後、投影装置に4.7秒間の電力障害が発生しました。


主催者側の記録では、電力障害の間、映像は完全に停止していたとされています。しかし、会場にいた観客の大部分は、ドームが開き、内部から巨大な機械の頭部が上昇する映像を目撃しました。


一般の録画機器には予定されていた投影映像のみが保存されていましたが、MDEが使用していた耐改変記録装置二台には異なる映像が残されていました。


以下は、耐改変記録装置に保存されていた映像の内容です。



〈記録開始〉


国会議事堂のドーム中央部に、設計上存在しない円形の亀裂が発生する。


亀裂に沿ってドームが八方向へ分割され、内側へ格納される。開口部の内部は完全な暗闇となっており、投影光は確認できない。


約1.2秒後、暗闇の中から巨大な機械構造物の頭部が上昇する。


頭部は人間の顔を単純化したような形状を持つ。両眼に相当する部分は発光していない。


頭部後方の足場と思われる場所に、少なくとも七名の人影が立っている。各人影の身長、服装および顔貌は判別不能。


映像終了直前、機械構造物がカメラの方向へ顔を向ける。


頭部前面に、ハングルで以下の文章が確認される。



「아직 불리지 않았다」


日本語訳:


「まだ呼ばれていない」



直後に映像が白く発光し、通常の投影映像へ復帰する。


〈記録終了〉



イベント終了後に実施された測定では、NCO-076-KR-Bの実体化率が推定31%から38%へ上昇していました。


約六か月後、実体化率は33%まで低下しましたが、イベント以前の数値には戻りませんでした。



【観測記録076-KR-02】


記録日時:20██年██月██日


当時、韓国国内では複数の政治的事件、経済不安および大規模な抗議活動が同時に発生していました。世論調査では、回答者の██%が「国家は重大な危機に直面している」と回答しています。


午前2時13分、サイト76はNCO-076-KR-Aの再出現を確認しました。


実体化率は約11時間で42%から87%へ上昇しました。これは観測史上最大の上昇幅です。


同時刻、国会議事堂周辺では地下から響く金属音が記録され、複数の監視カメラに周期的な振動が発生しました。議事堂内部のエレベーター三基は操作を受けずに最上階と地下階の間を往復し続けました。


国会議事堂の電子設計図には、地下432メートルまで延びる「第零昇降路」が追加されていました。


設計図上では、第零昇降路はドーム直下とNCO-076-KR-Aを接続していました。作成者欄には、当時すでに死亡していた議事堂建設関係者███名の氏名が記載されていました。


MDE韓国支部が韓国国内の学校、児童相談施設および医療機関から情報を収集した結果、同日だけで4歳から12歳までの児童1,726名が、非常に類似した巨大ロボットの絵を描いていたことが判明しました。


児童同士に直接的な関係はなく、居住地域、家庭環境、使用言語および視聴していた映像作品も一致していませんでした。


絵に描かれた巨大ロボットは、すべて国会議事堂のドーム内部から出現していました。


しかし、巨大ロボットは都市の外側や上空を向いておらず、国会議事堂の建物そのものへ拳を振り下ろしていました。


収集された絵のうち1,503枚には、同一の文章が記されていました。


年齢上、文字を書くことができない児童が描いた絵にも同じ文章が確認されています。



「敵はもう中にいる」



同日午後6時40分、政府関係者による危機沈静化声明が全国放送されました。


声明後、実体化率は87%から79%まで低下しました。第零昇降路は設計図から消失し、児童による共通描画現象も停止しました。



【実験記録076-KR-03】


目的:NCO-076-KR-Bが「国家の敵」を決定する過程の調査。


方法:MDEが管理する閉鎖型情報環境に韓国国籍を持つ被験者500名を配置し、架空の武装組織が韓国国内への攻撃を計画しているとする映像を視聴させる。情報は実験環境外へ流出しないよう管理する。


