NCO-214-JP「猫ではありません。」
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NCO-214-JP「猫ではありません。」
**オブジェクト番号:** NCO-214-JP
MAES評価
対象番号: NCO-214-JP
名称: 「猫ではありません。」
評価項目評価理由
管理等級(Containment Rating)C-1(監視級)通常の小動物飼育設備で管理可能。脱走・攻撃性・異常能力による収容違反の危険性は極めて低い。
危険度(Hazard Rating)H-0(無害)人体への危害は確認されておらず、攻撃性もない。唯一の異常性は「自分は猫ではない」と主張することのみ。
暴露リスク(Exposure Rating)E-2(限定的)公共の場で会話能力を披露すると話題になり得るが、速やかな情報統制で十分対応可能。
研究価値(Research Value)R-3(中)動物への知性発現、自己認識、人格形成の研究対象として価値がある。
異常影響規模(Scale Rating)S-0(個体)影響範囲はNCO-214-JP単体に限定される。
総合優先度MAES:Ⅰ-α継続観察対象。通常管理で十分。
MAES総合評価コメント
評価主任コメント
NCO-214-JPは高度な知性と言語能力を有する一方、攻撃性・感染性・認識災害性・現実改変能力はいずれも確認されていない。
本個体の最大の異常性は「自己認識」と「自己定義」にあると考えられる。
現時点では無害な対話型異常として扱われるが、自我形成や認知発達の経過を長期的に観察する価値は高い。
なお、担当職員が本個体との「猫であるか否か」の議論に長時間従事する傾向が確認されているため、業務効率低下を防ぐ目的で一回の議論は10分以内とすることを推奨する。
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## 特別管理手順
NCO-214-JPはサイト83・小動物収容区画にて通常の飼育環境で管理してください。
給餌は一日二回。
水は常時交換可能な状態を維持してください。
職員はNCO-214-JPに対し、「猫ですね」と断定する発言を一日三回以上行わないでください。
長時間の議論は業務効率を著しく低下させるため推奨されません。
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## 説明
NCO-214-JPは体長約46cmの黒白ハチワレ猫です。
体重、DNA、骨格、生理機能、行動様式は全て一般的なイエネコ (*Felis catus*) と一致します。
しかし、NCO-214-JPは高度な日本語による意思疎通能力を有しており、
**「自分は猫ではない」**
という一点のみを強く主張します。
現在までの調査では、
* 猫以外の生物的特徴
* 認識異常
* 変身能力
* 擬態能力
はいずれも確認されていません。
専門家による最終結論は、
**「猫である。」**
となっています。
NCO-214-JPはこの結論に強く抗議しています。
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## 発見経緯
██県██市において、「猫が市役所で身分証明書の発行を要求している」との通報があり、MDEが介入しました。
到着時、NCO-214-JPは受付窓口で次のように主張していました。
> 「私は猫ではありません。」
担当職員は約二時間にわたり説得を試みましたが、会話は平行線を辿りました。
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## 実験記録214-01
**担当:** 荒木真介
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荒木
「猫やんな?」
NCO-214-JP
「違います。」
荒木
「ほな何なん?」
NCO-214-JP
「私です。」
荒木
「名前は?」
NCO-214-JP
「ありません。」
荒木
「猫やん。」
NCO-214-JP
「違います。」
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**結果**
進展なし。
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## 実験記録214-03
**担当:** 新木慎介
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新木
「DNA検査した。」
NCO
「はい。」
新木
「猫や。」
NCO
「違います。」
新木
「骨格。」
NCO
「はい。」
新木
「猫。」
NCO
「違います。」
新木
「鳴いてみ。」
NCO
「……。」
(約10秒沈黙)
NCO
「にゃあ。」
新木
「猫や。」
NCO
「違います。」
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**結果**
担当研究員が約五分間笑い続けたため終了。
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## 実験記録214-08
**担当:** メアリー
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メアリー
「どうして猫じゃないって思うの?」
NCO
「猫なら、人に拾われます。」
「名前を付けられます。」
「飼われます。」
「可愛いと言われます。」
「私はそういう存在ではありません。」
メアリー
「じゃあ、どういう存在なの?」
NCO
「……。」
約30秒沈黙。
NCO
「まだ考え中です。」
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**備考**
初めて「猫ではない理由」らしき発言が確認された。
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## 実験記録214-12
**担当:** 紅林澪奈
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紅林
「質問を変えます。」
「あなたは何ですか。」
NCO
「分かりません。」
「だから猫ではありません。」
紅林
「それは矛盾しています。」
NCO
「猫と決められるよりは良いです。」
紅林
「なるほど。」
NCO
「理解していただけましたか。」
紅林
「いいえ。」
「ですが、あなたが自分で答えを探したいという意思は理解しました。」
NCOは約一分間、紅林を見つめ続けた。
その後、自ら紅林の膝の上へ乗り、丸くなって眠った。
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## 補遺214-JP-A
現在、NCO-214-JPは職員休憩室への自由な出入りを許可されています。
本人は毎回、
> 「私は散歩しているだけです。」
と説明していますが、
昼休みになると決まって職員の膝の上で昼寝をしています。
なお、
「可愛いですね。」
と言われると、
少しだけ嬉しそうに喉を鳴らします。
本人はこれを否定しています。
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## 補遺214-JP-B
**音声記録(抜粋)**
荒木
「おい。」
NCO
「何でしょう。」
荒木
「猫ちゃうんやろ?」
NCO
「違います。」
荒木
「ほな膝から降り。」
NCO
「嫌です。」
荒木
「なんでや。」
NCO
「居心地が良いので。」
新木
「猫や。」
NCO
「違います。」
荒木
「猫や。」
NCO
「違います。」
(約15秒沈黙)
NCO
「……今日は。」
荒木
「ん?」
NCO
「今日は、猫でも構いません。」
(NCO-214-JPはそのまま眠り始める。)
荒木
「新木。」
新木
「なんや。」
荒木
「勝ったんちゃう?」
新木
「いや。」
「向こうが折れてくれただけや。」
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**担当研究員所見**
> 「結局猫なんやけど、『自分で決めたい』いう気持ちだけは本物なんやろな。」
>
> — 新木慎介
**管理主任コメント**
> 「本人が『今日は猫でも構わない』と言った以上、本日は猫として扱って差し支えありません。ただし翌日には『やはり違います』と言い始めるため、議論はほどほどにしてください。」
次回予告
NCO-217-JP「覚」
10月12日21時投稿予定