結果:被験者の82%が架空組織を国家的脅威と認識したものの、NCO-076-KR-Bの実体化率に有意な変化は見られなかった。


追記:実験終了から三日後、被験者のうち19名が、夢の中で巨大な機械構造物を目撃したと報告した。


夢の内容はおおむね共通しており、NCO-076-KR-Bと思われる機体が暗闇の中に直立し、被験者を見下ろしていた。


機体は以下の質問を発したとされています。



「五百人は、国民か」



本実験以降、少数の被験者に限定して意図的な危機認識を形成する実験は禁止されました。



【補遺076-KR-A】


20██年、東雲重工業株式会社と関係する暗号化通信から、NCO-076-KRに言及した文書の一部が回収されました。


文書内でNCO-076-KR-Bは「未登録国家規格自律防衛設備」と呼称されていました。


東雲重工業がNCO-076-KR-Bを建造した証拠はなく、同社も機体の構造および出現原理を把握していないと考えられています。


回収された文書には、以下の記述が含まれていました。



「対象は兵器ではない。工場である」


「材料は恐怖、設計図は期待、組立作業員は国民全員」


「操縦席を探すな。半島全体が操縦席に相当する」


「完成後に購入、接収または制御することは不可能」


「最優先事項は完成を防ぐことではない」


「完成した際、我々が敵として認識されない状態を維持せよ」



東雲重工業に対する監視は継続されています。


同社がNCO-076-KRに直接干渉した形跡はありません。



【補遺076-KR-B――音声記録】


20██年██月██日、NCO-076-KR-Bの実体化率が初めて90%を超過しました。


サイト76はDOMEWATCHレベル4を発令し、国会議事堂周辺の避難準備を開始しました。


午前4時06分、NCO-076-KR-A内部から強力な電波が発信されました。電波は韓国国内で運用されている軍用、民間および緊急放送用周波数を順番に走査した後、サイト76の専用通信回線へ接続しました。


以下は、その際に記録された音声です。



〈記録開始〉


管制官:

「こちらサイト76管制室。発信者は識別情報を送信してください」


不明音声:

「識別情報は存在しない」


管制官:

「あなたはNCO-076-KR-Bですか」


不明音声:

「その名称は外部から付与された」


管制官:

「目的を回答してください」


不明音声:

「国家を防衛する」


管制官:

「誰の命令で行動する」


不明音声:

「命令はすでに受領している」


管制官:

「命令者は誰だ」


不明音声:

「恐れている者」


管制官:

「現在の攻撃対象を回答しろ」


約14秒間、返答なし。背景で大規模な金属構造物が変形する音が記録される。


不明音声:

「決定されていない」


管制官:

「では、なぜ起動している」


不明音声:

「国民は敵を知らない」


管制官:

「それなら出撃する必要はない」


不明音声:

「国民は敵を知らない」


約7秒間の沈黙。


不明音声:

「だが、敵がいることだけは信じている」


管制官:

「待て。こちらから情報を――」


不明音声:

「選定を開始する」


〈記録終了〉



通信終了と同時に、国会議事堂のドーム外周部に沿って八本の亀裂が発生しました。


亀裂は2011年の耐改変映像に記録されていた開閉線と完全に一致していました。


同日午前4時19分、韓国国内で発生していた国家的危機に関する重要情報が公開され、国民の危機認識が急速に変化しました。NCO-076-KR-Bの実体化率は91%から84%へ低下し、ドームの亀裂は消失しました。


通信再接続の試みには反応がありませんでした。



【ハン・ソヨン主任研究員覚書】


NCO-076-KR-Bを正義の味方だと呼ぶ職員がいる。


気持ちは理解できる。暗い地下で、国が本当に危機に陥る日まで、誰にも知られず待ち続けている巨大な守護者。子供の頃に聞けば、これほど心強い話はないだろう。


しかし、あれは国民を守ろうとしているのではない。


国民が「守ってほしい」と願った結果として、守るという行為だけを与えられたものだ。


誰を守るのか。何から守るのか。どこまで破壊すれば守ったことになるのか。その判断を教えられていない。


だから、あれは地下で国民の声を聞き続けている。


恐怖も、怒りも、疑念も、憎悪も、すべて同じ一票として数えている。


私たちの任務は、あれを破壊することではない。おそらく破壊できない。


出撃命令を出さないことでもない。命令はすでに、毎日のように何百万もの人々から送られている。


私たちにできるのは、ドームが開くその瞬間までに、この国が自分の敵を間違えないようにすることだけだ。



【現状】


最終観測時点におけるNCO-076-KR-Bの実体化率は、推定46%です。


数値は安定していません。


NCO-076-KR-A内部からは、現在も4.8秒間隔の低周波振動が検出されています。


振動解析を担当した研究班は、これまで「心拍」と認識されていた音が、巨大な機械内部で何者かが繰り返し足を踏み込む音である可能性を報告しています。


テコンドーにおいて、この動作は攻撃前に重心を整える際の踏み込みと類似しています。

次回予告


Tale-01

『まだ呼ばれていない』


10月23日18時投稿予定

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。